心理学検定とは?試験の概要やメリット・勉強方法など詳しく解説

心理学検定とは?試験の概要やメリット・勉強方法など詳しく解説

こんにちは、資格のキャリカレ編集部です。

「心理学検定の概要や合格のメリットを知りたい」「心理学検定の勉強方法を知りたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。「心理学に関連した団体には何があるの?」という疑問をお持ちかもしれません。

この記事では、最初に心理学検定の基本知識を解説した後、心理学検定に合格するメリットや心理学検定試験の受験の流れ、具体的な勉強方法などを説明します。

記事の後半では、心理学検定以外で知識を学べる資格についても紹介するのでぜひ参考にしてください。

目次
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心理学検定とは?

心理学検定とは?

はじめに「心理学検定とは何か」を説明します。その後に心理学検定の難易度と優遇措置についても解説していきます。

日本心理学諸学会連合が実施している検定試験

心理学検定とは、一般社団法人 日本心理学諸学会連合が実施している試験です。大学卒業程度の心理学の基本的な知識および能力を認定します。心理学に関する資格の中でも認知度が高いため、取得することで専門的な知識を証明しやすいでしょう。

心理学検定はA領域とB領域で5科目ずつ分かれており、各科目20問の4択問題で構成されています。試験時間はA領域とB領域いずれも100分です。

なお、一般社団法人 日本心理学諸学会連合とは、心理学関連の主要な学会が加盟している組織です。各分野の専門家が心理学検定の問題作成・採点に携わっています。

心理学の資格の中でも難易度は高め

心理学検定には特1級、1級、2級のレベルがあります。受験資格はないため、学生から社会人まで幅広い層が挑戦できます。心理学の資格の中では難易度が高めです。2023年の2月〜3月に実施された検定結果によると、特1級の合格率は17.20%、1級は20.35%、2級が24.81%となっています。(※)

心理学検定は合格した科目数に応じて認定される級が決まります。特1級はA領域とB領域の全10科目に合格しなければなりません。1級はA領域の4科目を含めて6科目の合格が条件です。2級はA領域の2科目を含めて3科目の合格で取得できます。

参考日本心理学諸学会連合「第16回⼼理学検定 結果概要(PDF)(2023年2⽉21⽇〜3⽉31⽇実施)」

合格科目には優遇措置がある

心理学検定には、合格した科目が5年間有効になる優遇措置があります。それにより、過去5年間の合格科目に受験年度の合格科目を足すことが可能です。

必要な科目を同じ年度内に取得できなくても、有効期間内に取得すれば合格できます。合格科目を再度受験する必要がないため、残りの科目に集中できるというメリットがあります。

また、認定心理士の資格取得者にも優遇措置があります。A領域3科目以上の合格で心理学検定1級を取得可能です。

認定心理士は公益社団法人 日本心理学会が主催する資格です。認定心理士を取得することにより、大学レベルの標準的な心理学の知識・技術を証明できます。

心理学検定に合格するメリット

心理学検定に合格するメリット

心理学検定の合格で得られる主なメリットには以下があります。

● 大学院入試の優遇措置・単位取得制度がある
● 学会の入会・資格の申請条件を得られる
● 就職や転職に有利になる
● 心理学の知識の証明につながる

それぞれ解説するので参考にしてください。

大学院入試の優遇措置・単位取得制度がある

心理学検定は、大学で心理学を専攻する学生にメリットがあります。大学院入試の優遇措置や、大学の単位取得制度が適用される可能性があるからです。大学院入試の優遇措置とは、入学試験の一部科目が免除されたり、成績評価に加点されたりといった制度です。

例えば、広島文教大学大学院の教育学専攻心理学コース・臨床心理学コースでは、一般入試と社会人入試の両方で、心理学検定の級に基づく加点制度が設けられています。

福山大学大学院の人間科学研究科心理臨床学専攻でも、同大学の卒業生(見込み含む)が心理学検定1級・特1級を取得している場合、一般選抜入試の専門科目試験が免除されます。

