メンタルヘルス・マネジメント検定とは?仕事・職場での活用方法と試験内容・種類を解説

現代社会ではストレスや心の不調を抱える労働者が増加しているため、心の健康を管理することは企業にとっての重要なテーマとなりつつあります。問題を未然に防ぐため、メンタルヘルスについての理解を深めたい人も多いでしょう。今回は、メンタルヘルス・マネジメント検定試験の内容や活用方法、試験の概要について解説します。

目次

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験とは?

メンタルヘルス・マネジメント検定試験 とは、従業員に起こりうるメンタルヘルスの不調に対処したり、問題が起こらないよう予防策を取って、より健康な状態を目指したりできるように、正しい基礎知識を習得することが目的の資格です。

メンタルヘルスとは、心の健康状態のことです。
重苦しいストレスがなく、心地よく健やかな精神状態で過ごせている場合は、良好なメンタルヘルスを維持できているといえるでしょう。
しかし、メンタルヘルスは周囲の環境から影響を受けやすいため、さまざまな責任や役割を抱えて働いている従業員にとって、常によい状態を保つのは容易ではありません。

現代社会では、メンタルヘルスの不調によって従業員が長期休業を取ったり、退職したりするケースが増えており、今後もメンタルヘルスに関連する問題は増えていくとみられています。
従業員ひとりひとりの健康は、職場に活気をもたらし企業が目標達成へ向けて邁進するための第一条件です。
このため、多くの企業がメンタルヘルス対策に率先して取り組もうとしているのです。

心の問題は、状況が悪化するほど解決するための時間がかかる場合が多くなります。
本人が辛いことに加えて、勤務先の他の社員の業務負担が増加したり、人間関係の変化や職場の士気の低下につながったりすることもあるでしょう。

反対に、従業員のメンタルヘルスの状態がよければよいほど、職場やグループに活気がでたり、業務の生産性や効率が高まったりもします。
現場で働く人がメンタルヘルス・マネジメントの知識を習得すれば、労働環境を観察して問題を未然に防ぎ、状態を向上させることができます。

人事部門や管理職、一般社員がそれぞれの立場でメンタルヘルス・マネジメントを理解しておくと、企業全体として心の健康管理への意識が高まるでしょう。

心の問題は目に見えにくいため、対処が難しいとされています。
専門家に相談するのも有益ですが、労働環境自体が変わらないと問題の根本が解決できないこともあるでしょう。
職場にストレスマネジメントへの正しい理解があると、メンタルヘルスの不調に気付いたり労働環境を改善したりしやすくなります。

メンタルヘルスへの取り組みを率先して行い、個人が心地よく働きながら自分の能力を最大限に発揮できるような職場環境を作りあげることが大切です。

参考 大阪商工会議所:メンタルヘルス・マネジメント検定試験

メンタルヘルス・マネジメント®の仕事・私生活での活用方法

メンタルヘルス・マネジメント検定は、職場や私生活で実践してこそ意味があります。
検定で学んだ知識は、自分を含め従業員の役に立つように活用することができます。

職場の士気を高め、心地よく働ける職場づくり

部門に1人でもメンタルヘルスの不調に陥る人が出ると、職場全体の活力がなくなることもあります。
欠勤や遅刻が増えると他の従業員にも疑心や不安が生じたり、人間関係が変わってしまったりする場合があるからです。

こうした状況を作り出さないために、部門全体を対象にした研修活動や、普段から従業員へのヒアリングを行うと、労働環境の改善につながります。
従業員の声に耳を傾けることで、現場がより働きやすい環境になり、職場の士気も高まるでしょう。
心地よいと思える環境で一緒に働くことにより、個人としての効率もチームとしての生産性も高まります。

早期発見でリスク管理

心の健康状態が不安定だと、注意力が散漫になったり集中力が著しく低下したりすることがあります。
従業員の不調を見逃してしまうと、重要な取引や書類でミスが生じたり、作業上の誤りでケガなどの労働災害につながったりする場合もあるでしょう。

メンタルヘルス・マネジメントへの意識が高いと、部下や同僚の状態の変化に早く気がつき、必要な対策を打つこともできます。
早期に問題を認識することで、周囲の人や業務への影響を最小限にとどめられるでしょう。

部下の不調に気付き、適切なサポート

メンタルヘルスは、真面目に仕事に取り組む人ほど問題を抱えやすくなる場合があります。
優秀な人材として期待していた部下が、残念ながら心の不調に陥ってしまうこともあるでしょう。
部下の行動パターンや個性を把握し、普段と異なる点がある場合は注意深く観察する必要があります。

いつも早く出社していたのに遅刻しがちになったり、口数が少なくなったりした場合は、時間を設けて部下の声に耳を傾けてみましょう。
必要であれば、専門家への相談を進めてみるという方法もあります。
素直に心配している旨を伝えれば、部下からの信頼も厚くなり、関係がよりよいものになるでしょう。

なるべく未然に問題を防ぐため、早期にアプローチすることが大切です。
部下の状態がよくなれば、本来の能力を発揮し活躍してもらえます。

パワーハラスメントの防止や解決

職場の上下関係などを乱用して相手に精神的苦痛を与えるパワーハラスメントは、メンタルヘルスの不調につながる原因です。
社風だからといって黙認されていたり、他の従業員に見えないところで行われていたりする場合があるかもしれません。

パワーハラスメントが日常茶飯事に起こっている職場だと、直接的に被害を受けていない他の従業員まで心の不調に陥ってしまうこともあります。
職場内のハラスメントに気付いた場合は、相手のプライバシーを一番に配慮しながら話を聞くことが大切です。
相手が既にメンタルヘルスの不調に苦しんでいるようであれば、専門家への相談をうながします。

