人生を豊かにするポジティブ心理学とは?
仕事や私生活に役立てる方法や学び方などを解説

こんにちは、資格のキャリカレ編集部です。
資格取得を目指す方のなかには「仕事だけでなく私生活でも活かせるスキルや知識を身につけたいけど、何について学べばいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
社会情勢の変化や働き方改革などの影響を受け、仕事や生活の仕方にも大きな変化がみられる昨今、ポジティブに感情や行動をコントロールするのに役立つ「ポジティブ心理学」という学問に注目が集まっています。
資格取得で「今後の人生を豊かにしたい」と考えているなら、ポジティブ心理学の科学的な考え方や理論を学び、自分の強みとして力に変えてみてはいかがでしょうか。
この記事では、ポジティブ心理学の概念やよりよい人生にするために役立てる方法、本で学びたい人向けのおすすめ書籍などを紹介します。最後に問い合わせ先や資格一覧もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ポジティブ心理学とは?

ポジティブ心理学は、ペンシルベニア大学の心理学部教授であったマーティン・E・P・セリグマン博士が1998年に創設した学問です。その定義は「それぞれの人生や所属する組織、社会のあり方が、本来あるべき姿に向かう状態に注目し、その状態を科学的に検証・実証する心理学」とされています。
世界的に見てもさまざまな場面でポジティブ心理学の活用が進められており、教育現場や組織づくりの教育プログラムとして「ポジティブ教育(ウェルビーイング教育)」や「レジリエンス・トレーニング」などが取り入れられるなど、研究・実践が進んでいる分野です。
従来の心理学との違い
ポジティブ心理学は、従来の心理学とは異なる視点なのが特徴です。従来の心理学では、人間のネガティブな側面に焦点を当てているのに対して、ポジティブ心理学では、人間のポジティブな側面に焦点を当てています。
そのため、従来の心理学は、精神疾患や精神的な悩みがある人を対象として心理学的にアプローチするものでした。一方、ポジティブ心理学は、人生をより良くするために経済学や経営学などの社会科学、生物学や脳科学などの自然科学、人文学など、心理学のみに留まらないアプローチを含め、包括的用語として活用・実践されています。
ポジティブシンキングとの違い
ポジティブ心理学に似た言葉にポジティブシンキングがありますが、全く異なる用語です。ポジティブシンキングは、物事をポジティブに考える思考法であるのに対して、ポジティブ心理学は、持続的な幸福を手に入れるためにできることを科学的に研究する学問を指しています。
ポジティブシンキングでは、自分の経験や考え方によってポジティブな捉え方も異なるため、人によって効果に差が出るケースがあるでしょう。
一方、ポジティブ心理学の場合は、さまざまな分野の統計データを基に科学的に検証や実証されているため、多くの人に役立つ学問とされています。そのため、国によっては政府レベルで活用が推進されており、軍や学校などの教育プログラムとしても活用が進められている分野です。
ポジティブ心理学の概念「ウェルビーイング」とは?

ポジティブ心理学の重要な概念として「ウェルビーイング」が挙げられます。ウェルビーイングにはどのような意味があるのでしょうか。ここからは、ウェルビーイングの意味や3つの種類について詳しく解説します。
ウェルビーイングの意味
ウェルビーイングには、「幸福」という意味があります。ただし、ポジティブ心理学では、瞬間的な幸福よりも「持続的な幸福」の追及を重視しているため、ウェルビーイングという言葉も「幸福な状態を維持する」という意味で用いられるケースがほとんどです。
また、持続的な幸福で示される「幸福」には、多面的な意味もあります。単純に精神的な部分だけではなく、肉体面や社会面でも満ち足りているといった意味が含まれており、ポジティブ心理学では「フラーリッシュな状態」などと表されるケースもあります。
ウェルビーイング3つの種類
ポジティブ心理学における「ウェルビーイング」として、以下の3つが挙げられます。
● 持続的ウェルビーイング
● 快楽的ウェルビーイング
● 医学的ウェルビーイング
それぞれのウェルビーイングの概念について解説します。
1.持続的ウェルビーイング
持続的ウェルビーイングは、ウェルビーイングのなかでも持続的な幸福の指標ともいえる概念です。主に、人が持つ潜在能力や人生に対する意義を探り、うまく引き出していくことで得られる快感や幸福を意味します。
持続的な幸福を導き出す指標として「フローリシング(開花)」とも呼ばれ、モチベーションを引き出すことを大事にするポジティブ心理学の重要な理念として、自律性や自己肯定感などを重要視するのが特徴です。
2.快楽的ウェルビーイング
快楽的ウェルビーイングとは、瞬間的な快楽など、人間の感情や精神的な部分に焦点を当てたウェルビーイングです。
心理学者であり行動経済学者でもあるダニエル・カーネマン氏によると、人間は、意志決定の際に感情と合理的判断の2つの要素から考えており、結果的に感情に左右されるケースが多いと論証しました。
またカーネマン氏は「ピークエンドの法則」も提唱しており、あらゆる経験における快苦の記憶は、ピーク時と終了時の快苦によって決定されるという傾向についても論じています。
このようなカーネマン氏の論証を基に快楽的ウェルビーイングでは、持続的な幸福のために感情や精神的な面からアプローチすることを基本理念としています。
3.医学的ウェルビーイング
医学的ウェルビーイングとは、心身ともに健康的な状態を指します。医学的ウェルビーイングは、心身が健康であることに焦点を当て、持続的な幸福へとつなげようとする概念として生まれています。
具体的には、ストレスチェックや定期的な健康診断などで、自分の健康状態を把握しておくことや、何か心身に問題が起きても早期に対処できるよう備えておくことを重視するのも、医学的ウェルビーイングの一環です。医学的に健康な状態を維持し、持続的な幸福につなげることを基本理念としています。
ポジティブ心理学を支える5つのPERMAモデル

