ITパスポートとはどんな試験?
合格するメリットや難易度・勉強方法など詳しく解説

ITパスポートとはどんな試験?合格するメリットや難易度・勉強方法など詳しく解説

こんにちは、資格のキャリカレ編集部です。

「ITパスポートってどんな試験なの?」と思っている人も多いのではないでしょうか。ITパスポートとは、ITの基礎的な知識を証明できる国家資格です。

今回の記事では、最初にITパスポート試験の概要を紹介します。その後にITパスポートと似た試験との違い、ITパスポート試験の難易度、合格するメリットなどを詳しく解説していきます。

また、記事の後半では、ITパスポート試験の出題範囲、勉強時間の目安、学習方法も紹介するのでぜひ参考にしてください。

本記事を読むことで、ITパスポート試験の全体像が分かるでしょう。

目次

ITパスポート試験とは

ITパスポート試験とは

ITパスポート試験は経済産業省が認定する国家試験の一つです。取得することでITの基礎知識を証明できます。情報処理技術者試験の入門レベルに位置づけられているため、IT系の国家試験の中でも取り組みやすいでしょう。

ITパスポートはエンジニア職だけでなく、一般事務職や営業職など、IT業界以外の社会人からの人気も高いです。「就職活動を有利に進めたい」「将来のキャリアに備えたい」と考えている学生も目指しやすい資格と言えます。

企業の大半がパソコンやインターネット等を使用しています。したがってITパスポートで学ぶ知識は、現代のビジネスパーソンにとって必須のスキルと言えるでしょう。

ITパスポートと似た試験との違い

ITパスポートと似た試験との違い

ITパスポートと混同されがちな試験に以下があります。

・初級システムアドミニストレータ試験
・MOS試験
・情報処理技術者試験

それぞれの試験とITパスポートの違いについて解説します。

ITパスポートと初級システムアドミニストレータ試験の違い

ITパスポートと初級システムアドミニストレータは、どちらも情報処理技術に関する基礎的な知識を問う試験です。しかし初級システムアドミニストレータはすでに廃止されており、現在はITパスポートが後継資格に該当すると言われています。

難易度に関しては、ITパスポートよりも、初級システムアドミニストレータの方が高めでした。初級システムアドミニストレータはIT業務のリーダー育成を目的とした試験です。一方のITパスポートは、より幅広い分野の基礎知識を問う試験となっています。

合格率を比較しても、30%程度だった初級システムアドミニストレータに対して、ITパスポートは約50%と高い結果となっています。

ITパスポート試験とMOS試験の違い

ITパスポートとMOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)は、いずれもIT関連のスキルを証明する資格です。ただし性質や目的などに違いがあります。

ITパスポートは経済産業省が認定する国家資格である一方、MOSはマイクロソフト社が認定する民間資格です。

試験内容にも違いがあります。ITパスポートがITに関する幅広い基礎知識を問う一方、MOSはマイクロソフト オフィス製品(Excel、Word、PowerPointなど)の知識や操作スキルを評価する試験です。

また、ITパスポートの四肢択一式に対して、MOSは実際にパソコンを操作する実技型の試験という違いもあります。

さらにITパスポートの目的はビジネスパーソン全般に求められるIT知識の証明である一方、MOS目的は、マイクロソフト オフィス製品の実践スキルの証明という違いがあります。

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ITパスポートと基本情報技術者の違い

ITパスポートと基本情報技術者は、いずれも情報処理技術者試験の一環として実施される国家資格です。しかし受験対象者や問題形式、難易度や合格率などに違いがあります。

受験対象者の違いとして、ITパスポートはITリテラシーを向上したい社会人や学生など幅広い層を対象にしています。一方の基本情報技術者試験は、主にITエンジニアやシステム開発者が対象です。

また、ITパスポート試験は四肢択一方式で出題されます。一方の基本情報技術者試験は、科目Aが多肢選択式(四肢択一)、科目Bは多肢選択式での出題です。基本情報技術者試験には長文形式や論理的思考を問う問題も含まれます。

難易度と合格率にも開きがあります。ITパスポートの合格率は約50%と比較的高く、基礎的な知識があれば合格可能です。一方の基本情報技術者試験の合格率は20〜30%程度と低く、より高度な知識と理解が求められます。

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ITパスポート試験の難易度は?

ITパスポート試験の難易度は?

