マインドコントロールとは?マインドコントロールされる仕組みと解き方

マインドコントロールとはいったい何?という基本的な内容から、その種類やマインドコントロールされる仕組み・できてしまう仕組み、解き方まで、ここでわかりやすく解説します。
マインドコントロールとは?
他人を思いのままに操ること
英語の「mind control」に由来している言葉で、直訳すれば「心の制御」となります。
マインドコントロールとは、一般的には「洗脳」と認識されていることも少なくありません。すなわち、言葉や態度、行動によって他人から心を操られている状態です。
もちろん、誰かが目的の達成のため、他人を動かそうとするのは当然の行為です。
もしも仕事やスポーツなどの場であれば、人の気持ちを変える行動が評価されるケースもあるでしょう。
ただ、マインドコントロールにはネガティブなニュアンスが含まれます。
あくまでも自分の利益のため、他人を思いのままにしていることを指すからです。
そして、マインドコントロールは加害者側、被害者側に自覚がないケースすらありえます。問題の根が深く、解決にまで時間がかかることも珍しくないのです。
大事件だけではないマインドコントロール
映画や本の中で、しばしばマインドコントロールは題材に使われます。
そこでは、分かりやすい悪役が出てきて弱者の心を掌握します。
実際に、カルト教団や犯罪集団によって、マインドコントロールを行い悪事に加担させた事例も少なくありません。
ただ、実際にはマインドコントロールとはこうした大規模な事件だけでなく、身の回りで起こりえる現象だといえます。
たとえば、親が子に言うことを無理やり聞かせようとするのも一種のマインドコントロールでしょう。
恋人が自分から離れられないよう、嘘をつくなどして束縛するのもマインドコントルールに該当します。
いわゆる「ブラック企業」の中にも、マインドコントロールにあてはまるところはあります。
第三者から見て「もう辞めるべきだ」と思えるような過酷な状況でもなかなか退職者が出ないのは、従業員の心が経営者に支配されているからです。
マインドコントロールは決して絵空事でも、一部の特殊な世界の問題でもありません。
普通に暮らしている人が日常で遭遇する可能性のあるリスクのひとつです。
そのため、正しい知識を持って警戒をし、もしも自分がコントロールされてしまったときに気づける準備をしておくことが大事です。
マインドコントロールの種類