また、大学の単位取得制度とは、心理学検定が単位として認定される制度です。例えば、名古屋学院大学教育学部や東京立正短期大学現代コミュニケーション専攻では、心理学検定が一定の単位として認められています。(※)
※2024年6月時点の情報

参考日本心理学諸学会連合「心理学検定のメリット」

学会の入会・資格の申請条件を得られる

心理学検定の合格により、学会への入会・資格の申請条件を得られます。

例えば日本カウンセリング学会の場合、心理学検定2級の合格者(A領域の発達・教育または臨床・障害の科目を含む22歳以上の者)に入会資格が与えられます。入会後、所定の要件を満たすことにより、カウンセリング心理士資格認定試験の受験が可能です。

日本応用心理学会では、心理学検定1級の合格者(一般会員または院生会員を希望する22歳以上の者)に入会資格が与えられます。入会後に一定の要件を満たすことにより、応用心理士の取得が可能です。

日本健康心理学会では、心理学検定2級以上の合格者に健康心理士の申請条件が与えられます。

参考日本心理学諸学会連合「心理学検定のメリット」

就職や転職に有利になる

心理学検定の合格は、就職・転職活動時のアピールポイントになります。心理学の知識はカウンセラーだけでなく、一般企業の人事・総務部門でも役立ちます。社員のメンタルヘルスの改善に貢献できる可能性が高いため、企業から評価されやすいでしょう。

また、営業職に関しても、心理学に長けている方が有利です。顧客心理の理解によって適切なコミュニケーションを図りやすくなります。

さらに心理学検定の合格は、自己啓発に取り組む姿勢を示すことができます。学ぶ意欲や向上心は、さまざまな職種・業界で歓迎されるものです。

心理学の知識の証明につながる

心理学検定は心理学の資格の中でも難易度が高めなので、合格によって専門的な知識を証明できます。

前述したように心理学検定は「大学卒業程度の心理学の基本的な知識、および能力を認定する検定」です。大学や専門機関で心理学を専攻した経験がなくても、基礎知識の証明が可能というメリットがあります。

例えばカウンセラーとして働く場合、心理学検定に合格していれば、クライアントから信頼を得やすくなります。技術と知識を客観的にアピールできるからです。

また、心理学系資格の中には、大学・大学院卒業が受験資格というケースがあります。その場合、大学・大学院を卒業していない社会人は受験できません。一方、心理学検定は受験資格がないため、学歴に関係なく合格を目指せます。

心理学検定の概要

心理学検定の概要

心理学検定の概要として以下を解説します。

● 試験科目と内容
● 試験時間・試験方法
● 受験料

スムーズに心理学検定を目指すためにも、検定試験の内容を押さえてください。

心理学検定の試験科目と内容

心理学検定は学歴や年齢を問わず誰でも受験可能です。試験科目はA領域とB領域に分かれます。

A領域の科目は以下の通りです。

● 原理・研究法・歴史
● 学習・認知・知覚
● 発達・教育
● 社会・感情・性格
● 臨床・障害

B領域の科目は以下の通りです。

● 神経・生理
● 統計・測定・評価
● 産業・組織
● 健康・福祉
● 犯罪・非行


A領域とB領域、計10科目から選択して受験します。各科目20問の4肢択一式で構成されており、合格した科目数に応じて認定級(特1級、1級、2級)が決まります。試験期間内であれば、各領域を別日に分けて受験可能です。

参考日本心理学諸学会連合「心理学検定概要」

試験時間・試験方法

心理学検定の試験時間は、A領域とB領域いずれも100分です。受験科目数によって試験時間が変わることはありません。また、任意のタイミングで試験を終了できます。

心理学検定はCBT(Computer Based Testing)方式を採用しています。CBTとは、コンピューターを使用した試験のことです。画面に表示された試験問題にマウスを使用して解答します。