ITパスポート試験の難易度として、合格率と合格基準を詳しく解説するので参考にしてください。

ITパスポート試験の合格率

ITパスポート試験は他の国家試験よりも比較的難易度が低めです。

情報処理推進機構「ITパスポート試験 試験結果」の統計によると2024年(令和6年5月)試験の合格率は53.5%となっています。社会人の合格率は55.6%、学生の合格率は43.6%です。

また、2024年(令和6年4月度〜5月度)の累計を見ても、合格率は51.7%と半数を超えています。社会人の合格率は54.2%、学生の合格率は41.1%です。

このように、最近の合格率は平均50%前後、およそ2人に1人が合格しています。

なお、学生よりも社会人の合格率が高いのは、「会社での実務経験や知識を試験に活かしやすい」という理由が大きいようです。ただし学生も4割以上が合格しているため、比較的合格しやすい難易度と言えます。

※2024年7月時点の情報

参考情報処理推進機構「ITパスポート試験 試験結果」PDF

ITパスポート試験の合格基準

ITパスポート試験は、IRT(Item Response Theory:項目反応理論)方式による評価点が合格基準となっています。IRT方式とは、受験者の解答結果から評価点を算出する形式です。

IRT方式が採用されている主な理由として「試験問題の難易度による格差防止」があります。それにより、受験者はどの試験回を受けても公平に評価してもらえます。

ITパスポート試験の合格ラインは以下の通りです。

1. 総合評価点:1000点満点中600点以上
2. 分野別評価点:各分野(ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系)で1000点満点中300点以上

総合点で高得点を取っても、分野別で300点を下回ると不合格なので注意してください。

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ITパスポート試験に合格する4つのメリット

ITパスポート試験に合格する4つのメリット

ITパスポートに合格する主なメリットは次の通りです。

1. ITの基礎知識を身に付けられる
2. 幅広い分野の知識を習得できる
3. 就職や転職に役立てられる
4. 上位資格への挑戦につなげられる

それぞれ解説するので参考にしてください。

1. ITの基礎知識を身に付けられる

ITパスポートの学習を通して、IT分野の基礎知識を習得できます。多数の企業がITを活用しているため、業種を問わず幅広く役立つでしょう。

特にエンジニアを目指す人にとって、ITパスポート合格は重要なファーストステップです。IT業界で必要な基礎知識を習得できるだけでなく、より高度な資格へのステップアップにつながるからです。したがってITエンジニアを目指す場合、まずはITパスポートから目指すことをおすすめします。

2. 幅広い分野の知識を習得できる

ITパスポートの学習で習得できる知識は多岐にわたります。決してITの基礎知識だけではありません。例えば、経営戦略の基本や戦略、財務管理、法務の基礎知識、マーケティング、ビジネスインダストリ、プロジェクトマネジメントなどが試験範囲に含まれています。

このような幅広い知識は、ビジネス上の様々な場面で求められるでしょう。

3. 就職や転職に役立てられる

現代のビジネス環境において、ITの重要性は日々高まっています。多くの企業がIT知識を持つ人材を積極的に求めている状況です。そのような背景から、ITパスポートが注目を集めています。

例えば、事務職への就職を目指す場合、一定のパソコンスキルがあるという証明につながります。

ただし、IT関連資格の中では基礎的な内容なので、ITエンジニアのようなIT系職種の就職で有利になるとは限りません。そのためIT専門職を目指す場合は、関連する上位資格の取得も検討してください。

4. 上位資格への挑戦につなげられる

ITパスポートの合格によって、IT系の上位資格に挑戦しやすくなります。ITパスポートの試験範囲は、上位資格である「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」の基礎知識に該当するからです。

例えば、情報セキュリティやネットワーク、データベースなどの基本概念は、上位資格において、より深い理解が求められるものの、基本的な枠組みは共通しています。そのため、ITパスポートの学習経験によって、上位資格の試験対策を効率的に進めやすくなります。

ITパスポート試験の概要を確認

ITパスポート試験の概要を確認

ITパスポート試験の概要の一覧は次の通りです。

項目 内容
試験時間 120分
出題数 100問
出題形式 四肢択一式
出題分野 ストラテジ系(経営全般)
マネジメント系(IT管理)
テクノロジ系(IT技術)

試験時間120分間に四肢択一式が100問、出題されます。出題分野はストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の3つの分野です(出題範囲については後述します)。

試験会場は全国47都道府県に設置されています。ただし都道府県によって試験会場数は異なるので、情報処理推進機構のホームページで確認してください。

また、試験日は年間を通して随時、実施されています。具体的な日程は試験会場によって異なるものの、週2回(毎週土曜日と日曜日)実施するケースが多いようです。試験会場によっては平日も実施しています。

