〈10月は宅建士試験〉
試験内容・問題構成・配点を詳しく解説します

こんにちは、資格のキャリカレ編集部です。
不動産業界で欠かせない存在となっている「宅地建物取引士」、通称「宅建士」は、今年も10月に試験が実施されます。結婚や出産、育児などによってライフスタイルが変化しやすい女性にとって、宅建士は働き方を柔軟に選べる仕事として人気のある資格です。
試験に合格するためには、不動産取引に欠かせない法律や税に関する知識を身につけるだけでなく、試験問題の出題傾向や2020年の民法改正の影響なども把握しておかなければなりません。
この記事では、宅建士の仕事をするうえで欠かせない宅建の資格について、試験内容・問題構成・配点などを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
宅建士の合格率は約17%!誰でも挑戦できる国家資格です

宅建士の合格率は、約15~17%と言われています。以下の表で、直近10年の推移を確認してみましょう。
年度 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
令和5年度 | 233,276 | 40,025 | 17.2 |
令和4年度 | 226,048 | 38,525 | 17.0 |
令和3年度 (10月実施分) |
209,749 | 37,579 | 17.9 |
令和2年度 (10月実施分) |
168,989 | 29,728 | 17.6 |
令和元年度 | 220,797 | 37,481 | 17.0 |
平成30年 | 213,993 | 33,360 | 15.6 |
平成29年 | 209,354 | 32,644 | 15.6 |
平成28年 | 198,463 | 30,589 | 15.4 |
平成27年 | 194,926 | 30,028 | 15.4 |
平成26年 | 192,029 | 33,670 | 17.5 |
宅建試験を受験する人は年々増加傾向にあるのが分かりますが、合格率にそれほど変化はありません。宅建士は、受験条件がなく誰でも挑戦できる国家資格なので、仮に知識や経験が不足していても受験は可能です。
そのため、合格率は例年低めとなっており、受験者はしっかりとした試験対策が必要とされています。
宅建士試験の概要

宅建士の試験対策を徹底するには、以下のような試験概要の把握が重要です。
・試験問題はどんな形で、何問出題されるのか
・合格ラインは何点なのか
・出題科目や問題ごとの配点はどうなっているのか
ここからは、上記3つの試験概要について詳しくみていきましょう。
出題形式・問題数
宅建士の試験問題は、すべてマークシート方式の4肢択一式です。各問題に対する4つの選択肢のなかから正解を選べればいいので、基礎知識の習得と出題傾向の把握が重要となります。
また、試験の問題は4科目に分かれており、一般受験者で合計50問です。登録講習の修了者であれば、45問となります。試験時間は2時間なので、時間配分にも注意しながら試験対策しておくといいでしょう。
合格基準
宅建士試験の合格ラインは、実施年度によって若干の変動はあるものの、正答率7割程度が目安とされています。50点満点となっているので、35点程度が平均の合格ラインです。
必ずしも7割正解していれば合格できるとは限らないため、確実に合格を狙う場合は合格ラインよりも上を目指す必要があります。目標は、一般的な合格基準より高めの37点以上にしておくと安心です。
科目・配点
宅建士試験の問題は、4科目に分かれています。問題数の内訳は、以下の通りです。
出題科目 | 問題数 |
---|---|
宅建業法 | 20問 |
民法(権利問題) | 14問 |
法令上の制限 | 8問 |
税および、その他関連知識 | 8問 |
配点は1問につき1点で、宅建業法に関する問題が最も出題数が多く、次いで民法関連となっています。ただし、宅建士として活躍するためには幅広い知識が求められるため、宅建業法と民法だけでなく、他科目の知識もしっかり身につけられるように学習しておきましょう。
次項からは、各科目ごとの試験内容について、詳しく解説していきます。
宅建士試験における〈宅建業法〉の試験内容

