基本情報技術者試験の難易度や合格率は?難しい理由を解説

基本情報技術者試験の難易度や合格率は?難しい理由を解説

一般的に「基本情報技術者試験」の難易度はやや高いといわれています。そのために、試験を受ける前からプレッシャーを感じている人は多いでしょう。ただし、試験内容をリサーチしたうえでしっかり対策を立てれば、合格が難しいわけではありません。基本情報技術者試験の内容や対策などについて解説していきます。

目次

1. 基本情報技術者試験の難易度はどれくらい?

経済産業大臣が行う国家試験である基本情報技術者試験は、「難しい」と評されることが少なくありません。
受験するつもりなら、本当の難しさを知っておきたいところです。

以下、実際の難易度や、「難しい」とされる理由を説明していきます。

難易度はやや高めだが、未経験でも合格できる試験

合格率:20~30%程度

結論からいえば、基本情報技術者試験の難易度が高いのは事実です。
すなわち、受験者の大半は不合格となっているので、無策のまま試験に挑んでも落とされてしまうでしょう。
試験内容はプログラム言語やアルゴリズムから、ソフトウェア関連の知識にまで及びます。
IT関係の勉強をまったくしてこなかった人にとっては、問題の意味も十分に理解できない可能性が高いといえます。

ただし、あくまでも「基本」についての試験なので、IT業界を目指す人、すでに経験がある人にとって特殊な内容が出てくるわけではありません。
未経験の人であっても、しっかり勉強をしていれば合格できます。
出題範囲は事前に告知されているうえ、過去問も簡単に入手可能です。
そもそも、不合格となる受験者の7~8割には、あまり勉強せずに臨んだケースも含まれています。
さらに、基本情報技術者試験は合格者の上限があるわけではなく、正答率60%以上を基準として合格を認めてもらえる傾向が顕著です。
本人が十分な努力をできさえすれば、恐れずに済む難易度です。

基本情報技術者試験の難易度は「レベル2」に該当しています。
レベル1に相当するのは「ITパスポート試験(情報処理技術者試験)」で、公的機関で情報関係の仕事をするためには合格が求められます。
全体的には、基本情報技術者試験以上に、基礎的な問題が多い特徴を持っています。
レベル1の試験と比較して、基本情報技術者試験は文章や形式が複雑です。

基本情報技術者試験の1つ上、「レベル3」に該当するのは「応用情報技術者試験」です。応用情報技術者とはつまり、「高度IT人材」を意味します。
経験豊富なエンジニア、プログラマーなどが高度IT人材であり、試験内容もより専門的です。
応用情報技術者にはIT知識だけでなく、マネジメントや戦略立案においても高度なスキルが求められます。

レベル1 ITパスポート試験(情報処理技術者試験)
レベル2 基本情報技術者試験
レベル3 応用情報技術者試験

応用情報技術者試験はいわば、IT関係の企業でリーダー職に就けるだけの人材であることを証明できるチャンスであり、その難易度の高さから、受験自体をあきらめてしまう人も少なくありません。
応用情報技術者試験と比較すれば、基本情報技術者試験は内容が基礎的なぶん、対策を立てる余地がたくさんあります。

基本情報技術者試験とITパスポートの難易度比較

合格率 合格基準
ITパスポート試験 50%前後 600点/1000点
基本情報技術者試験 20~30% 午前の部、午後の部
60点/100点

ITパスポート試験の合格率は、50%前後です。
基本情報技術者試験は20~30%ほどなので、ITパスポート試験のほうが合格率は高いといえます。
合格基準はITパスポート試験が1000点中600点となっています。
そのかわり、部門別の得点が基準に達していなかった場合、総合得点に関係なく不合格となるルールです。
具体的には、ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系のそれぞれで、300点以上を獲得しなければなりません。
それに対し、基本情報技術者試験は午前の部、午後の部でそれぞれ100点満点の問題が出てきます。
両方で60点以上を獲得した場合、合格が認められます。

ITパスポートよりも基本情報技術者試験のほうが一般的に難しいとされてきましたが、両者の出題範囲自体は変わりません。
どちらもシステム開発やプログラミング、マネジメントや法務など、幅広い知識が問われます。
それなのに、基本情報技術者試験が難しいとされるのは、午後の部で長文読解が出題されるからです。
しかも、専門用語が数多く含まれているので、勉強不足で挑んでも意味を追えません。
ヒントすら見つけられないまま、試験時間が経過していきます。

ただし、ITパスポートも基本情報技術者試験も、解答は選択形式です。
長文読解であっても、選択肢はあるので何らかの解答を書き込むことは可能です。
もしも文章にてこずるのであれば、選択肢を確認してから考えるのもひとつの方法です。
最終手段として、絞り込んだ選択肢から勘で答えてもかまいません。
ITパスポート試験に合格できるほどの実力があるのなら、長文読解への対応力次第で基本情報技術者試験も乗り越えられます。

