独学で行政書士試験に合格できる?勉強時間の目安や学習方法を紹介
行政書士試験に独学で合格できる?合格するための勉強法は?学習時間はどれくらい?など、難易度が高い行政書士試験に合格するためには、試験を知り効率的に勉強することがポイントです。ここでは行政書士試験にすんなり合格するためのおすすめ勉強法・ポイントを紹介します。
目次
行政書士試験は独学で合格できる?
行政書士試験は、年齢や性別、実務経験といった受験資格が設けられていないため、誰でも独学での合格を目指せます。
しかし、行政書士試験は難易度が高く、合格するためには、勉強方法やモチベーションの維持がポイントとなるでしょう。
それでも、勉強の進め方次第では、独学で行政書士資格を取得できる可能性は十分にあります。
そこで、独学で合格するために必要なことや注意点について解説していきます。
独学で行政書士合格を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
行政書士試験に独学で合格するためには
早速ですが、独学はどんな人が向いており、具体的にどのような方法で勉強すれば良いのでしょうか。
ここでは、独学に向いている人の傾向と、独学で合格するための勉強方法をお伝えします。
どんな人が独学に向いている?
独学ができる人には様々な特徴がありますが、中でも長い時間を費やしてもモチベーションを保てるかどうかが重要なポイントとなるでしょう。
独学となれば、勉強は手探りで行っていくほかありません。
勉強のやり方には必ずしも正解はありませんが、独自に行う方法ではやはり不安が伴うものです。
また、行政書士の試験範囲は広く、勉強には膨大な時間が必要になります。
長い時間と不安が募る中では、やはりモチベーションを保つことは容易ではないでしょう。
課題に対して意欲的に取り組める人、または様々な難題もコツコツと取り組み勧めることができる人は独学に向いています。
このほかにも、独学に向いている人の傾向として、勉強が得意であるかどうか、意欲的に学習し効率よく知識を吸収できるかどうかという点も挙げられます。
独学で合格するための勉強方法_それぞれのメリットデメリット
・独学
独学で勉強を行うメリットには、「費用を大幅に抑えられる」「勉強するタイミングを自由に決められる」といった点が挙げられます。
行政書士の試験対策に必要なテキストや問題集は3万円ほどで揃えられ、独学であるがゆえに勉強は自身の好きなタイミングで行うことが可能です。
一方で、自由な勉強となる点で、怠けてしまう懸念が生じるというデメリットもあります。
1人だけの環境でも、しっかりと勉強に打ち込める人でないと難しいと言えるでしょう。
・通信講座
通信講座による勉強は、ネットやCDの動画講義を見聞きし、独自に勉強を行うスタイルになります。
そのため、形式的には独学に近いものと言えるでしょう。
メリットとしては何度も講義を見返すことができる点があり、デメリットとしてはすぐに疑問を解決できない点が挙げられます。
教材は事前に収録された動画であることから、何度も見返して理解を深めることが可能です。
しかし、その一方で、分からない箇所があってもその場で質問をすることはできません。
なお、その場での質問は行えませんが、多くの通信講座ではメールなどで直接講師に質問できるサービスが設けられております。
・通学
通学におけるメリットは、やはり受動的に勉強が行えるという点でしょう。
自らが計画立てて勉強を行う必要はなく、講師による授業を受けるだけで適切な学習ができます。
一方で、多額の費用がかかる場合がある点が通学のデメリットです。
一般的なスクールでも20万円ほどの費用がかかり、専門学校や大学となると100万円以上の費用に及ぶこともあります。
コツをつかんで行政書士試験に独学で合格しよう!
行政書士試験は、合格率10%前後で難関と言われる国家試験です。
試験に合格するには効率的な勉強方法をつかむことが大切ですが、独学で合格することも可能です。
また、行政書士の資格を取得する方法は複数ありますが、行政書士試験の受験がもっとも身近な方法です。
試験には、年齢、学歴、国籍等による制限がないため、取り組みやすいことが大きな魅力です。
令和4年度行政書士試験の申込者のうち、最年長:98歳(1名)・最年少:8歳(1名)です。
合格者は、最年長:78歳(1名)・最年少:15歳(1名)でした。
なお、「行政書士」は「行政書士法」にもとづく国家資格者です。
その仕事内容は、官公署に提出する書類をはじめ、遺言書の作成、行政不服申立て手続き代理など多岐にわたります。
また、法律知識を提供する仕事として弁護士や司法書士が存在するなか、行政書士は行政関係の専門家としての役割が期待されています。
行政書士試験を知ることが独学合格の近道!
