宅建士試験の登録実務講習とは?
実際の流れや受講の必要性などについて解説

宅建士試験の登録実務講習とは?実際の流れや受講の必要性などについて解説

こんにちは、資格のキャリカレ編集部です。

ライフスタイルが変化しやすい女性にとって、「宅地建物取引士」、通称「宅建士」は働き方を柔軟に選べる仕事です。しかし、宅建士として活動するには、宅建士試験の合格以外にも宅建士証の交付を受ける必要があるのはご存知でしょうか。

宅建士証を受け取るための条件のひとつに登録実務講習がありますが、講習となるとどれくらいの日数がかかるのか、難易度は高いのだろうかなど、内容を事前に把握しておきたい人も多いのではないでしょうか。

本記事では、宅建士の仕事をするうえで欠かせない宅建の資格について、試験合格後に受講する登録実務講習の内容を紹介します。登録実務講習の受講を控えている人は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

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宅建士試験合格後、宅建士になるまでの流れ

宅建士試験合格後、宅建士になるまでの流れ

宅建士試験は宅建士になるために必要な資格ですが、資格に合格しただけでは宅建士として活動できません。宅建の資格においては、資格に合格した段階では「宅建士」ではなく「合格者」の扱いになります。

宅建士として働きたい場合は、試験を受けた都道府県知事から交付される宅建士証が必要です。宅建士証の交付を受けるためには、合格者による資格登録が必須になります。

よって、宅建士になるためには、宅建士試験に合格し、資格登録して宅建士証の交付を受ける、この3つのステップをクリアしましょう。

ただし、資格登録するには、試験にかかった費用とは別に資格登録費用がかかります。そのため、すぐに宅建士の仕事に就かない場合は、すぐに登録する必要はありません。

資格登録は任意であり、登録しなくても合格が取り消されることはないためです。一度合格すると合格者という立場は一生失われないため、合格後はいつでも登録できます。

宅建士試験における「登録実務講習」とは

宅建士試験における「登録実務講習」とは

宅建士の資格登録には、以下の要件があります。

1. 宅建建物取引士資格試験に合格していること
(2014年度までは「宅地建物取引主任者資格試験」)
2. 宅地建物取引業の実務経験が2年以上あること、もしくは「登録実務講習」を修了していること
3. 宅地建物取引業法18条第1項各号に記載の「欠格要件」に該当していないこと

2つ目の要件にある、登録実務講習について詳しく確認しましょう。

実務経験2年未満の該当者が受ける講習

登録実務講習とは、実務経験2年未満の方が資格登録するために必要な要件です。実務経験としてみなされるものには、顧客への説明や物件の調査等、顧客と接する機会のある具体的な宅地建物の取引に関する業務になります。

宅建業者に勤務していたとしても、受付・案内・秘書・総務・経理といった顧客と接点のない一般管理業務や補助的な事務業務は、実務の経験にカウントされないため注意しましょう。

3つの要件が揃うと資格登録が可能になりますが、登録費用がかかります。登録費用は実施機関によって異なり、費用相場は20,000円〜25,000円程度です。

登録実務講習と「登録講習」「法定講習」の違い

宅地建物取引士に関わる講習には、登録実務講習以外にも「登録講習」と「法定講習」があります。登録実務講習との違いを確認しましょう。

登録講習

登録講習とは、すでに宅建業に従事している方を対象とした、宅建試験の前に開催される講習です。「5点免除講習」や「5問免除講習」とも呼ばれています。登録講習修了の日から3年以内の宅建士試験において、本試験全50問のうち5問(46〜50問目)の問題が免除となるものです。

講習を受講するには、「宅建業従業者証明書」を勤務先に発行してもらう必要があります。「登録講習」も「登録実務講習」と同様、国土交通大臣の登録を受けた登録実務講習実施機関で申し込みや受講が可能です。

登録講習は50時間の学習と1時間の修了試験で構成されています。50時間の学習のうち、最低10時間の対面授業が必須です。

参考国土交通省 登録講習の登録講習機関一覧

法定講習

法定講習とは、宅建士証の交付申請時や更新時などタイミングに必要となる講習です。通常、宅建士試験合格後1年以内であれば交付申請時の受講は不要ですが、合格から1年を超えて宅建士証の交付申請をする場合は必要になります。

また、宅建士証は5年ごとの更新が必要ですが、その際には法定講習を受けなければいけません。法定講習は毎月1、2回ほど開催されており、各都道府県指定の法定講習実施団体で講習を受ける必要があります。

登録実務講習を受けられる場所は全国に19箇所

登録実務講習を受けられる場所は全国に19箇所

登録実務講習は国土交通大臣が所轄する実施機関で受けられます。実施機関は全国各地にあり、令和6年1月29日現在は全国19箇所です。

実施機関によって、スクーリングを実施している場所や期間が異なります。また、実施日時も異なるため、条件に合った機関を探して受講しましょう。機関によっては、再受講が1回無料のところや、修了証をPDFファイルで簡単にダウンロードできるなどのサービスを受けられるところもあります。

詳細な実施場所は、国土交通省のホームページより一覧を確認しましょう。

参考国土交通省 登録実務講習実施機関一覧

登録実務講習は大きく分けて3ステップ

登録実務講習は大きく分けて3ステップ

登録実務講習は、大きく3つのステップに分かれています。それぞれを詳しくみていきましょう。

1.通信講座(約1か月)

まずは、約1か月で通信講座を受講します。登録実務講習の申し込み後に教材が届くため、自宅で勉強を進めましょう。内容は実施機関によってさまざまですが、テキストとDVD、Web上の動画などが中心です。