試験開催期間中であれば、全国47都道府県の試験会場から、希望の試験会場と日時を選択できます。ただし予約は先着順なので、早期の予約を心がけてください。

また、選択した試験会場と日時の変更も可能です。その場合は試験3営業日前(土日受検は4営業日前)までの手続きが必要になります。

受験料

心理学検定の受験料は以下の通りです。

領域 一般申し込み 団体割引(10名以上)
A領域 7,700円(税込) 6,600円(税込)
B領域 7,700円(税込) 6,600円(税込)
A領域+B領域 12,100円(税込) 9,900円(税込)

一般申し込みの場合、A領域またはB領域の受検料は7,700円(税込)です。両方の領域を同時に申し込む場合は、A・Bセット割引が適用されて12,100円(税込)となります。

団体で申し込む場合は団体割引が適用されます。A領域またはB領域の受検料は6,600円(税込)です。両方の領域を同時に申し込む場合、A・Bセット割引と団体割引の両方が適用されます。

※上記は2024年6月現在の情報なので、最新情報は公式サイトを確認してください。

参考日本心理学諸学会連合「申込方法」

心理学検定を受験する流れ・手順

心理学検定を受験する流れ・手順

心理学検定を受験するまでの流れ・手順は以下です。

1. 申し込みに関する情報を確認する
2. 試験を申し込む
3. 心理学検定を受験する

それぞれのステップを解説していきます。

1.申し込みに関する情報を確認する

まずは心理学検定の申し込みに関する情報を入手しましょう。主な入手先は以下の3つです。

● 心理学検定の公式サイト
● 心理学検定局への問い合わせ
● 全国の大学・専門学校・生涯学習センター

心理学検定の申し込み期間に関して、第19回試験(2024年7月12日〜8月31日に実施)は2024年5月14日から申し込み可能です。割引受検チケット・団体申し込み期間は2024年5月7日〜6月30日です。

第20回試験(2025年2月14日〜3月31日に実施)に関しては、2024年12月17日から申し込み可能です。割引受検チケット・団体申し込み期間は2024年12月10日〜2025年1月31日となっています。

インターネットに接続できる環境であれば、心理学検定の公式サイトから情報収集してみてください。

2.試験を申し込む

心理学検定はオンライン受付で申し込み可能です。申し込みフォームに受験を希望する級を入力する必要はありません。合格した科目数によって自動的に判定されるからです。

申し込みを終えると受付完了メールが届きます。その中に受験料振込先が記載されているので入金しましょう。入金確認から5営業日以内に受験チケット(電子バウチャー)が届くので、受検予約ページを確認して予約手続きを行ってください。

なお、団体で申し込む場合は、専用フォームから申し込む必要があります。

3.心理学検定を受験する

心理学検定に申し込み後、試験期間内に受験します。結果通知は試験期間終了の翌月末までに登録した住所宛てに送付されます。不合格の場合は、次の受験の目安となる「3段階のレベル分け」の結果が届くので確認してください。

心理学検定の勉強法

心理学検定の勉強法

心理学検定は出題範囲が広いため、しっかり勉強する必要があります。ここでは独学と通信講座に分けて、それぞれの勉強方法を解説していきます。

独学で勉強する

心理学検定を独学で進める場合、参考書と問題集の活用が重要です。

まずは「心理学検定 基本キーワード」「心理学検定 専門用語&人名辞典」「心理学検定 公式問題集」といった書籍を購入しましょう。いずれも日本心理学諸学会連合が販売しています。

次に「心理学検定 基本キーワード」のような参考書から勉強を始めてください。参考書を読みながら、随時「心理学検定 公式問題集」を解いて知識を確認します。参考書→問題集の反復によって少しずつ知識が定着するでしょう。

ただし、独学の場合、スムーズな理解が難しいかもしれません。心理学全般の独学は大変なので、次に解説する通信講座も検討してください。

通信講座を活用する

通信講座は独学に自信がない人や、適切な参考書選びに迷っている人におすすめです。

通信講座の最大のメリットは体系的なカリキュラムです。心理学の基本から応用まで、効率的に学べるように設計されています。仕事や家事で忙しい人でも、隙間時間を活用して勉強しやすいでしょう。

