調剤薬局事務の給料は15~18万円!年収ややりがいなど医療事務との差は?

調剤薬局事務の給料は15~18万円!年収ややりがいなど医療事務との差は?

無資格・無経験から医療業界を目指すなら、「調剤薬局事務」はいかがでしょうか。ここでは調剤薬局事務の年収や給料アップの方法、医療事務との違いを解説します。

目次

調剤薬局事務の給料は、月給15万円~18万円。年収だと250~300万円

調剤薬局事務の給料は、月給15万円~18万円。年収だと250~300万円

調剤薬局事務の給料の詳細と理由

調剤薬局事務の給料は、フルタイムで働く正社員の場合、全国平均で月収15万円~18万円ほどです。
ボーナスも含めた平均年収は、250万円~300万円になるでしょう。
年齢別に見ると、20~24歳の平均月収は約11万円、30~34歳は約15万円、40~44歳で約19万円です。
最大賃金は50~54歳の約23万円で、年齢が上がるにつれて給料も上がる傾向があります。

年収で計算すると、最も賃金が低い20~24歳では約171万円、最も賃金が高い50~54歳では約360万円と、差額は2倍以上になっています。
派遣社員として働く場合の平均時給は1,500円~1,800円、パート・アルバイトとして働く場合の平均時給は800円~1,000円程度です。
勤務地域の最低賃金と同程度である場合が多いといえます。

調剤薬局事務の主な職場は、「保険調剤薬局(処方せん薬を取り扱っている薬局)」です。
病院やクリニックの近くにあったり、病院内に調剤薬局が併設されていたりします。
チェーン展開しているドラッグストアに調剤薬局が併設されていることもあるでしょう。

雇用形態や勤務先、年齢などによって給料に多少の差がありますが、全体的に高いとは言えません。
無資格でも働けることや、ライフスタイルの変化などにより短期間で退職する人が多く、経験を積んだスタッフが少ないことも原因のようです。

給料が低くても仕事内容は重要

調剤薬局事務の仕事は単純でもなければ簡単でもありません。
主な仕事は、薬剤師が調剤に集中できるようにサポートすることでしょう。
薬局で行われている業務のうち、法律で禁止されていること以外はほぼすべて調剤薬局事務の仕事と言えるかもしれません。
調剤薬局の規模やスタッフの人数によっても変わりますが、一般的に仕事内容が幅広く、初めは覚えることがたくさんあります。

しかし、それだけやりがいがあり、飽きにくい仕事ともいえるのです。
薬に関するちょっとしたミスが患者さんの体調に悪影響を与えてしまうこともあるため、大きな責任もあります。
薬剤師と比べると給料は低いですが、調剤薬局にとってなくてはならない存在です。

一般的な調剤薬局事務の仕事内容についてみていきましょう。
患者さんが来ると、まず処方せんや保険証を受け取ったり、新規の患者さんにアレルギーの有無などのアンケート記入を頼んだりする受付業務を行います。
お薬手帳に薬の情報シールを貼ったり、薬袋を用意したりするのも調剤薬局事務の仕事です。
パソコンで薬代を計算して患者さんから薬代を受け取るなど、会計業務も行います。

また、レセプト業務(保険関連機関に提出する調剤報酬明細書の作成)も、薬局の収入にかかわる重要な業務です。
素早く正確に業務をこなすためには、専門知識やスキルが必要になります。
薬剤師の指導を受けながら薬剤の管理や発注、簡単な調合(混ぜる程度)を行う場合もあります。
掃除や備品の補充などの雑用もあるため、すべての業務をスムーズに行うには、薬剤師や他の調剤薬局事務仲間との協力が欠かせません。

給料が高くない一方で、人気な理由

給料が高くない一方で、人気な理由

①働きやすい

調剤薬局事務が人気である理由のひとつに、働きやすいことが挙げられます。
無資格・未経験でも働くことができるのは大きな魅力といえるでしょう。
医療にかかわる職種ですが、専門分野に関する知識がなくても目指しやすいのも人気の理由です。

