終活とは?はじめるタイミングと12の活動
最近よく耳にする、終活(しゅうかつ)とは、どのような意味なのでしょうか?また、何をするのでしょうか?言葉だけを聞くと「自分の死」を考えさせられるところがあり、つらく暗いイメージを持ってしまいます。けれど終活は、自分自身の気持ちを整理し、残された自分と家族の人生を充実したものに変えてくれるものです。ここではそんな終活の意味から、やること・始め方を解説します。
目次
終活とは?
「終活」とは、「人生の終わりのための活動」の略です。
具体的には、介護のこと、保険のこと、お墓のこと、葬儀・お葬式のことなどの準備、財産の相続を円滑に進めるための計画などを行います。
そうすることで、遺された家族の負担や家族間のトラブルを大幅に減らすことができます。
さらに“自分”を見つめ、今をよりよく、自分らしく生きることができるようになるといった効果があります。
「終活」とは残された時間を健やかな気持ちで過ごすために、そして残された家族のためにも重要な作業なのです。
終活が必要な理由とは?
昔は家族や地域とのつながりが強く、周囲に任せておけば安心して暮らすことができていましたが、今はそうはいきません。
自分が望む最期を迎えるためには、知識をつけ、選択をしていかなければなりません。
そこで、自分の希望や要望を事前に決めて伝えておく、いわゆる「終活」が必要になったのです。
最近では終活に必要な幅広い知識を持ち、相談人の「悩み」に応えることができる専門家である「終活ライフケアプランナー」のニーズが高まっているほどです。
終活をはじめるタイミングは?
終活を始めるタイミングは人それぞれです。
何となく「終活」や「エンディングノート」に興味を持ったら、きっとその時が始めるタイミングです。
順番としては自分にとって優先順位の高いところから少しずつ始めることをお勧めします。
一度にすべてを行うことはできないので、ひとつひとつ進めていきましょう。
一般的には、退職や還暦など人生の大きな節目に興味を持ち始めるケースが多いようです。
また、配偶者や子から節目のタイミングに万一の段取りについて準備するよう促されることもあります。
一方、必要に迫られて終活を始める人もいます。
がんなどで余命告知を受けたケースです。
どんな状況に置かれていても、終活は体力はもちろん、気力や判断力が充実した状況で始めることが理想です。
じっくり情報収集し考えて、準備していきましょう。
いずれにしろ、「そろそろかな」と思った時が終活を始めるベストなタイミングです。
終活をする5つのメリット
さまざまな理由で終活に取り組む方が増えています。
終活をするメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、終活に取り組む方々の声をもとに、終活をするメリットを紹介します。
「死」に対しての不安を解消できる
いままで死に関する話題は、縁起が悪いと考えられていました。
しかし、終活に取り組んだことで自分自身に整理がつき、不安を解消できたという意見が多く出ています。
遺された家族の負担を減らす
葬儀やお墓などが白紙のままの場合、万が一残されたご家族は決めるべきことが山積みになってしまいます。
エンディングノートに自分の希望することをすべて書いて残しておけば、残された家族は、それを見ながら葬儀などの段取りをすることができるので、これがあることで助かったという声が多く聞かれます。
人生の振り返りができる
終活には、資産や物品の整理をするということが目的ではありますが、これまで培ってきた人間関係や自分の人生を振り返るという大きな目的もあります。
終活に取り組んだ時間は、今までの人生を静かに振り返り色々思い出すよい機会になったと、喜びの声も多くあがっています。
残りの人生を充実させることができる
人生の最期を考える終活は、これからの人生を明るく楽しく暮らすためのよい指針になります。
人生の最期に対する不安を解消できると、これから過ごす未来を前向きにとらえることができます。
遺産相続のトラブルを回避できる
ご自分の死後、残されたご家族が遺産相続のトラブルになり、ご家族の仲が拗れてしまったり、憎みあう関係になるのはとても悲しいものです。
終活では、財産の分配や相続方法などについて具体的に検討します。
必要な場合は、遺言書の作成もできます。
これが終活12の活動
1.医療の希望
例えば、身体の調子が悪く病院で調べてもらい重大な病気が見つかってしまった時、病名や余命告知をしてもらい穏やかに終末期を過ごしたいですか?それとも何も知らないまま病気と戦いたいですか?