申込受付期間は試験日の3ヶ月前からです。ただし、各試験実施日で受験できる人数に制限があるため、早期の申し込みを検討してください。

参考情報処理推進機構「試験内容・出題範囲」

ITパスポート試験3つの出題範囲

ITパスポート試験3つの出題範囲

ITパスポート試験は「ストラテジ系(経営全般)」「マネジメント系(IT管理)」「テクノロジ系(IT技術)」の3つの分野から出題されます。

それぞれの出題範囲を解説するので参考にしてさい。

1.ストラテジ系

ストラテジ系の出題範囲(大分類と中分類)は以下の通りです。

大分類 中分類
企業と法務 企業活動、法務
経営戦略 経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ
出題形式 四肢択一式
システム戦略 システム戦略、システム企画

ストラテジ系は企業経営に関する幅広い知識を問う分野です。企業活動、個人情報保護、著作権、経営戦略マネジメント、システム戦略の出題が多い傾向があります。過去に行われた試験の傾向を参考に学習を進めましょう。

ビジネス用語や経営の基礎知識が問われるため、会社員経験がある社会人が有利です。常識で考えて解ける問題が出題される可能性もあります。

出題数は約35問となっており、ITパスポート試験全体の約3分の1を占めています。

参考情報処理推進機構「試験内容・出題範囲」

2.マネジメント系

マネジメント系の出題範囲(大分類と中分類)は以下の通りです。

大分類 中分類
開発技術 システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術
プロジェクトマネジメント プロジェクトマネジメント
サービスマネジメント サービスマネジメント、システム監査

マネジメント系は開発技術と各マネジメントに関する知識を問う分野です。システム開発、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメントの出題が多い傾向があります。

ITの現場で使用される用語や概念が出題されるため、実務を経験している方が有利です。ただし基本的な概念や流れを理解することで、実務経験なしでも十分に対応できるでしょう。

出題数は約20問となっており、ITパスポート試験全体の約20%を占めています。
参考情報処理推進機構「試験内容・出題範囲」

3.テクノロジ系

テクノロジ系の出題範囲(大分類と中分類)は以下の通りです。

大分類 中分類
基礎理論 基礎理論、アルゴリズムとプログラミング
コンピュータシステム コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア
技術要素 情報デザイン、情報メディア、データベース、ネットワーク、セキュリティ

テクノロジ系はIT技術に関する幅広い知識を問う分野です。コンピュータやネットワークの基本的な仕組み、データベース、セキュリティなどが出題される傾向があります。

技術的な用語や概念が出題されやすいため、情報技術に詳しい方が有利です。ただし基本的なキーワードと概念を押さえることで十分に対応できます。

出題数は約45問となっており、3つの分野の中で最も多く出題されます。

参考情報処理推進機構「試験内容・出題範囲」

ITパスポート試験に合格するのに必要な勉強時間の目安

ITパスポート試験に合格するのに必要な勉強時間の目安

ITパスポート合格に必要な勉強時間の目安について解説します。ITに関する知識がない場合とある場合に分けて説明するので参考にしてください。

関連記事ITパスポート取得に必要な勉強時間の目安は?確実に合格するためのポイントも紹介

ITに関する知識がない場合

ITに関する知識がない人が合格を目指す場合、130〜180時間の勉強時間が目安になります。1日2時間の学習ペースで約2〜3ヶ月間かかる計算です。

ITパスポートのテキストには様々なIT用語が掲載されています。基礎知識がない場合、まずは用語に馴染むことから始めるとよいでしょう。覚える項目も多いので、焦らず地道に勉強を続けることがポイントです。そのため、余裕を持ったスケジュール設定が重要になります。1日2時間の学習ペースで約2〜3ヶ月間かかる計算です。

ITに関する知識がある場合

情報処理系の学校を卒業していたり、IT関連の仕事に従事していたりという場合、一定の基礎知識が備わっていると判断できます。そのため、100〜130時間の勉強時間を目安にしてください。1日2時間の学習ペースで2ヶ月ほどかかる計算です。

まずは過去問や予想問題に挑戦し「どのくらい正解できるのか?」を確認しましょう。その上で苦手分野があれば重点的に取り組んでください。苦手分野を克服することで全体的な得点アップが期待できます。