ポジティブ心理学を支える柱として、「PERMAモデル」があります。PERMAモデルは、ウェルビーイングにおける多面的な部分を5つの領域で説明するものです。それぞれの定義を解説します。
1.Positive Emotion(ポジティブ感情)
Positive
Emotion=「ポジティブ感情」は、歓喜(うれしい)や笑い(楽しい・面白い)、感謝、感動などの前向きな感情を指しています。PERMAモデルのなかでは、この前向きな感情によってネガティブな感情を抑制し、行動や思考につなげることで、ウェルビーイング(持続的な幸福)につながると考えられています。
物事を肯定的に捉えるポジティブ感情は、人間の対処力や回復力を高め、行動や思考の選択肢を広げるという考えに基づくものです。心理学において人生の幸福感は、このポジティブ感情によって向上が期待できると定義されています。
2.Engagement(没頭や没入)
Engagement=「没頭や没入」は、どんな物事かは問わず、時間を忘れて没頭したり、夢中になっている状態を指します。スポーツ選手によって語られることが多い「ゾーン」と呼ばれる感覚と同様で、物事に積極的に取り組んでいる場面です。
没頭や没入している状態では、その人の積極性や集中力、作業効率、生産性が向上するとされています。さらに、ネガティブな感情も抑制する効果があるため、ポジティブ心理学のウェルビーイングにおいても重要な要素です。
3.Relationship(豊かで良好な人間関係)
Relationship=「豊かで良好な人間関係」は、友人や家族、パートナー、仲間などの他者との関係が良好にある状態を指します。社会での人間関係は、その人の人生の幸福にも深く関わるため、ウェルビーイングに大きく影響する要因です。
ここでは、単に他者との関わりやつながりがある状態だけを指すのではなく、他者から受ける援助や他者への貢献が自身の幸福を高めることを表しています。また、他者と自分を比較しないことも幸福につながる重要な要因とされています。
4.Meaning(人生の意味や意義)
Meaning=「人生の意味や意義」は、人生の目的や生きがい、価値観などに自覚的であるかという領域です。
この領域では、人が生きるうえでどんなことに価値を見出すのか、優先事項は何か、大切なことは何かという部分が人生の幸福度に大きく影響すると定義しています。そのため、ポジティブ心理学においてウェルビーイングを高めるには、人生の意味や意義の明確化が必要です。
5.Accomplishment(達成や完遂)
Accomplishment=「達成や完遂」は、仕事や私生活に関わらず、物事を最後までやり遂げることで充実感を得ている状態を表す領域です。
生活のなかで達成感やそれに伴う充実感が得られる状況は、ポジティブな感情を生み出しやすいとされています。たとえば、「目標額を貯金する」「資格を取る」「営業成績を達成する」などの成功体験が該当するでしょう。設定する目標が高ければ高いほど、達成した際の幸福度は高くなります。
ポジティブ心理学を人生に役立てる方法