通信講座は提出する課題があるわけではないため、自分のペースで進められます。学習期間は1か月と設定されていますが、まとまった学習時間が取れる場合は、1か月間かけずに早く済ませてしまっても問題ありません。

仕事や家事・育児の合間の毎日2時間程度を勉強時間に充ててコツコツ勉強する、週末の時間を使ってまとめて勉強するなど、通信講座は生活スタイルに合わせて進められます。

通信講座の学習内容

登録実務講習の通信講座では、下記の科目について学びます。

<宅地建物取引士制度に関する科目>

・宅地建物取引士制度の概要
・宅地建物取引士の役割および義務

<宅地又は建物の取引実務に関する科目>

・受付、物件調査及び価格査定の実務に関する事項
・媒介契約に関する事項
・宅地又は建物の取引に係る広告に関する事項
・宅地又は建物の取引条件の交渉に関する事項
・宅地建物取引業法第35条第1項及び第2項の書面の作成に関する事項
・宅地又は建物の取引に係る契約の締結に関する事項
・宅地又は建物の取引に係る契約の履行に関する事項
・宅地又は建物の取引に係る資金計画及び税務に関する事項
・紛争の防止に関する事項

通信講座では、宅建士試験の出題範囲の中でも、とくに宅建業の実務に関する項目を重点的に学びます。

2.スクーリング(1〜2日間)

通信講座が終了すれば会場まで足を運んで、1〜2日間ほど対面講義を受けましょう。多くの実施機関でのスクーリングは2日間ですが、1日でスクーリングが完了する機関もあります。時間に余裕のない方は、スクーリング期間の短いところで受講しましょう。

実施期間が1日であったとしても、合計12時間の講義を受講しなければならない条件は、2日間の場合と同じです。1日で受けることが負担にならないか、あらかじめ実施時間を確認しておくと安心です。

また、地方で受講する場合は、通える範囲に実施場所があるか、受講可能な日程が設定されているかを事前にチェックしましょう。

スクーリングの学習内容

スクーリングでは、下記の科目について学びます。

<取引実務に関する科目(業務の標準的手順の修得のための演習)>

・取引の目的となる宅地又は建物の調査手法に関する事項
・宅地建物取引業法第35条第1項及び第2項に規定する説明の実施に関する事項
・宅地又は建物の取引に係る標準的な契約書の作成に関する事項

スクーリングでは不動産取引に必要な調査や取引相手への重要事項説明、契約書の作成方法など、実践的な内容が中心です。宅建士の具体的な業務を学ぶには、通信講座だけでは難しい部分があります。

そのわかりづらい部分を、講師からの対面講義やライプ映像などで解説しているのがスクーリングです。

3.修了試験

スクーリングの最後の1時間では、修了試験が行われます。修了試験は作成から採点までを実施機関に任しているため、試験内容は実施機関によってさまざまです。ただし、出題形式は統一されており、構成は40問正誤式と10問記述式で、それぞれ正答率が8割以上で合格です。

修了試験にはテキストや資料集などを持ち込みできるので、リラックスして教材を使って確認しながら解くことが可能です。

登録実施講習の3ステップ、通信講座・スクーリング・修了試験合格が揃うことで、登録実務講習修了証が発行されます。

登録実務講習受講後の流れ

登録実務講習受講後の流れ

講習受講後は、登録実務講習修了証の有効期限内に資格登録を行う必要があります。修了証の有効期限は受験地の都道府県ごとに設けられていますが、10年程度に設定しているところが大半です。

有効期限に余裕があるため、受講後すぐに資格登録を行わない場合や、引っ越し後に登録したい場合もあるでしょう。このようなときは、都道府県に設けられている宅建に関する窓口で事前に確認しておくと安心です。

資格登録手続きの前には、以下の必要なものを準備します。

● 宅建士試験合格証書
● 登録申請書
● 誓約書
● 被保佐人や成年被後見人に該当しない旨の登記事項証明書
● 身分証明書
● 住民票
● 顔写真
● 実務経験証明書もしくは登録実務講習修了証
● 登録手数料

提出物が多いため、手続き前にすべて揃っているか確認しておきましょう。

登録実務講習は必ず受講すべき?

登録実務講習は必ず受講すべき?

登録実務講習は必ず受講する必要はありません。すぐに宅建士として働く必要がないなら、焦って登録実務講習を受けなくても良いでしょう。また、2年以上しっかり実務経験を積んでから宅建士として活動したいなら、登録実務講習は不要です。

宅建士証の交付後は、5年に1度法定講習を受講して更新する必要があり、費用もかかります。そのため、自分の仕事やプライベートの状況をみて、宅建士証が必要になった段階で交付手続きを始めるのが得策です。

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まとめ

宅建士試験に合格しただけでは宅建士として活動できません。宅建士になるには宅建士証を交付してもらう必要がありますが、実務経験2年未満の方は、登録実務講習を受講しましょう。

登録実務講習は全国に19箇所あり、実施機関によって実施場所や日程はさまざまです。事前に詳細を確認して、受講可能な条件の機関を選んでください。

また、宅建士として活動するまでには、3つのステップをクリアする必要があります。最初のステップである宅建士試験を効率よく合格を目指したいなら、『キャリカレ』の「宅地建物取引士合格指導講座」をチェックしましょう。

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この記事の監修者

資格のキャリカレ編集部

150以上の通信教育資格講座を展開し、資格取得・実用スキルの習得はもちろん、キャリアサポートまで行う資格のキャリカレ編集部が運営するコラムです。宅地建物取引士は不動産業界への就職や転職などに役立つ資格です。宅地建物取引士試験の詳細や試験対策をはじめ、魅力や最新情報をお伝えしています。

資格のキャリカレ編集部

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