また、フルタイムの正社員や派遣社員、時短勤務のパートなど、さまざまな勤務形態で働けるため、自分のライフスタイルに合わせやすいのも魅力です。
結婚や出産、子育てなどにかかわるライフステージの変化に合わせて、勤務形態を変えることもできるでしょう。
近所の薬局を選べば通勤時間を短縮できますし、休憩時間に夕食の準備をしに家に帰ったり、買い物に行ったりもできるかもしれません。
勤務時間も比較的一定のため、予定を立てやすいと言う特徴もあります。

②将来性があり安定している

医療業界は景気などに左右されず安定しており、将来性があります。
病院で診療と治療を行い、薬の調剤は薬局で行うという医薬分業が定着し、全国にはコンビニエンスストアよりも多い数の薬局があります。
全国の薬局総数は、平成28年度が58,678軒、平成29年度は59,138軒(出典:厚生労働省:厚生統計要覧「薬局数・無薬局町村数,都道府県別」より)でした。
全国各地に勤務先があるため、引っ越しをしても安心でしょう。

また、処方せんの受付枚数も年々増加しています。調剤薬局事務における処方せん受付枚数は、平成27年度は82,372万枚でしたが、平成30年度には84,361万枚(出典:厚生労働省「平成30年度 調剤医療費(電算処理分)の動向」より)にまで増加しました。
社会の高齢化が進むとともに、さらに需要が増えることが見込まれます。

③やりがいがある

調剤薬局事務は、医療スタッフの一員として社会貢献できる、やりがいのある仕事です。
特に個人病院やクリニックには多くの地元の人が訪れるため、地域に貢献していることにもなるでしょう。
また、働いているうちに社会保険制度や薬の知識が身に付き、自分や家族が病気になったときに役立ちます。

さらに、専門的な知識やスキルをいかせる分野であるため、ブランクがあっても再就職しやすい点も魅力です。大半の職場では募集に年齢制限がかかっており、年齢を重ねるごとに転職は難しくなりますが、医療関係の仕事で得た経験や知識は一生役立つでしょう。

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調剤薬局事務で給料をアップさせる方法は?

調剤薬局事務で給料をアップさせる方法は?

①資格を取る

給料をアップさせたいなら、資格を取るという方法があります。
調剤薬局事務は人気があるため、就職前に資格を取っておくことでより有利になることがあります。
また、好条件の求人や資格手当を狙えるかもしれません。
ここでは、おすすめ調剤薬局事務資格をご紹介します。

調剤薬局事務資格

一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)の「調剤薬局事務資格は、薬に関する基礎知識、処方に関する基礎知識、医療保険制度、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則に関する専門知識とレセプト作成の知識を備えていることを証明できる資格です。

受験料は税込5,600円で、カリキュラム修了後に随時試験を受けられます。
在宅受験のため、忙しい方や試験会場に行くことが大変な方でも受験しやすい上、いつも使っている教材を見ながら、落ち着いて受験できるため、学習した成果を発揮しやすいでしょう。

調剤事務管理士

技能認定振興協会(JSMA)の「調剤事務管理士は、受付から会計までの対応や、処方せん管理にレセプト業務など、調剤薬局で働くために必要な知識やスキルがあることを証明できる資格です。
受験資格や年齢制限は特にありません。

試験は年に6回、奇数月の第4土曜日に全国の主要都市の試験会場で受験可能です。
学科試験はマークシート形式10問で、医療保険制度や調剤報酬点数の算定、医薬品に関する基礎知識などについて出題されます。
実技試験は、レセプト作成2問と、レセプト点検が1問です。
受験料は税込6,500円で、試験時間は2時間、合格率は60%ほどになっています。

調剤事務実務士

特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会の「調剤事務実務士は、調剤報酬請求事務に必要な能力があることを証明する資格です。
調剤薬局だけでなく、ドラッグストアや小売業などの従事者向けの資格で、受験資格は特にありません。
薬剤師のサポートや、一般薬の薬剤情報提供まで行えるようになります。

