生活相談員の仕事に資格は必要?
即戦力として働くための要件を解説

こんにちは、資格のキャリカレ編集部です。
介護や福祉に関わる仕事には、さまざまな種類があるのをご存じでしょうか。なかでも、生活相談員(ソーシャルワーカー)は、専門的な知識を活かして、社会的な支援を行う職業のことです。
この記事では、生活相談員の具体的な働き方や必要な資格、年収などを解説します。自治体ごとに定められている資格要件や、生活相談員に求められるスキルについてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
目次
生活相談員とは

生活相談員とは資格名称ではなく、さまざまな現場で支援を行う職業全般を指す言葉です。介護・福祉の現場では「生活相談員」、医療の現場では「医療ソーシャルワーカー」、教育の現場では「スクールソーシャルワーカー」など、勤務先によって名称が異なります。
介護・福祉の現場では、主に次の仕事を担当します。
● 施設の見学対応
● 入退所の手続き
● 利用者とその家族からの相談対応
● 援助計画の立案
● スタッフのサポート
ただし、これらはあくまで一例であり、生活相談員の仕事内容は、施設によって異なります。そのため、仕事内容や施設の規模などを比較しながら、自分に合った職場を探すことが大切です。
生活相談員が活躍する職場

生活相談員が活躍できる職場として、次の3つが挙げられます。
● 通所介護施設(デイサービス)
● 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
● 介護付き有料老人ホーム
これらの施設には、利用者の数に応じて配置しなければならない職種とその人数が定められています。まずは、施設ごとの特徴と人員配置基準を見ていきましょう。
通所介護施設(デイサービス)
通所介護施設(デイサービス)とは、食事や入浴などの介護のほか、レクリエーションや機能訓練などのサービスを提供している施設のことです。利用者は基本的に日帰りで施設を利用します。
通所介護における生活相談員の人員配置基準は、「事務所ごとに1名以上」と定められています。また、配置にあたっては、生活相談員または介護職員のうち1人以上を常勤で配置する必要があります。生活相談員以外にも、通所介護では「管理者」「看護職員」「介護職員」「機能訓練指導員」といった人員を確保しなければなりません。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)では、生活全般の介護サービスを提供します。介護老人福祉施設は、原則として65歳以上で要介護3以上と認定された人が入所の対象者です。基本的に在宅での生活が困難な人が入所するため、デイサービスよりも多くの職種を配置することが定められています。
具体的には、「医師」「介護支援相談員」「栄養士」などの職種が挙げられます。介護老人福祉施設における生活相談員の人員配置基準は、「入所者100人当たり1名以上」となっています。介護の現場では人員不足に悩まされていることも多く、生活相談員が介護職員や管理者などを兼務しているケースも少なくありません。
介護付き有料老人ホーム
民間企業が運営する介護施設を「有料老人ホーム」といいます。有料老人ホームは、大きく次の3種類に分けられます。
● 介護付き有料老人ホーム
● 住宅型有料老人ホーム
● 健康型有料老人ホーム
3種類の有料老人ホームのうち、人員配置基準が定められているのは、介護付き有料老人ホームのみです。介護付き有料老人ホームでは、24時間体制で介護スタッフが常駐しており、さまざまな介護サービスが提供されています。民間企業が運営しているため、設備やサービスも充実している傾向にあります。
そして、介護付き有料老人ホームにおける生活相談員の人員配置基準は、「要介護者100人当たり1名以上」です。介護付き有料老人ホームでは、施設によって介護度の条件が異なるため、入所者ではなく要介護者の人数が基準となります。
生活相談員に必要な資格

生活相談員として働くためには、原則として資格が必要です。社会福祉法第19条第1項各号では、下記いずれかの資格を所有していることが条件として定められています。
● 社会福祉主事任用資格
● 社会福祉士
● 精神保健福祉士
ここでは、それぞれの資格の概要と介護の現場での役割を解説します。
1. 社会福祉主事任用資格
特定の職業や職位に就く際、必要になる資格のことを「任用資格」といいます。また、「主事」とは、地方公共団体などにおける一般的な職員を意味する言葉です。社会福祉主事任用資格を取得し、公務員試験に合格したあと、都道府県や市町村の福祉事務所に配属されることではじめて「社会福祉主事」と名乗ることができます。
都道府県や市町村の福祉事務所では、社会福祉主事を必ず配置する必要があるため、資格を取得することで職場の選択肢が広がります。社会福祉主事任用資格は、大学や短期大学において指定された社会福祉科目のうち3つ以上を履修し、卒業することで取得できます。
また、「通信で学ぶ」「都道府県講習会に参加する」といった方法でも取得することが可能です。
2. 社会福祉士
社会福祉士は、厚生労働大臣が認定する国家資格です。資格を取得することで、介護・福祉の専門的な知識やスキルを持っていることの証明となります。「名称独占資格」に分類されているため、試験に合格しなければ社会福祉士を名乗ることはできません。
社会福祉士とソーシャルワーカーは同じ意味で使われることも多いのですが、厳密には違いがあります。たとえば、ソーシャルワーカーとして働いていても国家試験に合格していなければ社会福祉士という名称を勝手に使用することはできません。
社会福祉士の国家試験を受けるには、定められた受験資格を満たしている必要があります。福祉系の大学に通っていても指定科目を履修していなければ、受験資格が得られないため、6ヶ月以上の「短期養成施設」に通うことになります。受験資格を満たしたうえで試験に合格すると、社会福祉士として介護・福祉の現場での仕事に従事できます。
3. 精神保健福祉士
精神保健福祉士は、厚生労働大臣が認定する国家資格です。精神科ソーシャルワーカー(PSW)と呼ばれることもあり、心の病や精神面での問題を抱えている人たちを手助けする役割を担っています。
主な勤務先としては、精神科のある病院や施設などが挙げられますが、近年は福祉事務所や保健所などの福祉行政機関でのニーズも高まっています。
社会福祉士の試験と同様に、精神保健福祉士にも受験資格が定められています。受験資格を得るためのルートは2024年時点で11種類ありますが、大学・短期大学を卒業したあと取得を目指す方法が一般的です。高卒から精神保健福祉士を目指す場合、4年以上の実務経験に加えて、「一般養成施設」にて1年以上必要な知識と技能を学ぶことで受験資格が得られます。
自治体独自の必要要件がある場合も