宅建士試験のなかでも最も問題数が多いのが「宅建業法」です。不動産取引に関わる業務では欠かせない法律の1つであり、宅建士には十分な知識が求められます。
ここからは、宅建業法の概要や宅建士試験に向けた学習ポイントについて解説します。
宅建業法とは
宅建業法とは、正式には「宅地建物取引業法」という不動産取引に関する法律で、宅地や建物の取引が公正に行われ、消費者が不利益を被らないように定められています。不動産取引では、一般的に大きな金額が動くため、不動産に関する知識の乏しい消費者を保護するために必要不可欠な法律です。
宅建業法で定められている内容は、大きく分けて下記の3つに分けられます。
1.開業のルール:不動産経営に必要な資格や免許などのルールが定められている
2.業務上の規制:不利な取引とならないように設けられている業務上の規制について定められている
3.監督・罰則:1や2で決められているルールや規制に違反した場合の処罰について定められている
消費者を守る立場の宅建士は、宅建業法を網羅的に理解し、業務上での順守が求められます。
学習のポイント
宅建士試験における宅建業法に関する問題は、50問中20問出題されるため、合格するために欠かせない科目です。宅建業法は条文数があまり多くないため、他の科目に比べると学習範囲が狭く、取り組みやすいでしょう。
学習の際には、宅建業法で定められている条文をしっかり頭に入れた上で、問題集や過去問を繰り返し解き、出題傾向の見極めが重要です。ひっかけ問題なども多い科目なので、どんな問題が出ても冷静に解けるよう慣れておきましょう。
宅建士試験における〈民法〉の試験内容

宅建士試験では、宅建業法に次いで、「民法」に関する問題も多く出題されます。不動産取引でも重要となる法律なので、しっかり学習しておきましょう。
ここからは、民法の概要や宅建士試験に向けた学習ポイントについて解説します。
民法とは
民法とは、個々が関わる際に最低限守るべきルールや権利を定めたもので、不動産取引における権利についても示されており、宅建士には欠かせない法律です。
宅建士は、民法上で定められている不動産の購入または売却で発生する売買契約や、不動産を借りる際の賃貸借契約に関する権利についての知識が求められます。自身の生活とも密接した内容で学習しやすい反面、条文が多く学習範囲が広いので、十分な学習時間の確保が必要です。
学習のポイント
宅建士試験では、民法や権利に関する問題は50問中14問出題されるため、落とせない科目です。さらに、個々の取引に関する複雑な問題が多く、学習範囲も広くなるため、重点的に学習しなければなりません。
民法を理解するには、丸暗記するだけでなく、その条文が定められている背景にも目を向けることが大事です。また、他の科目にはない法律用語の独特な言い回しが多いため、慣れておく必要があるでしょう。
学習の際には、法律の趣旨や背景をイメージしながら理解を深め、過去問や模擬試験で出題傾向にも慣れておくのがポイントです。
宅建士試験における〈法令上の制限〉の試験内容

宅建士試験における「法令上の制限」は、取引される不動産に関する制限についての知識が求められる科目で、公正な取引を提案するためには欠かせない分野です。
ここからは、法令上の制限の概要や宅建士試験に向けた学習ポイントについて解説します。
法令上の制限とは
不動産として取引される建物や土地には、さまざまな制限が設けられており、その法令に関する問題が出題されるのが「法令上の制限」の科目です。宅建士試験では50問中8問が該当し、全体でみると少ない割合となっていますが、十分に学習しておけば高得点が狙えます。
該当する法令には、土地や建物の使途用途や開発行為、建物の高さなどに関する制限が設けられている「建築基準法」や「都市計画法」などがあります。それぞれ住みやすい街づくりのために定められている法令ですが、日常生活で馴染みがなく、専門用語が多いため、身につけるのに時間がかかるかもしれません。
学習のポイント
法令上の制限では、数値や専門用語が多く出題されるため、しっかり覚えておく必要があります。間違えやすい数値やよく似ている専門用語などがあるため、何となく覚えておくだけでは正解できません。正確に記憶し、どんな場面で適用されるのか、しっかり覚えておきましょう。
また、法令は改正されるケースも多いため、最新情報もチェックしておく必要があります。宅建士試験は、実施年度の4月1日時点における法令をもとに出題内容が決まるので、改正があった場合には最新の内容で学習できるよう、教材選びに注意しましょう。
宅建士試験における〈その他関連知識〉の試験内容

宅建士試験では、税金などの関連知識についての問題が8問出題されます。出題割合が低いとはいえ合格して宅建士として活躍するのに欠かせない知識なので、しっかり身につけておきましょう。
ここからは、宅建士に必要な関連知識や宅建士試験に向けた学習ポイントについて解説します。
その他関連知識とは
その他の関連知識では、主に税制についての知識が求められます。不動産取引では、固定資産税や相続税など、さまざまな税金が関わるため、宅建士にとって必要な知識です。
不動産に関連する主な税金には、以下が挙げられます。
・国税:相続税、贈与税、不動産取得税、印紙税、登録免許税
・地方税:固定資産税、不動産取得税
また、税制以外にも、地価公示法や不動産鑑定評価基準、常識的な建築素材に関する問題も出題されるため、出題数は少ないものの、学習範囲は広くなっています。
学習のポイント
税制やその他関連知識は、広範囲の学習が必要なのに対して出題数が少ないため、ポイントを押さえて暗記しておく必要があります。この科目に時間をかけすぎてしまうと、全体の学習時間が伸びてしまうので、効率的に学習したい場合はある程度学習範囲を絞るのも大事です。
税制について完璧にマスターするのは難しいため、不動産に関わる税金に絞って理解を深めたら、出題数の多いほかの科目の学習に力を入れるといいでしょう。
2020年民法改正による注意点