行動コントロール
他人に行動を掌握されるのは、マインドコントロールの代表的な例です。
このとき、「報酬と罰」という心理的な仕組みが利用されることも珍しくありません。
すなわち、特定の行動を過剰に称賛し、別の行動を徹底的に否定して、「こうしなければならない」と相手に思い込ませるのです。
その結果、コントロールされている人間は、支配者に許可されている行動しかとらなくなります。
「夫が許してくれないから外出できない」などの考えは、行動がコントロールされた結果だといえるでしょう。
思想コントロール
カルト宗教や、一部の教育機関などで行われているマインドコントロールです。
その集団にとって利益となる思想だけを植えつけ、他の考え方を排除していきます。
コントロールの過程で、「経典を繰り返し読ませる」などの過剰な行為を強制することが多いのも特徴です。
ある思想だけを教え込まれているうち、その人は頭が働かなくなって思考停止状態になります。
そして、一般的には異常とされている思想すらも受け入れてしまうのです。
感情コントロール
恐怖や感情、罪悪感をコントロールし、洗脳しようとする手法です。
支配者は、その人が抱えているネガティブな感情を見抜いて刺激するようにします。
たとえば、「君のせいで怪我をしてしまった。このままでは仕事ができない」などと言って罪悪感をあおり、金銭を要求するなどの流れです。
冷静になれば「おかしい」と気づくことでも、罪悪感に支配されてしまっている間は正しい判断ができません。
そのうえで、支配者は「もしも言うことが聞けないなら恐ろしい目に遭わせる」と恐怖を植えつけ、完全なマインドコントロールが完了します。
情報コントロール
支配者はマインドコントロールを行うにあたり、情報統制を意識します。
もしも、ターゲットが支配者の言っている内容と違う本やニュースを見てしまえば、「何かがおかしい」と気づきます。
ターゲットが知人からのメールやSNSで「早く逃げなさい」と言われるのも、支配者にとって不都合な事態です。
そこで、「私の言うことだけを信じて、情報はすべて遮断しなさい」などと、ターゲットに言い聞かせます。
ターゲットからすれば支配者の言葉が唯一の情報になるので、無条件で信じやすくなります。
マインドコントロールされる・できてしまう仕組み
返報性の原理
多くの人は「自分に限って洗脳などされるわけがない」と思って過ごしています。
ただ、マインドコントロールの被害に遭った人には、同じような思いを抱いていた場合もあるでしょう。
注意しているはずなのに心を支配されてしまうのは、巧妙な支配者ほど思考の仕組みに精通しているからです。
たとえば、有名な心理学の言葉に「返報性の仕組み」があります。
普通の人々は、好意には好意が、悪意には悪意が返ってくると認識しています。
だからこそ、人によく思われようとなるべく好意的な振る舞いをするよう心がけています。
しかし、支配者はこの心理を利用し、「自分はこれだけ好意を与えたのだから、あなたも返さなくてはならない」と仕向けてくるのです。
たとえば、ある人が会社の同僚のミスをフォローしたとします。
そのうえで、「じゃあ今度は自分の失敗も被ってほしい」「あのとき助けてあげたじゃないか」と強い要求をしてくるのがマインドコントロールの手法です。
同僚は恩返しをしなければならないと信じ込み、過剰な内容すら応えてしまいます。
希少性
人間は希少価値の高いものに触れると優越感を抱きやすい傾向にあります。
バーゲンの「限定」という言葉や、有名人の来るイベントに心が惹かれるのも優越感を刺激されてしまうからです。
そして、マインドコントロールの世界では、希少性に対して抱く優越感を利用するケースが少なくありません。
支配者から「君にだけ教えてあげる情報なのだけれど」などと伝えられて、自分が特別だと思い込むパターンです。
こうした些細なきっかけから、支配者は「だから対価を払ってほしい」「組織に君の名前を貸してほしい」と要求をエスカレートさせていきます。
しかし、ターゲットは自分が特別だと信じているので、無茶なお願いにすらも応じてしまいます。
権威を利用
支配者が相手の猜疑心を消したいとき、用いることが多い手法です。
警戒心の強い人でも「テレビによく出ている教授が言っていた」など、権威の後ろ盾があれば信じてしまうことは珍しくありません。
そこで、支配者は巧みに有名な人間、組織の名前を持ち出してターゲットの心を開かせます。
「僕、あのタレントと友達なんだよ」と、自分と権威ある人物が親密だとアピールするケースもあります。
もちろん、本当に権威ある人物たちと支配者がつながっているとは限りません。
ターゲットを陥れるために嘘を並び立てている可能性もあります。
ただ、権威を前にすると思考が停止してしまい、疑いなく指示に従ってしまう人もいます。
そうやって支配者の話を聞いているうち、いつしか、「この人は権威と密接な関係にあるのだから、信じてもいい」という考えになってしまうのです。
約束と一貫性
真面目で責任感の強い人ほど「約束を守らなくてはならない」という信念は強いといえます。
そこで、支配者たちは、ターゲットと最初に小さな約束をとりつけることが少なくありません。
「1カ月は僕を信じると約束してほしい」といった言い回しで、ターゲットと信頼の契約を結ぶのです。
そうすると、真面目なターゲットは行動に一貫性を持たせたいので、違和感を覚えても支配者の言動を信じようとします。
最終的には、明らかに異常な状況すらも受け入れるようになってしまいます。
マインドコントロールの解き方とは?
二元論の放棄
支配者の多くは二元論(にげんろん)を巧みに操ってマインドコントロールを行っています。
本来は白でも黒でもないものに対し、「どちらかに決めろ」と迫るのです。
そして、仮にターゲットが白を選んだのだとすれば「黒はもう選んではならない」と誘導し、視野をどんどん狭めるよう仕向けます。
つまり、マインドコントロールの被害に遭ったら、二元論を放棄するのが得策です。
「どちらでもない」「他の選択肢もあるはず」などの考え方ができれば、正しい思考が働きやすくなります。
自己客観視
情報や思想をコントロールされ、比較対象のない状態では支配者の言葉になびいてしまうのも当然です。
そこで、マインドコントロールから抜け出すには常に客観的な考えを持ちましょう。
相手に言われたことと逆の意見をあえて思い浮かべるようにします。
そして、「この人はこう言っているが、一般的には違うのではないか」と疑いをもってみるのです。
支配者の言動は常軌を逸していることも多いので、冷静に分析すれば洗脳が解ける可能性もあります。
他人の意見を聞く
マインドコントロールでは、支配者とターゲットの間に不条理な主従関係が生まれていることも少なくありません。
ただ、当事者は感情や思考を支配されているので、自分がおかしな状況にいると気づかないのです。
もしもある人と接していて少しでも変だと思うのなら、家族や友人に相談してみましょう。
本やネットの情報をチェックするのも賢明です。
第三者から率直な意見を聞くことで、「自分が支配されている」と自覚するきっかけは生まれやすくなります。
質問を無視しない
支配者に対し、抵抗を試みるのはとても勇気がいる行為です。
恐怖や不安を刺激されているターゲットは、支配者を怒らせたくなくて状況を受け入れていることも珍しくありません。
それならば、せめて周囲の声に耳を傾けましょう。
「なぜそんなことをしているの」と疑問をぶつけてくれた人がいたら、反すうしてみます。
疑問を持つのは、状況を分析できているということです。
些細な疑問の積み重ねで、支配者の矛盾を理解できる場合もあります。
強制的に関係を断つ
いっそ、支配者と会わないようにするのもひとつの方法です。
彼らはターゲットの感情を支配できるので、顔を合わせてしまえば結局要求を飲むことになりかねません。
そうならないよう、連絡するのを止めて無視をします。
罪悪感を覚えるなら、そもそも電話番号を変えるなどして向こうからコンタクトを取れなくするのもいいでしょう。
しばらく支配者と距離を置けば、冷静に頭が回るようになる可能性もあります。
ゲシュタルト崩壊
ターゲットの中で関連付けられている複数の価値観を切り離す作業です。
仮に、ある支配者から「私は社会貢献をしている」「だから私に投資するのは社会のためだ」と教え込まれたとします。
この場合、「社会貢献」と「投資」が紐づけられてしまうので、洗脳が解きにくくなるのです。
マインドコントロールの可能性がある場合は支配者の言葉を整理し、さまざまな要素に分解しながら「本当に関連性があるのか」と深堀していきましょう。
まとめ

マインドコントロールが進行すると、解くのはどんどん難しくなっていきます。
少しでも人間関係で不審な点を感じたら、客観的に相手の言動を振り返ってみましょう。
人の意見を取り入れるのも大事な方法です。
マインドコントロールの支配者は、ターゲットの自由意思を嫌います。
つまり、疑問を持って接することがコントロールから抜け出す第一歩なのです。
また、マインドコントロールから抜け出せても、心の傷を負ってしまう人が多くいます。
そういう人の心の傷をケアするためには、心理カウンセラーのように心理学の知識や特殊な心理療法の技術が必要になります。
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