行政書士試験に独学で合格するには、試験の特徴や概要を把握しておくことが大切です。
ここからは、行政書士試験の合格率や試験科目などについて解説します。
行政書士試験の合格率は8~15%
幅広い世代の人から関心を集める行政書士資格ですが、過去10年間のデータ(出典:一般財団法人行政書士試験研究センター 最近10年間における行政書士試験結果の推移)によると、試験の合格率は8~15%になることがわかりました。
年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
令和4年度 | 60,479人 | 47,850人 | 5,802人 | 12.13% |
令和3年度 | 61,869人 | 47,870人 | 5,353人 | 11.18% |
令和2年度 | 54,847人 | 41,681人 | 4,470人 | 10.72% |
令和元年度 | 52,386人 | 39,821人 | 4,571人 | 11.48% |
平成30年度 | 50,926人 | 39,105人 | 4,968人 | 12.70% |
平成29年度 | 52,214人 | 40,449人 | 6,360人 | 15.72% |
平成28年度 | 53,456人 | 41,053人 | 4,084人 | 9.95% |
平成27年度 | 56,965人 | 44,366人 | 5,820人 | 13.12% |
平成26年度 | 62,172人 | 48,869人 | 4,043人 | 8.27% |
平成25年度 | 70,896人 | 55,436人 | 5,597人 | 10.10% |
また、出願者数や受験者数は減少傾向にあるといえるようです。
試験を受けるためには試験の難易度も気になるところです。
こちらについては、宅地建物取引士よりも高く、司法試験(予備試験)よりは低いとの説があります。
もちろん、これまで学んだ専門科目や取得した資格の関係もあるため、一概にはいえません。
また、十分な試験勉強をして本番に臨むと合格は夢ではないと考えておきましょう。
行政書士試験の試験科目は法律科目を中心に8科目
行政書士試験の試験科目は8科目あり、法令等5科目と一般知識等3科目から構成されています。
「問題数60問・300点満点」の試験で、その内訳は「法令等:46問・244点、一般知識等:14問・56点」です。このような内訳から、行政書士試験に合格するには、法律の専門知識が欠かせないことがわかります。
また、法律系資格試験のなかでは一般知識問題が重視される傾向がありますが、こちらも行政書士試験の大きな特徴といえるでしょう。
それぞれの試験範囲と出題形式、配点
行政書士試験はすべて筆記試験で、肢択一式(1問4点)、多肢選択式(1問8点)、記述式(1問20点)になっています。
その一つ、記述式は40字程度で記述するものです。
なお、試験科目ごとの問題数と配点、求められる知識などは次のとおりです。
【行政書士の業務に関し必要な法令等】(5科目、46問、計244点)
(1)基礎法学:2問(5肢択一式:2問)、8点 |
試験問題の最初に出題され、法律全般の知識が問われる。 |
(2)憲法:6問(5肢択一式:5問、多岐選択式:1問)、28点 |
法律と密接な関係があり、基礎法学の次に学ぶとよい。 |
(3)民法:11問(5肢択一式:9問、記述式:2問)、76点 |
生活に密着した法律で、行政書士試験のなかでも重要な科目。 |
(4)行政法:22問(5肢択一式:19問、多岐選択式:2問、記述式:1問)、112点 |
行政書士試験のなかで最重視される科目で、配点は全体の3分の1以上を占める。また、試験内容は、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法などから構成されている。 |
行政書士試験に合格するためにはどれだけの時間がかかる?勉強時間の目安は?