2つの試験では出題問題数も異なります。

出題数 試験時間
ITパスポート試験 100問 120分
基本情報技術者試験 午前80問
午後11問
午前150分
午後150分

ITパスポート試験は全部で100問です。それを120分間で答えなければなりません。
すなわち、1問あたりに1分もかけられない計算です。
そのかわり、ITパスポート試験で出てくるのは基礎知識に関する問題ばかりなので、範囲をしっかり勉強できていればテンポよく解答できるでしょう。
それに対して、基本情報技術者試験は午前と午後、いずれも150分間です。
問題数は午前が80問、午後が11問です。
午後は11問から5問を選んで解答します。
5問中、2問は必須問題として指定されています。

問題数だけを見れば、基本情報技術者試験のほうがITパスポート試験よりも余裕があると思う人もいるでしょう。
しかし、基本情報技術者試験では、問題文を読み込むだけでもかなりの時間がかかります。選択形式だからといって、決して余裕はありません。
試験勉強を通じて、問題文に慣れておく必要があります。

2. 基本情報技術者試験の合格率はどれくらい?

ここまで、基本情報技術者試験の合格率は「20~30%」と述べてきました。
しかし、実施回によって細かい違いはあります。
毎回の合格者数も気になるところです。

以下、基本情報技術者試験の合格率について解説していきます。

基本情報技術者試験の受験数と合格率の推移

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成21年春期 65,407人 17,685人 27.4%
平成21年秋期 79,829人 28,270人 35.4%
平成22年春期 65,407人 14,489人 22.2%
平成22年秋期 73,242人 17,129人 23.4%
平成23年春期 58,993人 14,579人 24.7%
平成23年秋期 59,505人 15,569人 26.2%
平成24年春期 52,582人 12,437人 23.7%
平成24年秋期 58,905人 15,987人 27.1%
平成25年春期 46,416人 10,674人 23.0%
平成25年秋期 55,426人 12,274人 22.1%
平成26年春期 46,005人 11,003人 23.9%
平成26年秋期 54,874人 12,950人 23.6%
平成27年春期 46,874人 12,174人 26.0%
平成27年秋期 54,347人 13,935人 25.6%
平成28年春期 44,184人 13,418人 30.4%
平成28年秋期 55,815人 13,173人 23.6%
平成29年春期 48,875人 10,975人 22.5%
平成29年秋期 56,377人 12,313人 21.8%
平成30年春期 51,377人 14,829人 28.9%
平成30年秋期 60,004人 13,723人 22.9%
平成31年春期 54,686人 12,155人 22.2%

平成21年~31年のデータで、もっとも受験数が多かったのは平成21年度秋です。
この回は受験数が7万9829人を記録し、合格率も35.4%でした。
この10年で合格率が30%を超えたのは、このときと平成28年春期の2回のみです。
平成22年秋期も受験者は7万3000人を超えたものの、それ以降は6万人を下回り、ゆるやかな減少傾向を示し始めました。
ただし、平成30年秋期には6万4人が受験して、8年ぶりに6万人台まで回復します。
なお、その年の合格率は22.9%でした。

ちなみに、受験者数と合格率の間に目立った相関性は見られません。
たとえば、10年のうちに合格率が最低だったのは、平成29年秋期でした。
この回は、5万6377人が受験し、1万2313人しか合格していません。
合格率は21.8%です。
しかし、受験者数が少なくなれば、合格率も比例して低くなるわけではありません。
4万4184人しか受験者がいなかった平成28年春期には1万3418人が合格しています。

平成30年度以降は、少しずつ受験者数が戻りつつあります。
平成31年春期には5万4686人が試験を受けました。
この人数は、前年度の春期よりも3000人以上増えています。
基本情報技術者の資格には安定した需要があるため、年度を問わず、挑戦するだけの価値はあるといえるでしょう。

基本情報技術者試験の合格基準点

大前提として、総合得点の60%以上を獲得しないと合格はできません。
ただ、その内訳は年度ごとに少しずつ変わってきています。
単に総合で60%以上を稼ぐだけでは、不合格にされてしまうケースもありえます。
たとえば、午前と午後のいずれかで、正答率が60%を下回ってしまうパターンです。
もしも午前で満点を記録したとしても、午後の試験の出来が悪ければ不合格になりえます。
いうまでもなく、その逆もしかりです。

ちなみに、午前の試験はテクノロジ系50問、マネジメント系10問、ストラテジ系20問と配分されるのが通例でした。
この傾向に則するならば、午前の試験ではテクノロジ系の出来が合格を左右します。
マネジメント系やストラテジ系の正答率が低くても、テクノロジ系をほとんど答えられれば挽回は可能です。
また、絶対的な傾向ではないものの、テクノロジ系の中ではセキュリティ系問題の配点が目立っています。
少なくとも、試験勉強でセキュリティ系を軽く流してしまうのは得策といえないでしょう。

