行政書士の独占業務って?行政書士が携われる業務と携われない業務

行政書士の独占業務って?行政書士が携われる業務と携われない業務

行政書士をはじめとする国家資格には、独占業務というものがあります。これはその資格を持つ人のみが行える専門の業務のことです。今回は、独占業務の基礎とともに、行政書士が携われる業務範囲について紹介します。

目次

独占業務とは?

独占業務とは?

独占業務とは、国家資格および業務独占資格を有する人が携われる業務のことです。

例えば、業務独占資格には税理士が挙げられ、税理士の場合には税務に関する相談・手続き・書類作成が独占業務となっています。
資格を持たない人がそれらの業務を行うことはできず、仮に無資格者が携わった場合には違法となり処罰対象となるのです。

なお、資格を持たない人が独占業務を行った場合は、対象者に2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

また、業務独占資格には行政書士や税理士等の士業以外にも、医師・薬剤師・美容師などの様々な種類の資格が存在しており、その多くには名称独占の規定も設けられています。
名称独占とは、資格を持たない人が有資格者を名乗った際に違反とする規定のことです。
つまり、名乗っただけでも罰則対象とされるため、注意しなければなりません。

ほかにも、報酬を得た場合に独占規定に関わる有償業務独占資格、有償無償に関係なく独占規定に関わる無償業務独占資格、業務外でも特定の行いをすることで独占規定に関わる行為独占資格といった種類も存在します。

行政書士は有償業務独占資格に該当し、無償であれば誰でも独占業務となる作業に着手可能です。
ただし、少しでも報酬を求めたり資格者を名乗ったりすることはできません。

行政書士の独占業務

行政書士の独占業務

独占業務の基礎に触れてきましたが、気になる行政書士はどのような業務を専門的に扱っているのでしょうか。

行政書士が行う業務は主に書類作成や手続きであり、それらの業務は大まかには官公署へ提出するもの・権利義務に関するもの・事実証明を行うものに分けられます。

それぞれについて詳しく見てみましょう。

官公署へ提出する書類作成と手続き

官公署は国や地方公共団体が運営する役所のことです。
それらの機関で行う手続きは主に許可申請に関するものであり、その一部としては下記が挙げられます。

・飲食店営業許可申請
・美容室開業届
・風俗営業許可申請
・建設業許可申請
・農地店用許可申請書
・道路使用許可申請書
・医療法人設立認証申請書
・NPO法人設立認証申請書
・宗教法人設立認証申請書

一口に許可申請書と言っても営業許可・不動産・法人設立に関係するものなど多岐にわたり、その種類は1万種類以上も存在すると言われているのです。
官公署関連の手続きだけでも、行政書士の業務が尽きることはないと言えるでしょう。

また、手続きごとには難易度や求められる専門性が異なり、得られる報酬額も大きく変わってきます。

権利義務に関する書類作成と手続き

権利義務に関する書類作成および手続きも、行政書士の独占業務になります。
なお、権利義務の書類は法律的にその権利等の発生・存続・変更・消滅させる効力を持ち、未然にトラブルを防ぐといった側面も持つ書類です。

具体的な書類としては下記が挙げられます。

・売買、賃借、雇用、請負等の各種契約書
・遺産分割協議書
・各種内容証明書
・念書
・示談書
・協議書
・請願書
・上申書
・始末書
・各種規則

もちろん、上記の書類は一部にすぎません。

また、権利義務の書類には、行政書士のみならず弁護士が作成できるものも存在します。
弁護士であれば法律に則ったアドバイスや交渉なども行えますが、行政書士の場合はそういった業務に携わることはできません。

事実証明における書類作成と手続き

事実証明に関する書類は、社会生活における交渉を必要とする事象を証明するための書類のことです。

該当する書類には、主に以下のものが挙げられます。

・案内図、現況測量図等の各種図面
・議事録
・会計帳簿
・決算書類
・申述書

なお、法律で制限される部分については、行政書士は関与できません。

ちなみに、行政書士は書類作成と手続きのほかに、それに関わる相談業務やコンサルティングを扱うことも可能です。

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ほかの士業の独占業務はできないの?

ほかの士業の独占業務はできないの?

先述の通り、資格を持たない人が独占業務に携われば処罰の対象となります。
なお、これは行政書士がほかの士業の独占業務を行った場合も同様です。

業務範囲が重なる部分に関しては問題ありませんが、行政書士の業務でない部分に関われば法に抵触してしまいます。

ここでは、行政書士ができない業務について解説します。

裁判に関連する手続き

裁判に関連する業務は、主に弁護士の専門分野となります。
司法書士も関与できますが、弁護士が制限なく全ての業務に関与できるのに対して、司法書士は一部の手続きや書類作成しか行えないのです。

行政書士においては、基本的に書類作成にすら関与することはできません。
中には作成できる書類もありますが、中心となるのは作成にあたっての相談となります。

なお、例を挙げると、家庭裁判所への申し立てが必要になる遺留分減殺請求手続きに関しては、行政書士は一切関与できません。
その一方で、弁護士は遺言書の代理作成から法律的な相談までを担うことが可能です。

登記の手続き

不動産の登記手続きは、司法書士や土地家屋調査士の独占業務です。
法務局を介した業務となるため、行政書士は書類作成を行うことも認められておりません。

行政書士が活躍できるのは、登記後の許可申請や権利義務の書類作成の場面だけになります。

なお、弁護士が登記を行うこともできますが、実際に業務として扱うことはほとんどなく、基本的に携わることになるのは司法書士や土地家屋調査士のみです。

ちなみに、登記手続きは専門家を介さずに自分で済ませることもできます。
ただし、業務の一環として行う場合であれば、有償であれ無償であれ違法となるため注意しなければなりません。

税務申告の手続き

税務申告は税理士の独占業務です。
税理士のみが税務申告の代理・書類作成・相談に携わることを許されており、行政書士をはじめ司法書士や弁護士も関わることはできません。

ただ、税理士の資格登録を行っている弁護士や公認会計士であれば、全ての業務に関与できます。

行政書士として登録する方法

行政書士として活動するには、試験に合格することが最低条件になります。
試験の難易度は国家資格の中では難関にあたるため、合格を果たすことは決して簡単ではないでしょう。

なお、仮に試験に合格しても、そのままの状態ではまだ正式な行政書士ではありません。
正式に認められるためには行政書名簿への登録が必要です。

登録は各都道府県の行政書士会に申し込みすることで行え、申し込みにあたっては申請書のほか合格証書・身分証明書・戸籍抄本・住民票などの提出が求められます。
また、各種手数料と入会金を合わせ15~30万円の費用も必要です。

それらの手続きを終え、日本行政書士連合会による書類審査や実態の調査を経て、総合して約1ヶ月で登録が完了する形となります。

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まとめ

まとめ

行政書士には書類作成を中心とした独占業務が見られ、官公署への提出書類・権利義務に関する書類・事実証明における書類の作成が可能です。

ただ、ほかの士業にも同様に独占業務があり、その業務に行政書士が携わってしまうと法に抵触することになってしまいます。

そういった注意点もある行政書士ですが、独占できる業務があるからこそ、就職や転職に有利になるといった魅力もあるのです。

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