また、得意分野に関しても油断は禁物です。試験日までに問題形式や出題傾向に慣れておく必要があります。

ITパスポート試験の勉強方法

ITパスポート試験の勉強方法

ITパスポート試験の勉強方法には以下があります。

・参考書や過去問を活用して勉強する
・通信講座を利用する

それぞれ解説するので参考にしてください。

参考書や過去問を活用して勉強する

ITパスポートを独学で進める場合、参考書と過去問題集が大切です。

参考書を選ぶ際は、「本試験に対応できる内容かどうか」を重視してください。あまりにも内容が薄い参考書は試験に対応できない可能性があるため、全範囲をもれなくカバーしている参考書を選びましょう。

次に、過去問題集は「解説が分かりやすいかどうか」が大切です。解けなかった問題でも、解説を読んで内容を理解できれば、優れた過去問題集と判断できます。

具体的な過去問題集の解き方として、まずは1回分の試験回を解いてみてください。その時点で正解した問題が多ければ、間違えた問題を中心に参考書で復習しましょう。

正解した問題が少ない場合は、参考書でじっくり学習した後、何度も過去問を解いて正答率を100に近づけることが大切です。

通信講座を利用する

「独学だと学習スケジュールの管理やモチベーション維持が難しい」という場合は通信講座が一番おすすめです。

通信講座のメリットとして、質の高い教材が挙げられます。参考書と問題集だけでなく、映像講義や用語集、模擬テストがセットになっている通信講座もあるため、効率よく学習を進められます。

通信講座のなかでも一番のおすすめはキャリカレの「ITパスポート合格講座」です。
キャリカレの通信講座では、講師による添削指導を受けられ、サポート期間中は何度でも質問ができます。キャリカレの通信講座を利用すれば効率良く実力を伸ばせるでしょう。

また、キャリカレの通信講座では学習プランやスケジュールの提案も実施しています。明確なカリキュラムに基づいて計画的に勉強を進められる(学習を習慣化しやすい)という点もメリットです。

独学よりも費用がかかるというデメリットはあるものの、本気で合格を目指したい場合はキャリカレの通信講座を検討してください。

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ITパスポート試験に関するよくある質問

ITパスポート試験に関するよくある質問

最後に、ITパスポート試験によくある質問と回答について紹介します。

ITパスポートの試験で気を付けることは?

ITパスポート試験はCBT方式を採用しています。CBT方式では、パソコンの画面上に表示される問題に対し、マウスで選択肢をクリックして解答します。紙ベースの試験とは異なるため、出題方式に慣れておくことが大切です。

独学の場合、CBT方式の模擬試験を含んだ問題集を利用するとよいでしょう。通信講座を利用する場合も、PCで模擬テストにチャレンジできる講座を選ぶと効果的です。

ITパスポート試験に申し込む期間の目安は?

IT関連の知識がない場合、1日2時間の学習ペースで約2〜3ヶ月かかります。IT知識がある場合は、同じ学習ペースで約2ヶ月です。そのため、自身の知識レベルと学習ペースに応じて試験日を決めるとよいでしょう。詳しい試験日は公式ホームページのサイトマップで確認できます。

大切なのは早期に受験日を決定することです。それにより、試験日から逆算して学習計画を立てやすくなります。ただし、勉強期間を長く設定しすぎると、モチベーションの維持が難しくなるので注意してください。

キャリカレの通信講座でITパスポート合格を目指そう

キャリカレの通信講座でITパスポート合格を目指そう

ITパスポート試験とは、経済産業省が認定する国家資格です。2024年7月時点の情報として、約2人に1人が合格しています。

ITパスポートの合格によって、ITの基礎知識の習得、幅広い分野の知識の習得、就職や転職への効果、上位資格への足がかりという4つのメリットがあります。

ITパスポートの試験時間は120分、出題数は100問、出題形式は四肢択一式です。出題分野はストラテジ系(経営全般)、マネジメント系(IT管理)、テクノロジ系(IT技術)となっています。

また、IT知識がない人の勉強時間は130〜180時間。一定の基礎知識がある人の勉強時間は100〜130時間が目安です。

具体的な勉強方法として独学と通信講座があります。スムーズに学習を進めたい場合は通信講座がおすすめです。

キャリカレの通信講座は、最短2ヶ月でITパスポート合格を目指せます。学習サポート期間中の質問は何度でも無料なので、疑問を解消しながら効率よく勉強できるでしょう。

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この記事の監修者

資格のキャリカレ編集部

150以上の通信教育資格講座を展開し、資格取得・実用スキルの習得はもちろん、キャリアサポートまで行う資格のキャリカレ編集部が運営するコラムです。ITパスポートはITリテラシーの向上や、基本的なIT技術向上のための資格です。ITパスポートの詳細や試験対策をはじめ、ITパスポート資格の魅力や最新情報をお伝えしていきます。

資格のキャリカレ編集部

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