もしも自分の時間が残り少ないと分かった時、それを告知してほしいのか否か、残された時間を誰とどこで、どのように過ごしたいのか、自分の希望を家族に伝えておくことは非常に重要なのです。
近年では病院だけではなく、ホスピス・在宅など、いろいろな選択肢があるだけに、家族が悩まないように意思を伝えておきましょう。
2.介護について
今後、介護が必要な状況になったとしたら、残念ながら自分の力で判断することはできないでしょう。
もしかすると認知症を患って自分のことが自分でわからなくなってしまっているかもしれません。
万一のときに周囲に気づいてもらえる環境を作り、自分がどのような介護制度を利用できるかを知っておくことをお勧めします。
3.最後の時に誰に連絡をしてほしいか
病院や自宅で最期の時を迎える際に、誰に連絡をして欲しいか考えておきます。
特に臨終前後は、誰もが慌ててしまい、連絡が必要な相手にできていないということがよくあります。
そうならないためにも、名前と連絡先と自分との関係性をリストにしておきましょう。
4.家系図の必要性
いざという時に必要となるのが家系図です。
家系図は先祖をたどるという意味合いもありますが、終活では子や孫への連絡(伝言)簿として使います。
なぜなら、我が家の親族の関係性や属性、性格などを子どもや孫はよく知りません。
家系図の中には、万一の際には誰に声をかけるのかを書き込みます。
たとえば、弔辞を読んでもらう人に印をつけておけば、残された家族は大いに助かります。
5.遺言書・相続について
遺言書の作成は民法で定められた法律行為で、15歳以上で意思能力があれば誰でも作成することができますが、法律の専門家である弁護士に、子供たちの間で紛争が生じないようにするため、どのような遺言書を作成したらよいのかアドバイスを貰うのもお勧めです。
遺言書を特に書いておいた方がよい場合は、おひとり様の方や、離婚・再婚をした方など、本人が亡くなった後で揉めることが想定されるケースです。
自分亡き後に財産の分け方や相続分をどうして欲しいのかを相続人に書き残しておけば、揉める確率は格段に低くなります。
6.財産の整理・整頓
財産の種類ごとに何がどこにいくらあるかを把握します。
○ 不動産(自宅)
○ 不動産(田畑・収益物件など)
○ 預貯金
○ 株式・投資信託など
○ 生命保険
○ 会員権・骨董品
○ 債権・債務・保証人
これらの財産を整理して、不要なものを処分するのは大変です。
ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に整理を依頼することもできます。
保険や投資商品などの見直し、不動産の売買などを相談してシンプルにしておきましょう。
7.相続税について
相続税は全ての人が支払わなければならないわけではありません。
「基礎控除」があり、遺産総額が基礎控除額内であれば、相続税の申告は必要ないのです。
また配偶者がいる場合は、「配偶者控除」が適用されます。
下記の早見表で、相続税額を簡単に求めることができるので、参考にしてください。
なお、表に記載されている相続税額は、法定相続人全員で負担する金額であり、1人あたりの負担金額ではありません。
相続税を支払うのは財産を相続した人で、相続税の支払いに困らないように納税資金を準備しておくと安心です。
例えば、「預金で現金も一緒に相続させる」「生命保険の保険金を受け取れるようにしておく」などです。
8.贈与税について
贈与税については誰から誰に贈与するのかで税率(納税額)が異なります。
【一般贈与財産(一般税率)】は、兄弟間、夫婦間、親から子へ贈与で子が未成年の場合に使用します。
【特例贈与財産(特例税率)】は、祖父母や親(直系尊属)から子や孫(1/1 時点で日20歳以上)へ贈与する場合に使用します。
9.葬儀について
葬儀は自分で取り仕切ることができないため、家族に希望する葬儀と費用について伝えておくことが必要です。
残された家族は、葬儀について本人が亡くなった後の短時間で判断しなければならないため、後々後悔することも多いようです。
また最近増えている家族葬や直葬は、事前に周囲に告知していなければ、なぜ呼んでくれなかったのかとトラブルの原因にもなります。
本人が望む葬儀の形であったと周囲にも言えるように、エンディングノートなどに希望の葬儀を記載しておきましょう。
10.お墓について
核家族化の影響で、以前のようにお墓を維持することが難しくなりました。
