保育士の労働環境改善に役立つ!処遇改善手当について紹介

保育士の労働環境改善に役立つ!処遇改善手当について紹介

保育士の仕事は、激務にも関わらず給与が安く、離職してしまう人が後を絶ちません。この状況を改善するため、処遇改善が進められています。しかしその仕組みが分からないと思っている方も多くいらっしゃいます。ここでは、保育士の処遇改善について分かりやすく説明します。

目次

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処遇改善手当(処遇改善等加算)とは?

処遇改善手当(処遇改善等加算)とは?

処遇改善手当とは、簡潔に言うと国や自治体が保育士の給与を上げるための補助金をさします。
ここでは処遇改善手当が実施された目的や概要について解説します。

キャリアアップのための給与加算

処遇改善手当は保育園が行うキャリアアップの取り組みに対して補助金を出すことで、保育士の確保や質の向上、待遇の改善などが進められることを目的としています。
正式には「処遇改善等加算」と言いますが、保育の世界では「処遇改善手当」と呼ばれるのが一般的です。

この取り組みは、平成25年度に作られた「保育士処遇改善等加算」から始まり、平成29年度から実施された新制度「技術・経験に応じた処遇改善」に基づいています。
比較的経験が浅い保育士にも、副主任やリーダーを設置して職務や職責に応じた処遇改善を行うことで、手当の支給ができます。

給与が安い保育士の人手不足解消のために制定された

処遇改善手当が実施された目的は、保育士の給与を改善することでした。
保育士の収入は、全般的に他の業種に比べて上昇が緩やかであると言われ、経験を重ねても十分な収入に至らないことが多いです。

こうした理由で、離職する保育士が後を絶たず、日本は慢性的な保育士不足に陥っています。
この問題を解決するためには、保育士の待遇を改善し、保育士の数を増やさなければなりません。
そこで、内閣府を中心とした政府の取り組みによって、処遇改善手当の制度が始められました。

保育士の数を増やすことで、保育園の新設を目指し、都市部に多い待機児童問題の解消につなげられる可能性が高まります。

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処遇改善手当をもらえる人とは?

処遇改善手当をもらえる人とは?

保育園には認可保育園や無認可保育園など、さまざまなタイプの保育園がありますが、どの保育園でも処遇改善手当を受け取ることはできるのでしょうか。

認可保育園のみが対象

処遇改善手当は補助金であり、認可保育園のみが受けられる制度です。
また、自動的に受給されるわけではなく、保育園側が手続きを行って初めて受給資格が得られます

パートや派遣社員は対象?

保育士の処遇改善手当は、正規職員だけでなく非正規職員も対象となっています。
そのため、パートや派遣社員でも、勤務年数や役職など一定の基準を満たしていれば手当を受け取ることができます。

手当の詳細は後述しますが、処遇改善等加算Ⅰでは保育園で働く栄養士やスクールバスの運転手なども、処遇改善手当の対象とされています。
ただし、園長と主任保育士は既に役職がついているため、手当の例外となっています。

産休・育休中はもらえる?

産休中や育休中の間は、給料は支払われませんが、国から産休手当や育休手当が支払われます。
この手当は給料ではないため、産休中や育休中は処遇改善手当の支給対象外となるので注意しましょう。

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処遇改善手当の詳細を解説

処遇改善手当の詳細を解説

処遇改善手当には2種類あり、受給できる要件が異なります。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

処遇改善等加算Ⅰ

処遇改善等加算Ⅰとは、平成27年度に導入された制度で、経験年数に合った給料のベースアップや賃金改善をさします。
「基礎分」「賃金改善要件分」「キャリアパス要件分」の3要件から成り立っています。

・基礎分

基礎分は、1人あたりの平均経験年数に応じて、2%から12%の加算率が設定されます。
「賃金改善要件分」は、賃金改善および実績報告書を提出し、賃金改善を基準年度から行っている施設に加算されます。
加算率は5%ですが、平均経験年数が11年以上の場合は6%となっています。

・キャリアパス要件分

キャリアパス要件分は、施設において職務内容に沿った勤務条件や賃金体系などを設定し、労働環境の資質を向上させるために具体的な計画の策定や研修実施を確保することが必要です。
それと同時に、職員への周知も求められます。

先ほど解説した、全ての職員が対象となる制度が、この「処遇改善等加算I」です。
加算率は個々に対する加算率ではなく、施設ごとでの対応となります。
そのため、勤続年数が同じだとしても、施設によって個人が受け取れる額は変わってきます。

保育士の離職率が低い保育園で保育士全体の勤続年数が長ければ、いずれはもらえる額が増える可能性もある制度です。

職員の平均経験年数が上がるほど、加算率も上昇するのが特徴です。
例えば、職員1人あたりの平均勤続年数が10年の場合、基礎分の12%に、賃金改善要件分の5%を合わせて、17%の加算が受けられます

処遇改善等加算Ⅱ

処遇改善等加算IIは、保育士個人に対して支払われるものです。
次の中堅役職にあたる職務を行う保育士に対して、給料が上乗せされます。

・副主任保育士
・専門リーダー
・職務分野別リーダー
・若手リーダー

これらの職務に就くには、要件を満たし、都道府県が実施するキャリアアップ研修を受講することが条件となります。

こちらの制度には、副主任保育士および専門リーダーは保育園全体の3分の1、職務分野別リーダーは保育園全体の5分の1と、人数制限が設けられています
役職についている先輩が、後輩に立場を譲ることは少ないため、若手の保育士が職種に就くのはかなり難しいと考えられます。

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処遇改善手当の問題点は?

処遇改善手当の問題点は?

処遇改善手当の導入により、保育士の待遇は改善されたように見えます。
しかし現実には問題が生じていることが分かっています。

認可保育園のみが対象

処遇改善手当は、国から補助金として支給されるものであり、支給は認可保育園のみが対象とされています。
そのため、認可外保育園や事業所の保育園などには、支給はありません。

直接保育士に支払われず勤務先の保育園へ支払われる

処遇改善手当の最大の問題と言われているのが、直接職員に支払われるのではなく、保育園に対して支払われる点です。
保育園に支払われた後、保育園側が各職員に給与と合わせて支払いを行います。

本来あってはならないのですが、経営が苦しい保育園で処遇改善手当を保育士に支払わず、園の運営費に充ててしまった事実が確認されました。
このような不正を防ぐために、一部の自治体で独自に処遇改善手当の調査を行っているようです。

保育園の入職前に面接を受ける際は、処遇改善手当について質問してみましょう。

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まとめ

全国的な問題となっている保育士不足を解消するには、保育士の待遇を手厚く設定するのが得策のひとつです。
処遇改善手当をはじめとして、保育士の待遇を上げる制度の整備は進んでいますが、全ての保育園で待遇が改善されたわけではありません。

給料が上がると、仕事に対するモチベーションアップにつながりますので、自分が働く保育園でどのように制度を取り入れているのか確認することが必要です。

保育士の仕事を行うには、保育士養成機関を卒業するか、保育士試験に合格するかのいずれかが条件となります。
もしこれから保育士試験への受験を考えている方は、資格のキャリカレで勉強を始めてみませんか。
子どもの成長を見守るという重要な役割を果たしますが、その分やりがいは計り知れないものがあります。

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