また、質問制度を提供している通信講座であれば、疑問点をスムーズに解消できます。前述したように独学は分からない箇所を解決しづらいため、「質問できる」というメリットは大きいと言えます。

通信講座は独学よりも費用がかかるものの、正確かつ効率的に学びたい人に最適な勉強法です。ただし、一口に通信講座と言ってもさまざまです。「心理学検定の合格を目指せるかどうか」という視点を重視して通信講座を選んでください。

心理学検定以外で知識を学べる資格

心理学検定以外で知識を学べる資格

心理学検定以外にも、心理学の知識を学べる資格があります。初心者におすすめの資格は以下です。

● メンタル心理カウンセラー
● メンタル総合心理®
● 上級心理カウンセラー
● チャイルド総合心理®

それぞれ詳しく紹介していきます。

なお、心理学・カウンセラー講座の選び方に関しては、以下の記事もご覧になってください。

心理学・カウンセラー講座の選び方
関連記事心理学の種類・活用方法を解説!仕事や恋愛・人間関係に役立てたいポイント
カウンセリングとは?どんな内容?効果や料金も解説!
心理カウンセラーになるには?必要な資格や仕事内容は?

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心理学検定に関するよくある質問

心理学検定に関するよくある質問

心理学検定に関するよくある質問を2つ紹介します。

心理学検定は公認心理師試験の受験に役立つ?

公認心理師は2024年6月時点、日本で唯一の心理職の国家資格です。心理学の専門知識と技術を用いて、心の問題を抱える人々を支援します。

心理学検定の勉強は、公認心理師試験の受験に役立ちます。出題科目に類似点が多いからです。おおよその対応関係は以下の通りです。

心理学検定の科目 公認心理師の科目
原理・研究法・歴史 心理学研究法、心理学実験
学習・認知・知覚 学習・言語心理学、知覚・認知心理学
発達・教育 発達心理学、教育・学校心理学
社会・感情・性格 感情・人格心理学、社会・集団・家族心理学
臨床・障害 臨床心理学概論、障害者・障害児心理学、心理学的支援法
神経・生理 神経・生理心理学
統計・測定・評価 心理学統計法、心理的アセスメント
産業・組織 産業・組織心理学
健康・福祉 健康・医療心理学、福祉心理学
犯罪・非行 司法・犯罪心理学
関連記事公認心理師とは?受験資格・仕事内容や臨床心理士との違いを解説!

心理学検定の級位は履歴書に書ける?

心理学検定の級位は履歴書の資格欄に記載できます。合格科目数に応じて「心理学検定特1級」「心理学検定1級」「心理学検定2級」のいずれかを記載してください。「一」「二」といった漢数字ではなく、「1」「2」というアラビア数字で書く必要があります。

また、「心理学検定あり」「心理学検定に合格」といった曖昧な書き方は避けなければなりません。

心理学に関する資格を取得して就職・転職に活かそう

心理学に関する資格を取得して就職・転職に活かそう

心理学検定には特1級、1級、2級のレベルがあります。誰でも受験できるものの、難易度は高めです。

心理学検定の合格により、大学院入試の優遇措置・単位取得制度の利用、学会への入会、就職や転職が有利、心理学の知識の証明といったメリットがあります。

キャリカレの心理学に関する資格でも基礎知識を学べます。対象講座として、メンタル心理カウンセラー、メンタル総合心理®、上級心理カウンセラー、チャイルド総合心理®があります。合格することで2講座目を無料で受講可能です。

まずは以下のページよりお問い合わせください。

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この記事の監修者

資格のキャリカレ編集部

150以上の通信教育資格講座を展開し、資格取得・実用スキルの習得はもちろん、キャリアサポートまで行う資格のキャリカレ編集部が運営するコラムです。心理カウンセラーは、悩みをもつ人の相談に乗って解決に導く仕事として、人気の高い資格です。心理カウンセラーの詳細や資格試験の詳細、資格の魅力などの最新情報をお伝えしています。

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