寺院墓地が、お寺へのかかわりや費用の負担も多いことから、昨今少なくなり、代わりに檀家制度のない霊園にお墓を持つ人が増えてきました。
さらに最近ではお寺が責任を持って永代にわたって供養と管理をしてくれる永代供養墓や自然に還ろうとする海や山に散骨する自然葬も人気です。
お墓はいわゆる遺族が故人を偲ぶ(しのぶ)よりどころです。
自分だけでなく、家族とともにどうするかは考えたいものです。
11.老後を支える契約
①財産管理委任契約
財産管理委任契約とは、自分の財産の管理やその他の生活上の事務の全部または一部について、代理権を与える人を選んで具体的な管理内容を決めて委任するものです。
例えば、銀行口座からお金を引き出す、各種の支払いをする、介護保険の申請をするなどがあります。
②任意後見契約
認知症や外傷によって判断能力が失われてしまうと、自分で財産を管理したり、契約をしたりすることが困難になります。
このような場合に自分の代わりに財産管理をしてくれるのが後見人です。
③見守り契約
支援する人が本人と定期的に面談や連絡をとり、備えとしての成年後見制度(任意後見)をスタートさせる時期を相談したり、判断してもらう契約です。
見守り契約をすることによって、定期的に本人と支援する人の意思疎通が可能になるため、備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約をしてから数十年間本人と会わないといったようなことを防ぐことができ、信頼関係を継続させることができます。
④死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、委任者(本人)が第三者(個人、法人を含む)に対し、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等についての代理権を付与して、死後事務を委任する契約をいいます。
⑤民事信託について
家族や親族などの間で行われる、営利を目的としない信託の事を“民事信託”といいます。
信託銀行等で契約する信託は、一般的な商事信託なので内容が異なります。
⑥おひとり様終活のポイントと生前契約
現代社会では生活スタイルも様々で、結婚、出産、離婚などそれぞれ選択も多岐に渡ります。
それに伴いおひとりさまで過ごすケースも増えています。
ただ、年齢を重ねることにより、解決が難しい問題も出てきます。
そんな場合に互助組織等と生前契約を結ぶことで解決可能なこともあります。
⑦ペット(信託契約等)について
飼い主が亡くなった後、日本ではペットに財産を相続させることはできません。
そのためペットの余生を安心して過ごすための施設を運営していたり、新たな飼い主を探してくれたりしているNPO法人など早くから見当をつけて、具体的にどれだけの財産・対価を準備しておくべきか決めておく必要があります。
他にもう一つ「信託」という、法律行為を活用する方法があります。
信託を使う一番のメリットは、ペットのお世話に強制力と監視力をつけることができるという点です。
なぜなら、信託では受託者に課される義務が生じるからです。
自分の大切なペットを自分の万一の際にどのように守っていくかも、現在のペット社会では必要です。
12.自分らしく生きるお金の算段
週刊誌の特集記事などで、老後資金について書かれているのをご覧になって不安に思う方も少なくないのではないでしょうか。
そもそも年金額や持っている資産、かかるお金は人それぞれです。
焦らず、まずは我が家の場合を検討してみる必要があります。
<資産管理のポイント>
• 周囲の雑音に惑わされない
• 少しでも長く収入を得るための活動を行う
• 投資資産は年齢を重ねるごとに縮小していく
• 自宅のリフォーム費用、施設への入所費用も準備しておく
• ムダな出費を控える ※保険・自動車・交際費
まとめ
終活は、自分の人生を全うし、残される家族のために行うとても大切なものです。
また、最後まで自分らしく生きるために、限りある時間の「上手な使い方」を考えることができるよい機会となります。
ぜひ思い立った日から始めることをお勧めします。
でも、やっぱり自分でやるには難しそう…という方も多いのではないでしょうか?
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終活を学んで実践すれば、心や頭の中がすっきり整い、これからの人生がより充実したものになります。
是非この機会に終活を学び、実践してみてはいかがでしょう。