学科試験は20問で、薬学や医療保険制度に関する知識、保険調剤の実務に関する問題などが出題されます。
実技試験は3問で、処方せんからの調剤報酬明細書作成です。
一般や後期、小児や在宅、特定疾患の中から3問選びましょう。
受験料は税込7,700円で、教育指定校か団体でのみ受験できます。
合格率は61%ほどになっており、しっかり勉強すれば合格できる資格です。

このように、調剤薬局事務に関係のある資格は複数あります。
自分の状況や目標に合った資格を取得することで、給料アップを目指すことができるのです。

調剤薬局事務の業務ではパソコンを使うことが多いため、パソコンのスキルを上げることも役立つでしょう。
調剤薬局事務の仕事は、「薬局の顔」として患者さんと接することが多いため、明るく笑顔で対応することや患者さんの気持ちに寄り添うことなど、接客やコミュニケーションのスキルを向上させることも大切です。

②勤務先を変える

ある程度の経験や実績を積んでも給料が上がらないなら、勤務先を変えるという方法もあります。
ドラッグストア付属の調剤薬局は、個人病院やクリニックの近くにある単独の調剤薬局より給料が高い傾向にあります。

また、大企業の方が、ボーナスや福利厚生などの待遇が良い場合もあるでしょう。
場合によっては勤務地域や勤務形態を見直すのもよいかもしれません。
勤務先を選ぶ際には、給与や待遇に加え、昇給する見込みがあるかを確認することも大切です。
一般的には、年齢が上がり勤務期間が長くなるほど給与がアップするため、長く勤務する条件が揃っているかも確認すると良いでしょう。

関連記事調剤薬局事務の資格は独学で取得できる?独学で取得するメリットや方法も解説

調剤薬局事務の仕事内容

調剤薬局事務の仕事内容

調剤薬局事務の仕事とは具体的にどのような内容なのでしょうか?
ここでは主な業務内容を紹介します。

患者の対応

来局された患者さんが、所定のお薬を正しく購入できるよう対応する業務です。

まずは、病院で受け取った処方せんを持って調剤薬局に来られた患者さんをお迎えしてお預かりすべき物をお預かりし、待合所に案内します。
お預かりする物は処方せんのほかに、健康保険証・お薬手帳などで、処方せんやお薬手帳は薬剤師に預けます。

初めて来られた患者さんに氏名・既往歴といった基本情報についてのアンケートを記入してもらうことも大切な業務です。
アレルギーの有無や妊娠中かどうかもお薬を処方する際にたいへん重要な情報なので、正確に記入してもらわなければなりません。

また、来局された患者さんからの質問への対応や電話対応も受付業務に含まれます。
ほかにも、調剤薬局で販売している医薬品やグッズなどの販売業務があります。
商品の陳列・整理はもちろん、商品価格を把握しておくことも大事です。

処方せんの情報入力

患者さんが持参した処方せんの内容を、パソコンに入力していきます。
最近は、バーコードで情報を読み込む機能がついている処方せんが増えており、入力自体の負担はそれほどかかりません。

気を付けるべき点は、最後に患者さんにお渡しする薬を入れるための薬袋に、ここで入力した情報がそのまま反映されるので、間違いのないように正確に入力する技能と注意力が必要です。

初めて訪れた患者さんの情報入力では、最初に記入してもらったアンケート内容も入力します。
2回目以降の患者さんについては、処方された薬の種類や数量の変化をひとつずつ確認しながらミスなく入力しなくてはなりません。

会計

患者さんに請求する薬代を計算し、お支払いの対応を行う業務もあります。

薬代の算出は、処方せんの情報を入力をすればパソコンが自動で行ってくれるため、入力ミスさえなければ間違える心配はありません。
ただし、お預かり金額やお釣りのミスには注意が必要です。
領収証も確実にお渡しすると同時に、健康保険証やお薬手帳などの返し忘れがないかどうかの確認も行います。

代金を支払ってはもらいますが、調剤薬局での接客はあくまで医療サービスの一環なので、サービス業をイメージさせるような受け答えや「ありがとうございました」などの言葉は避けるのが無難です。