ポジティブ心理学は、人生を幸福にするためにネガティブな感情やポジティブな感情を多方面から考える学問です。そのため、仕事や私生活などに役立つ場面がたくさんあります。
ここからは、ポジティブ心理学を学び、人生に役立てるための方法について詳しく解説していきます。
自分の強みを発揮する
人は誰にでも、長所や短所があります。短所とされる部分を改善したり、他人から指摘されたりするのは、あまりいい気分ではありません。しかし、長所に気づき、それを強みとして発揮し、他者への貢献に活かせれば、前向きな感情が生まれます。ただし、強みを生かせる適切な役割を担うには、自分の強みが何かを把握しておかなければなりません。
自分の長所や強みが何かわからないという場合には、ポジティブ心理学で用いられる「Character Strength(キャラクターストレングス)」が参考になります。Character Strengthは、人の普遍的な強みを24個・6領域に定義しているもので、自分の強みを把握するのに役立つでしょう。
感謝の気持ちを大切にする
ポジティブ心理学では、ポジティブな感情は感謝の気持ちからも生まれやすく、積極的に感謝を伝えることを重要視しています。ポジティブな感情が生まれる機会が増えれば、ネガティブな感情が抑制されるため、日ごろから感謝の気持ちを大切にするという意識が大事です。
小さな出来事であっても感謝を忘れず、常に相手に伝えていけば、家庭や職場での人間関係も良好になりやすく、ポジティブな関係性が生まれます。人間関係が豊かになれば、困ったときには助けを得られたり、励ましてもらえたりなど、困難を乗り越えるための支援も得られるでしょう。
ネガティブな思想を認める
ネガティブな感情や思想は誰もが持っているものであり、否定する必要はありません。ネガティブな感情や思想は、この先に起こりうる危険やリスクなどを回避するのに役立つ要素でもあるからです。
ポジティブ心理学では、ポジティブな感情を生み出す重要性はもちろん、ネガティブな感情がなぜ生まれたのかを追求し、その不安要素を取り除くことも重要視しています。ポジティブ・ネガティブ両方の思想を認めたうえで、豊かな人生を歩んでいくことが大切です。
ポジティブな思考を持つ
先述の通り、ネガティブな感情や思考は不安要素から生まれるため、そのままにしておくと変化を恐れたり、諦めてしまったりして悲観的になってしまいます。一方、ポジティブ思考は、物事を前向きに捉えて楽観的な考え方ができるようになるため前進しやすく、人生において役に立つ場面が多くあるでしょう。
ポジティブ思考では、現実としっかり向き合ったうえで楽観的に捉え、モチベーションを高く維持するという特徴があります。
失敗や不運なことが起きた場合、ネガティブ思考だと内的要因によるものと捉えがちなため、なかなかその状況から抜け出せないかもしれません。しかし、ポジティブ思考の場合は内的要因よりも外的要因に目を向けて、解決の糸口を見つけようとする傾向にあります。
そのため、ポジティブ思考を持っておけば、人生において問題やトラブルが発生した場合でも、モチベーションを落とさずに状況をいい方向へ変化させようとする考え方ができるようになるでしょう。
ポジティブ心理学を学べる本

ポジティブ心理学を独学で理解したい場合は、心理学についての本(書籍)を活用するのも1つの方法です。ここからは、ポジティブ心理学について学べるおすすめの本を3冊ご紹介します。
『ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へ』
新しい心理学の潮流をけん引する第一人者でもあるマーティン・セリグマン著の「ポジティブ心理学の挑戦
"幸福"から"持続的幸福"へ」は、一般的な心理学とは異なる目標を持つポジティブ心理学について、ダイナミックな新しい概念を用いながら定義している本です。
ポジティブ心理学における「幸福」とは何かを追求し、人生を豊かにするための持続的な幸福をみつける方法について説かれています。未来に長く続く幸福を得たいという方におすすめの本です。
『実践ポジティブ心理学 幸せのサイエンス』
慶應大学院のシステムデザイン・マネジメント研究科教授として活躍している前野隆司著の「実践ポジティブ心理学
幸せのサイエンス」。ネガティブ思考を持ちがちな日本人がポジティブ心理学を受け入れる方法についてわかりやすく解説している本です。
幸福学の研究に基づいて、日常生活においていかにポジティブ心理学を活かすかについて説かれているほか、幸福度テストも掲載されているため、自分の今の幸福度もチェックできます。
学びながらポジティブな思考を実践してみたい方におすすめです。
『ポジティブ心理学が1冊でわかる本』
欧州におけるポジティブ心理学の第一人者として名高いイローナ・ボニウェル著の「ポジティブ心理学が1冊でわかる本」。実験結果に基づくポジティブ心理学の概念をわかりやすく解説している本です。
「成功するから幸せになるのではない。幸せだから成功するのだ。」という豊かな人生を送るための考え方を日常生活に応用するための方法が示されています。これからの人生を満たしていきたい、読みやすい本で学びたいという方におすすめです。
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ポジティブ心理学を仕事や私生活に役立てよう
心理学のなかでも新しい考え方を取り入れた「ポジティブ心理学」は、仕事や私生活で大いに役立つ学問です。「今後に役立つスキルや知識を身につけたい」「役立つ資格を取得したい」という方は、ぜひポジティブ心理学を選択肢として入れてみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修者
資格のキャリカレ編集部
150以上の通信教育資格講座を展開し、資格取得・実用スキルの習得はもちろん、キャリアサポートまで行う資格のキャリカレ編集部が運営するコラムです。心理カウンセラーは、悩みをもつ人の相談に乗って解決に導く仕事として、人気の高い資格です。心理カウンセラーの詳細や資格試験の詳細、資格の魅力などの最新情報をお伝えしています。