簿記2級の合格率推移は?3級との試験科目の違いも併せて解説

簿記2級の合格率推移は?3級との試験科目の違いも併せて解説

簿記2級はさまざまな業務で必要とされるスキルです。簿記2級試験は、3級試験より難易度が上がるため、合格率も3級と比べてかなり低い数値となっています。では具体的にどのくらいの数値で推移しているのでしょうか?ここでは試験科目の違いも併せて詳しく解説します。

目次

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簿記2級の合格率推移

簿記2級の合格率推移

最初に簿記2級試験における過去6年間の合格率を紹介します。

実施回 実受験者数(名) 合格者数(名) 合格率(%)
161
(2022年6月)
13,118 3,524 26.9
160
(2022年2月)
17,448 3,057 17.5
159
(2021年11月)
22,626 6,932 30.6
158
(2021年6月)
22,711 5,440 24.0
157
(2021年2月)
35,898 3,091 8.6
156
(2020年11月)
39,830 7,255 18.2
155
(2020年6月)
中止
154
(2020年2月)
46,939 13,409 28.6
153
(2019年11月)
48,744 13,195 27.1
152
(2019年6月)
41,995 10,666 25.4
151
(2019年2月)
49,766 6,297 12.7
150
(2018年11月)
49,516 7,276 14.7
149
(2018年6月)
38,352 5,964 15.6
148
(2018年2月)
48,533 14,384 29.6
147
(2017年11月)
47,917 10,171 21.2
146
(2017年6月)
43,767 20,790 47.5

出典:受験者データ | 日本商工会議所

2016年度から2018年度に、日商簿記試験において出題区分の改定があり、次のような変更点がありました。

<新しく加えられた分野>
連結会計、税効果会計、リース会計、外貨建会計、クレジット売掛金など
<削除された分野>
為替手形、保証債務、社債、仕訳帳の分割など

区分が変更されたのには、簿記試験の内容が実際の企業活動により近くなるように、級をまたがって項目が修正された背景がありました。

変更直後には難易度が安定せず、試験ごとに大きく異なっていたため、合格率も大きく変動していますが、2021年以降からは安定しているといわれています。

簿記2級の合格点

簿記2級試験では、商業簿記と工業簿記の2科目があります。
工業簿記とは、3級にはなかった科目であり、製造業の企業を対象とした簿記です。
商品(材料)の動きだけでなく、加工(製造)に関わる原価計算や記録が必要となり、製造活動における記録全体のことをさします。

簿記2級の合格点は、商業簿記が60点満点、工業簿記が40点満点で、計100点満点中70点以上とされています。
70点の内訳は規定がなく、2科目の合計が70点以上であれば合格です。

とは言っても、どちらかの勉強をおろそかにしていいわけではありません。両方をしっかり勉強して対策を取っておく必要があります。

簿記2級と3級の合格率を比較

簿記2級と3級の合格率を比較

次に、簿記2級と3級の合格率を比較してみましょう。

実施回 2級合格率(%) 3級合格率(%)
161
(2022年6月)
26.9 45.8
160
(2022年2月)
17.5 50.9
159
(2021年11月)
30.6 27.1
158
(2021年6月)
24.0 28.9
157
(2021年2月)
8.6 67.2
156
(2020年11月)
18.2 47.4
155
(2020年6月)
中止 中止
154
(2020年2月)
28.6 49.1
153
(2019年11月)
27.1 43.1
152
(2019年6月)
25.4 56.1
151
(2019年2月)
12.7 55.1
150
(2018年11月)
14.7 43.8
149
(2018年6月)
15.6 44.3
148
(2018年2月)
29.6 48.9
147
(2017年11月)
21.2 40.3
146
(2017年6月)
47.5 50.9

出典:受験者データ | 日本商工会議所

この表を見ると、3級の合格率は40%台から50%台が中心であり、回によっては半分以上の受験者が合格しています。
これに対して、2級になると合格率が一気に下がり、15%台前後から30%前後となっています。

簿記2級・3級試験には、足切り制度はありません。
足切り制度とは、合計点数が合格ラインに達していても、どれか1科目でも規定の最低点数に満たない場合は、不合格となってしまう制度です。
このため、70点以上得点できた人は全員合格となります。

簿記2級の統一試験とネット試験では合格率が変わる?