レセプト作成業務

レセプトとは調剤報酬明細書ともいい、健康保険組合などに対して各医療機関から、その時かかった医療費を請求するためのものです。
レセプト作成は、保険の負担率など、絶対にミスできない数字を入力する作業なので、慎重さと丁寧な確認が求められます。

レセプトの作成に使用するのはレセプトコンピューター(レセコン)という専用機器です。
処方せん情報や数量を入力すると、自動的に調剤報酬を計算してくれる便利な機器ですが、医療費の負担率などで入力ミスをしてしまうと、患者さんに迷惑をかけるだけでなく、最悪の場合はその薬局の売上に影響します。

なお、レセコンへの情報入力は、患者さんの薬代の算定までを自動で行うものなので、事務担当者にはレセコンの操作技能習得と正確性が必要不可欠です。

薬剤師の補助

調剤師が正確な業務をこなせるようサポートすることも業務のうちです。

たとえば患者さんにお薬を渡す際に入れる薬袋に印字したシールを貼るなどの準備がありますが、薬剤師の指示に従いながら調剤作業の補助を行うこともあります。
薬局の規模や職員の人数によって、事務担当者がサポートする作業の内容や回数はさまざまです。
しかし、調剤のサポートといっても、法律でできる範囲内の作業に限られています

ほかにも、備品の在庫確認・発注、薬局と倉庫内の清掃・整理整頓を任されることも少なくありません。
人の手が触れた場所の消毒なども大切な業務です。
薬剤師の補助をする際に医薬品に関する専門知識は要求されませんが、処方せんとはどのようなものなかを把握しておくと、患者さんや薬局により貢献できるでしょう。

関連記事処方箋とは?薬局によって変わる?処方箋の種類や見方を解説

医療事務とどちらがおすすめ?

給料面での違い

同じ地域で比べた場合、基本的に違いはないといってよいでしょう。
医療事務の給料も、地域や年齢、勤務形態や勤務先によって異なります。一般的には、地方の方が安い傾向があります。
フルタイムの正社員(病院の職員)として働く場合、高卒なら平均月収は約15万円で年収180万円、大卒なら平均月収約19万円で年収約228万円ほどです。

給料は役職によっても異なり、主任クラスだと月収17万円、部長クラスになると月収30万円くらいまで上がるケースもあります。
また、派遣社員の時給は1,000円~1,700円ほどです。
1日7時間、月に22日間働くと、月収は約15万円~26万円で、年収は約185万~314万円になります。
パートの時給は、850円~1,400円程度のため、医療事務と調剤薬局事務の給料はあまり変わりないといえます。

条件の違い

医療事務も調剤薬局事務も、窓口・受付業務、会計処理、レセプト業務など、基本的な仕事内容は同じです。
ただし、調剤薬局事務の方が働きやすいかもしれません。
なぜなら、医療事務のほうが仕事内容の幅が大きいからです。

勤務先によっては、受付業務とレセプト業務などの担当がしっかり分けられている場合もありますが、一般的には幅広い分野の事務作業や雑務をこなさなければならない場合が多いのです。
調剤薬局事務で必要なのは主に薬剤に関する知識ですが、医療事務の場合は入院や処置、手術などに関する知識も必要になります。
そのため、医療事務の方が勉強範囲は広く、資格取得の難易度が高いでしょう。
しかし、調剤薬局事務の方が医療事務より求人数が少なく、倍率が高い傾向があります。

関連記事調剤薬局事務と医療事務はどっちがいい?違いを理解して向いている方を選ぼう

まとめ

調剤薬局事務は、給料は高くありませんが、働きやすく将来性もあり女性に人気の仕事(職業)であることは間違いありません。
そのため離職者が少なく求人が少な目といわれています。
調剤薬局事務の仕事をするなら、前もって資格を取得しておくと就職活動で有利になるでしょう。
また、実際に働く際にも戸惑うことなく業務に取り組めます。

調剤薬局事務の資格がとれる講座は、一般的に受講料が低めで手軽にはじめられるので、この機会にチャレンジしてみるのもよいですね。
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