基本情報技術者試験では、「過去問では60点を取れていたのに、不合格となった」という人も少なくありません。
なぜなら、問題の中身は毎回、少しずつ更新されているからです。
いくら過去問で高得点を記録していても、本番で新しいタイプの問題に手を焼かされる可能性はあります。
過去問では60点でなく、80点を及第点として勉強しましょう。
そもそも、60点という合格ラインは基準にすぎません。
その回の平均的な正答率によって、合格基準点は変動します。
「60点取れれば合格できる」と思い込まず、できるだけ高得点を目指すことが大事です。

基本情報技術者試験が難しい理由

基本情報技術者試験が難しい理由

なぜ基本情報技術者試験が難しいとされるのか、その理由を挙げると以下のようになります。

勉強時間を確保しなければならない
アルゴリズムとプログラミングの初心者には難しい内容
基本的な内容だけに、量が多すぎる
知識を現場で応用するイメージがわきにくく、勉強がはかどらない

まず、「勉強時間」は非常に切実な問題です。
学生ならともかく、社会人が新たに資格の勉強をしようとしても、なかなか時間を見つけられません。
平日はもちろん、休日さえ用事があって集中的に試験対策をできない人は多いでしょう。
基本情報技術者試験はただでさえ難易度が高いうえ、試験範囲も決して狭くはありません。
まったくのIT業界未経験者が合格をするには、200時間の勉強が必要だとされています。その間に出題範囲を一通り理解し、試験本番に近い演習を繰り返すことが肝心です。

「自分はITの現場で経験を重ねているから、勉強しなくてもいい」と思う人もいるでしょう。
しかし、ある程度の現場経験があったとしても、50時間は勉強しなくてはなりません。
出題範囲の知識が身についていたとしても、問題文や選択肢の雰囲気に慣れておかなければ、試験当日にしくじってしまう恐れがあります。
過去問によって、制限時間の中で問題を解くプレッシャーも経験しておきたいところです。
そこで、2~3カ月ほど前から1日3時間を目標に勉強するなど、計画的な準備が求められます。

次に、「アルゴリズムとプログラミング」は、普通にパソコンやインターネットを使っているだけでは縁のない分野です。
しかし、専門的にシステムを開発したり、セキュリティ担当者になったりするためには避けて通れません。
IT業界の未経験者であれば、初歩的な部分からじっくりと学んでいく必要があるでしょう。
それでも、基本情報技術者試験で問われる、プログラム言語やマークアップ言語を理解できるようになるまでには時間がかかります。
短期間の試験勉強では十分に習得できないことも多く、合格率を下げる要因になっているのです。

「量が多すぎる」のも、無視できない傾向です。
基本情報技術者試験の問題は、IT業界に深く関わっている人間からすれば、それほど難しいわけではありません。
それなのに合格率が低いのは、基本的な内容だからこそ、「専門職なら覚えておくべき」とみなされる部分が多いからです。
テクノロジ系だけなら、ITに興味を持っている人であればなんとか頭に入ってくるでしょう。
しかし、マネジメント系の問題は社会人経験がないと理解しにくく、勉強に時間を割かれます。
ストラテジ系ともなれば、法律の知識さえも問われてくるのです。

これらの知らない部分を勉強するにあたって、どうしても暗記が中心になりがちです。
ただ、知識を闇雲につめこむだけの勉強はモチベーションが上がりにくく、挫折する確率が高まります。
まったく関わってこなかった分野に対し、脳を切り替えるだけでもたいへんな労力を注がなくてはなりません。
そうしているうち、試験勉強がはかどらなくなり、準備不足のまま試験当日を迎えてしまうのです。
基本情報技術者試験で合格するには、最後までやる気を失わないよう、高い目的意識を維持し続けることが大事です。

「イメージがわきにくい」のもまた、出題範囲の性質に関係しています。
応用問題が含まれているのであれば、かえって現場で知識がどのように役立つのか想像しやすくなるでしょう。
それに、すでにIT業界で働いている人なら、「あのシチュエーションのことを言っている」と思い出しながら問題文を読み進んでいけます。
しかし、基本情報技術者試験は、IT業界の初歩的な知識をひたすら問われます。
そのことで逆に、現場の経験と一致しづらくなります。
未経験者であればなおさら、どのような場面で知識を用いるのか想像がつかないかもしれません。

仮に自分が経験している内容について問われているとしても、形式的な問題文を読んでいてはピンとこない場合もあるでしょう。
このような状態が続くと、試験勉強をしていても「何のために頑張っているのか」を見失いがちになります。
いくら知識をためこんでいっても、アウトプットする瞬間を連想できないのです。

ただ、基礎なくして応用はありません。
基本情報技術者試験を乗り越えることで、技術者としてのステップを踏み出せます。
今はイメージできなくても、実用的なスキルに近づいているのだと信じましょう。

3. まとめ

団体経由で申込む方法

基本情報技術者試験は出題範囲が広いので、十分な勉強時間を確保しなければなりません。
ただし、応用問題が多く出るわけではないため、焦らずに準備をすれば合格できる可能性が高まります。
そして、次のステップである応用情報技術者試験を受ける資格も得られます。試験当日から逆算し、長い時間をかけてコツコツ勉強するようにしましょう。

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