難関で知られる簿記2級試験ですが、ペーパーで実施される統一試験とネット上で行われる「ネット試験」では難易度に差があるという声を聞くことがあります。

例えば2021年6月実施の第158回日商簿記検定2級試験では、合格率が24.0%であったのに対し、2021年4~6月実施のネット版簿記2級試験の合格率は44.8%と大幅に高く、合格者はペーパー試験の倍の水準です。

ただし、大問5問から構成されている点や出題範囲はペーパーもネットも変わらず、難易度の差もないように調整されています。
そのため、難易度の違いというよりも、筆記試験で不合格となった方の再受験や選択式の解答方法などが影響していると考えられるでしょう。

関連記事【簿記3級】独学で合格を目指すなら!合格率とおすすめ勉強方法

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簿記2級試験の合格率が低いのはなぜか?

簿記2級試験の合格率が低いのはなぜか?

簿記2級試験は、3級試験に比べて格段に数字が低いことが分かりました。
では、なぜこれほど数字が低くなってしまうのでしょうか。

回ごとに難易度が異なるため

簿記2級試験は、回ごとにかなり難易度が異なり、合格率の変動が大きくなっています。上の表から見ると、第146回(2017年6月実施)試験では、合格率が47.5%なのに対し、第157回(2021年2月実施)試験では8.6%と、一桁にまで下がっています。

簿記1級試験では得点調整が行われますが、2級と3級では行われません。

関連記事【簿記検定】日商・全商・全経の違いは?それぞれの難易度を詳しく解説!

2016年度から出題範囲の改定が行われたため

簿記2級試験は2015年から毎年のように出題範囲が改定されています。
特に2016年は、合格率40%超えが消滅したとも言われる大改定の年だったと言えます。

例えば、それ以前には簿記1級試験の出題範囲だった「電子記録決済」に関する出題が2016年からは簿記2級試験範囲に加わりました。

また、かつては簿記1級の出題範囲であった「自社利用しているソフトウェア」の会計処理方法も、同年から2級の範囲に移動しています。

他にも、クレジット売掛金の仕訳など、これまで出題されたことのなかったカテゴリーの設問が登場し、総合的に簿記2級試験の難易度が高まったと考えられています。

工業簿記が範囲に加わるため

2級では、3級にはない「工業簿記」が出題範囲に加わります。
工業簿記は製造業における原価管理に必要な知識ですが、製造業以外の業種で働いている人にとって仕組みが分かりにくい特徴があります。
テキストを見るだけではなかなか現場のイメージが湧いてこないうえに、製造現場での専門用語も最初は覚えにくいものです。
勉強や合格へのハードルが高くなってしまうと考えられているのは、このような理由があるためなのです。

商業簿記と工業簿記は全く別の概念を持っています。
商業簿記はいわゆる文系科目といわれていますが、工業簿記は理系科目といわれるのです。
2級では正反対の概念を持つ2つの科目を同時に勉強し、試験でも時間内で両方を解かないといけません。

問題量が多いため

簿記試験は答えを導き出すのに計算が必要であり、問題ごとに計算して記述式で解答します。
2級になると3級よりも込み入った出題内容のものも見られ、1問あたりに費やす時間が3級以上に長くなります。
また、試験の実施回によっては第1問で出題される仕訳問題の比重が重いために、計算量が大変多くなってしまうことがあります。

さらに、清算表が複雑な回では、過去問で対応していても時間内に解き終えられない事態が起こることもあるほどです。

簿記2級と3級の問題数はどちらも5問ずつですが、2級では問題の中身や作業量が格段に増えるため、戸惑ってしまう受験者も多く見られます。

勉強量が追い付かないため

簿記試験は年に3回実施されます。
年に1回という資格試験も多い中で、チャンスが多い試験だといえるでしょう。
実はこの特徴が、勉強量を不足させる原因にもなっているのです。