宅建士の試験で多く出題される民法は、2020年4月に120年ぶりの改正がありました。時代に合わせて民法は改正されていくため、今後の宅建士試験で出題される問題の内容も変化があると予想されます。これから受験する場合は、最新の改正点についてもしっかり把握しておきましょう。
また民法改正に伴い、過去のテキストや問題集での学習ができなくなりました。最新の民法の内容が反映された教材を活用して、勉強しなければなりません。ただし、改正後であっても民法を網羅するのは難しいため、不動産に関する部分を重点的に学習し、8割ほどの理解を目指して学習していくといいでしょう。
宅建試験の問題を解くうえで知っておきたいこと

宅建士の試験では、50問出題される中から7割以上の問題に正解する必要があります。そのためには、以下で解説する3つのポイントを押さえて学習を進めていくといいでしょう。
過去問を解けば問題の傾向が分かる
宅建士試験の特徴として、過去問と類似する問題が出題されやすい傾向があるため、過去問を使った学習が重要とされています。過去問に類似した問題の出題割合は8割とも言われており、合格ラインを超えるためにも欠かせない学習方法です。
また、過去問を繰り返し解いていくと、宅建士試験の出題傾向がつかめるようになります。専門用語の使い方やひっかけ問題などの傾向をつかんでおけば、正答率アップにつながります。
ただし、過去問には法改正が反映されていないため、改正があった範囲の問題に注意しながら、学習を進めていきましょう。
問題を解く順番は「宅建業法」から
宅建士の試験時間は2時間と限られているため、解いていく順番も意識しておく必要があります。出題範囲となっている4科目の中で、問題数が最も多いのが「宅建業法」なので、宅建業法から解いていくのがおすすめです。
合格ラインの7割を超えるためにも、出題数の多い科目から取りかかった方が効率よく解き進められます。さらに、過去問や模擬試験などを活用して、出題パターンを把握しておきましょう。
宅建業に従事しているなら「登録講習」を利用しよう
すでに宅建業に従事している場合、登録講習を受講しておくと、試験問題が5問免除されます。5問の免除と併せて試験時間も10分短くなりますが、問題数の減少によって一般受験者よりも合格のハードルを下げることが可能です。
ただし、登録講習受講の申込から登録講習修了までには、2か月以上の期間を要するので注意しましょう。登録講習の申込方法とスケジュールについては、以下を参考にしてください。
申込み方法 | 申込み時期 |
---|---|
インターネットからの申込み | 7月上旬~下旬 |
郵送での申込み | 7月上旬~中旬 |
【登録講習受講の流れ】
1.受講申込み
2.通信教育(約2か月)
3.スクーリング受講・修了試験(約2日)
4.登録講習修了の通知(約1週間後)
宅建士試験は独学で合格できる?

宅建士の試験は、特に受験に条件は設けられておらず誰でも挑戦できるので、独学でも合格を目指すのも1つの方法です。ただし、学習範囲が広く効率的な学習方法を知らなければ、予想以上に時間がかかってしまいます。
また、時間をかけて学習していても、途中で改正があればこれまでの学習が無駄になってしまう可能性もあります。さらに、独学だと法改正の情報がすぐにキャッチできない可能性があり、知らずに受験してしまうと合格からは遠のいてしまうでしょう。
そのため、すでに不動産関係の仕事に従事していたり、宅建の知識がある程度身についていたりする場合でなければ、独学はおすすめしません。
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まとめ
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この記事の監修者
資格のキャリカレ編集部
150以上の通信教育資格講座を展開し、資格取得・実用スキルの習得はもちろん、キャリアサポートまで行う資格のキャリカレ編集部が運営するコラムです。宅地建物取引士は不動産業界への就職や転職などに役立つ資格です。宅地建物取引士試験の詳細や試験対策をはじめ、魅力や最新情報をお伝えしています。