また、ハラスメントを受けている人は、相談することでバレてしまうのが怖くて誰にも話せず苦しんでいることもあります。
異変に気が付いたけれど本人が直接相談に踏み切れない場合は、自分が産業保健スタッフに相談してみるのもひとつの方法です。

過重労働を防止

勤務時間が極端に長かったり業務負荷が大きかったりする状態が続くと、心の不調とともに身体にも悪影響がもたらされます。
残業時間が多いと心理的な負担がかかり、集中力や業務遂行能力が低下して、さらに労働時間が長くなるという悪循環を生み出すこともあるでしょう。
過重労働はうつ状態になったり、深刻な身体の不調につながったりすることもあります。

こうした過重労働を未然に防ぐため、自分から労働環境の改善のために助けを求めたり、部下や同僚の声に耳を傾けたりすることが大切です。
仕事の分担に偏りがあれば人事配置を見直したり、業務効率が悪い場合は生産性を高めるためのツールに投資したり、人員を増やしたりするなどの対策を取ることができるでしょう。

メンタルヘルス・マネジメント®の検定の種類・試験内容

メンタルヘルス・マネジメント検定試験 には、Ⅰ種(マスターコース)、Ⅱ種(ラインケアコース)、Ⅲ種(セルフケアコース)の3種類があります。
社内の立場・役割によって受けるべきコースが異なります。

Ⅰ種(マスターコース)

Ⅰ種のマスターコースの対象は人事労務管理スタッフや経営幹部で、このコースの目的は企業内のメンタルヘルス対策の推進です。
組織の中でもメンタルヘルス・マネジメントにおいて重要な役割を果たすことになるでしょう。

企業の方針や人事戦略を前提に、メンタルヘルスケア対策の活動計画を打ち出し、産業保健スタッフなど社外の専門機関と連携を取ることができるような知識を身につけます。

このコースでは、従業員に向けたトレーニングなどを企画し、実行できるようになることも目的のひとつとされています。
社内に相談体制を確立し、職場の労働環境を改善することも大切なポイントです。

Ⅱ種(ラインケアコース)

Ⅱ種のラインケアコースの対象は管理職です。
統括する部門やグループのメンタルヘルス対策ができるような知識を習得することを目標にしており、上司として部下が不調に陥らないよう配慮したり、部下に不調が出たとき適切に対応したりする力が求められます。

トラブルの際、どのように相談を受け、助言するのかなど、現場の管理監督者としてメンタルヘルスケアと関わっていく姿勢が問われます。
また、メンタルヘルスに問題を抱え、休みを取った後に復職してきた従業員へのサポートも重要なテーマです。

Ⅲ種(セルフケアコース)

Ⅲ種のセルフケアコースは一般社員が対象です。
自分でストレスの度合いを理解することで、メンタルヘルスの不調にいち早く気づき、対策を打てるようになることが目標です。

メンタルヘルスケアの意義や基礎知識、セルフケアの重要性やストレスの把握方法・対処法が出題されます。
適切に状況を判断し、問題が深刻化する前に必要に応じて他者へ助けを求めることができるようになるでしょう。

参考 試験のご紹介 | メンタルヘルス・マネジメント検定試験

他のメンタルヘルスケア関連資格との違いは?

他のメンタルヘルスケア関連資格との違いは?

近年、メンタルヘルスに関連した資格が多くなったと感じる人は多いのではないでしょうか?
これは、ストレスの多い現代社会にあって、企業や職場でもメンタルヘルスが重視されるようになったことの裏づけともいえます。
ここではメンタルヘルス・マネジメント以外の、メンタルヘルスにまつわる資格を紹介します。

心理相談員

心理相談員とは、認定試験のない民間の資格で、認定するのは、職場の安全衛生に対する教育サービスなどを提供している中央労働災害防止協会です。

心理相談員に認定されると、職場におけるメンタルヘルスに関する基本的な知識を仕事に活用することができます
心理相談員に認定されるには、所定の研修を受ける必要がありますが、心理学・社会福祉系・保健系などの大学を修了していることなど、要件を満たしていなければなりません。

そのものを目指す資格というよりは、産業医をはじめとする産業保健スタッフなどが、ステップアップを兼ねて研修を受けるという意味合いが強いといえるでしょう。

産業カウンセラー

産業カウンセラーとは、職場で働く人が心の悩みを解決できるよう手助けをするカウンセラーです。
この資格試験・資格を所管しているのは一般社団法人 日本産業カウンセラー協会です。
協会が実施している資格試験に合格すれば、産業カウンセラーを名乗ることができます。

ただし、産業カウンセラーの資格試験を受けるには、協会が主催する専門講座を受講するか、大学や大学院の心理系学部・学科を修めていることなどの要件を満たす必要があります。

メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、上述した2つの資格に比べ、心理学の専門知識や実務の有無、所定講座・研修の受講実績など厳格な要件なく、職場でのメンタルヘルスに関わることができる資格といえます。

まとめ

メンタルヘルス・マネジメント検定試験では、職場での役割に応じた3種類のコースで、それぞれに必要なメンタルヘルス・マネジメントの基礎知識を習得することができます。
難しい専門知識ではなく、学びながら実践できるものばかりで職場環境の改善やセルフケア、同僚や部下への配慮に役立つ内容です。
とはいえ、資格取得を目指すにはしっかりと受験対策をする必要があります。
おすすめなのは、資格のキャリカレの「メンタルヘルス・マネジメント®検定合格指導講座 」です。

テキストのわかりやすさはもちろん、疑問点は講師がしっかりと教えてくれることや、万が一不合格の場合は全額返金という保証もついているので安心です。
さあこの機会に、メンタルヘルス・マネジメント検定の受験を検討してみてはいかがでしょう。

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