最初に紹介した合格率推移の表において、受験者数は申し込んだ人数、実受験者数は実際に試験を受けた人数をさしています。
つまり、毎回おおよそ4人に1人程度は、申し込んでも試験を受けていないのです。
勉強が間に合わないことで試験を受けなかった人も一定数いるといわれています。

4ヶ月経てばまた次の試験があるからと思っていると、なかなか勉強は進められません。
申し込んだ試験で必ず受かるという気持ちで、モチベーションを保ったまま試験に臨みましょう。

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簿記2級合格に近づくためのコツ

簿記2級合格に近づくためのコツ

簿記2級合格への道は、決して平坦ではありません。
しかし、きちんとした対策を取ると合格に近づくことができます。

工業簿記の勉強に力を入れる

簿記2級試験に合格するポイントは、なんといっても工業簿記です。
出題される内容の傾向は、毎年ほぼ安定していますので、過去問に取り組み、傾向を把握しましょう。
特に意識したいのは、原価計算・標準原価計算・直接原価計算の3分野です。

工業簿記では、材料や仕掛品など、専門の勘定科目がありますので、まず科目から覚えていくと良いでしょう。
また、商業簿記と工業簿記では、財務諸表の表記も異なる部分があるため、どのように異なるのかをきちんと把握しましょう。

過去問に取り組み出題傾向をつかむ

工業簿記のところでも解説しましたが、簿記試験においても過去問の活用は必須です。
ほかの試験と同様に、最初にテキストを読み込み、そのあと過去問を解き、理解するまで何度も繰り返し解いていくことで、自分の知識として定着させましょう。

過去問を解く際には、本番と同じ時間を計って行うと、より実践的な取り組みができます。
試験本番もそうですが、まず問題全体に目を通し、解ける問題から始めましょう。
迷う問題で時間が過ぎてしまっては、終盤で時間が足りなくなるおそれがあります。

関連記事日商簿記2級の問題傾向は?試験のレベルや勉強方法を徹底解説
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簿記2級合格に必要な勉強時間

簿記2級合格に必要な勉強時間

簿記2級試験に向けての勉強法が分かりましたが、合格するのに必要な勉強時間はどのくらいなのでしょうか。

最低でも200時間以上は必要

合格に向けた勉強時間は、最低でも200時間以上必要です。
勉強期間に換算すると、1日2時間程度の勉強でおよそ3ヶ月から4ヶ月となります。

休日に勉強時間が多く確保できるのであれば、もう少し短期間でも合格を目指せるかもしれません。

3級を取得していなければさらに勉強時間を確保しよう

上記で紹介した勉強時間は、簿記3級を取得している方の目安です。
3級を持っていない方が、2級から勉強を始めるのであれば、さらに100時間から150時間ほど余分に時間を確保したいものです。

この場合、いきなり2級のテキストを開いて勉強しようとしても、簿記の基礎知識がないとかなり難しくなります。
よって、先に3級のテキストに目を通すところから始めましょう。
そうすると、2級への理解も早められます。

3級を受けずに、2級からでも合格している人はたくさんいます。
スケジュールを立て、計画的に勉強していけば、目標が達成できるでしょう。

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まとめ

簿記2級のポイントは工業簿記だと解説しましたが、慣れない専門用語を覚えていくのはかなり根気がいる作業です。

そんな場合には、資格のキャリカレの簿記講座で効率的に勉強してみませんか。
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またイラストや図解を使って分かりやすく解説しおり、読みやすい文章で、誰でも気軽に学べるでしょう。

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この記事の監修者

資格のキャリカレ編集部

150以上の通信教育資格講座を展開し、資格取得・実用スキルの習得はもちろん、キャリアサポートまで行う資格のキャリカレ編集部が運営するコラムです。簿記は一度取得すれば、ビジネスにも家計にも役立つ資格です。簿記検定の詳細や試験対策をはじめ、仕分け・試算表の作成方法など、簿記の魅力や最新情報をお伝えしています。

資格のキャリカレ編集部

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