行政書士試験に合格するには、勉強時間をきちんと確保することが大切です。
行政書士試験の場合、通信講座などでは500~800時間、独学では800~1000時間が必要な学習時間の目安になります。
たとえば、独学で800時間を達成するためには、勉強期間が10ヶ月なら1日約2~3時間は勉強しなければなりません。
1年計画で合格を目指すなら、1日約2~2.5時間の勉強が必要です。
通信講座の場合は、勉強時間を500時間として、10ヵ月で1日約1.5~2時間、1年で約1~1.5時間を想定すると良いでしょう。
「合格」という目標を見失わないためには、試験日から逆算したうえで1日当たりの試験勉強時間を割り出すことが大事なポイントです。
もちろん、勉強に費やせる時間はライフスタイルによっても異なるので、無理のないスケジューリングを行う必要があります。
毎日コンスタントに勉強できるとは限らないため、少し余裕を持ってスケジューリングを行いましょう。
行政書士試験に確実に合格するための勉強方法のポイント
行政書士の勉強方法のポイントは以下のとおりです。
- 教材・参考書は何度でも繰り返し、理解を深める。
- 繰り返し見返すノートはシンプルに書く。
- 3法令等の5科目は民法と行政法に注力する。
- テキストと並行して過去問を解く。
行政書士試験に合格するためには効率的な勉強法を押さえることが大切です。
ここでは、具体的なポイントを教材・参考書、ノート、注力する科目の選択、過去問に絞って紹介します。
1. 教材・参考書は何度でも繰り返し、理解を深めよう
記載内容が大幅に改正される可能性があるため、テキストは最新のものを使いましょう。
また、1回目では全体像をつかみ、2回目は辞書として活用、その後は繰り返し読んで熟読することが大切です。
主になるテキストのほかに要点整理テキストを使うのも一案です。
受験勉強は、法令科目から始めるとよいでしょう。
そのうえで、適用される法令の年月日の確認が必要です。
もちろん、一般知識科目のほうも最新情報の確認が欠かせません。
2. 繰り返し見返すノートはシンプルに。書いて覚えていこう
読んだ内容を理解するためには書くことが大切です。
記憶の定着率を高めるためにもオリジナルのノートを作りましょう。
主となるテキストに余白があれば、そこに書き込むと効率的です。
もし、書き込むスペースがない場合は、ノートを1冊にまとめるのがポイントです。
3. 法令等の5科目は民法と行政法に注力しよう
行政書士試験の点数(300点)のうち、民法(76点)と行政法(112点)で188点になり、全体の60%を占めています。
そのため、これら2科目に重点を置いた勉強が大事なポイントです。
そのうえで、ほかの科目とのバランスを取りながら、自分に合った勉強法を見つけましょう。
4. 過去問は何年分解く?
合格に必要な実力を身に付けるためには、テキストでの勉強と並行しながら、過去問を解くことも大切です。
試験では、問い方を変えながら同じ内容が出題されることが多いため、過去問に力を入れることが合格につながってきます。
勉強するときは、体系別過去問で演習した後に年代別過去問を仕上げるのがポイントです。
ただし、法改正や社会情勢の変化などに対応する必要もあり、何年分解けばよいのかは一概にはいえないでしょう。
行政書士試験合格を独学で目指す際の注意点
行政書士試験合格を独学で目指す際は、以下の2点に注意が必要です。
・最新のテキストを必ず使用する
・インターネットの情報を鵜呑みにしない
テキストの選び方や情報収集の仕方に気を付けて、独学で勉強を始めましょう。
それぞれ解説します。
最新のテキストを必ず使用する
行政書士で取り扱う内容は法改正によって変わることがあるため、最新のテキストを使用することが重要です。
毎年テキストが発売されているため、必ず用意しておきましょう。
古いテキストを使用すると内容を誤って覚えるおそれがあります。
テキストには年度が記載されているため、受験する年度のテキストをしっかりと確認してください。
最新の情報にもとづいた勉強を行うことが、合格への近道となります。
インターネットの情報を鵜呑みにしない
インターネット上には、法改正や勉強のコツなどに関する情報が数多く存在していますが、これらの情報がすべて正しいとは限りません。
そのため、情報を鵜呑みにするのではなく、正確な情報かを確認することが大切です。
信頼できるサイトや書籍などから情報を収集し、正確な情報を得て、それを試験勉強に生かしましょう。
自分自身で情報を集めることは、より深い理解につながり、合格への近道になるはずです。
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