生活相談員の資格要件は、「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない」と定められています。「同等以上の能力」については、明確に定義されていないため、自治体が独自に判断しています。
なかでも下記2つは、多くの自治体が資格要件として認めているものとなります。
● 介護福祉士
● 介護支援専門員(ケアマネージャー)
ここでは、それぞれの資格の概要と介護の現場での役割を解説します。
介護福祉士
介護福祉士は、高齢者や障がい者に寄り添い、日常生活に必要な支援を提供する介護のプロフェッショナルです。介護系の資格にはさまざまな種類がありますが、国家資格は「介護福祉士」のみとなっています。
介護福祉士の受験資格を得るためには、「養成施設ルート」「実務経験ルート」「福祉系高校ルート」「経済連携協定(EPA)ルート」の4つの方法があります。実務経験ルートからの取得を目指す場合、「実務者研修」もしくは「介護職員基礎研修」「喀痰吸引等研修」の両方を修了しなければなりません。経済連携協定(EPA)ルートは、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヵ国を対象としており、介護施設で働きながら資格の取得を目指す方法です。
・介護福祉士になるには?最短で目指す方法や社会人におすすめの4つの方法を紹介
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・介護福祉士国家試験の難易度は易しい?合格率を福祉系資格と比較
介護支援専門員(ケアマネージャー)
介護支援専門員(ケアマネージャー)は国家資格ではなく、都道府県が認定する公的資格となっています。介護支援専門員の主な仕事は、介護や支援を必要とする人のサポートやマネジメントです。ケアプランの作成や自治体との調整役も担っており、介護の現場では欠かせない存在といえます。
国家資格である介護福祉士の合格率が約70%であるのに対して、介護支援専門員の合格率は10〜20%で推移しており、取得の難易度は高めです。介護支援専門員になるためには、「保健医療福祉分野での実務経験が5年以上」「介護支援専門員実務研修受講試験に合格」「合格後に実務研修を受講」など、いくつかのプロセスを経る必要があります。
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【自治体別】生活相談員に必要な資格の例

ここからは、生活相談員に必要な資格の例を自治体別に紹介します。ただし、介護の現場では人手不足が深刻化しているため、現状に合わせて適宜基準や方針が見直されています。最新情報については、自治体のサイト等で確認をするようにしてください。
東京都
東京都における社会福祉法第19条第1項各号以外の資格要件は、以下のいずれかとなっています。
● 介護支援専門員
● 特別養護老人ホームで介護の提供に係る計画の作成に関する実務経験が1年以上ある
● 老人福祉施設の施設長をしていた経験がある
● 介護福祉士の資格を有し、特定の施設や事業所で介護に関する実務経験が1年以上ある
東京都は、実務経験のみでも資格要件を満たせるのが特徴です。介護福祉士資格を持っている人の実務経験は、利用者の処遇に直接関わる職種に限定されます。よって送迎、調理、清掃などの業務は実務経験に含まれません。
千葉県
千葉県における社会福祉法第19条第1項各号以外の資格要件は、以下のいずれかとなっています。
● 介護支援専門員
● 介護福祉士
千葉市や船橋市、南房総市をはじめ、市町村のサイトからも生活相談員の資格要件が確認できます。基本的には、各市町村において千葉県と同等の基準が用いられています。
大阪府
大阪府における社会福祉法第19条第1項各号以外の資格要件は、以下のいずれかとなっています。
● 介護支援専門員
● 介護福祉士
多くの自治体が、「介護福祉士」「介護支援専門員」の2つを「同等以上の能力」を持つ資格として位置付けています。自治体によっては資格の保有に加えて実務経験が求められるケースがありますが、大阪府では資格の保有のみで資格要件を満たすことができます。
北海道(札幌市)
北海道(札幌市)における社会福祉法第19条第1項各号以外の資格要件は、以下のいずれかとなります。
● 介護支援専門員
● 介護福祉士
札幌市においては、資格の保有のみで実務経験の期間は明記されていません。ただし、北海道保健福祉部高齢者支援局からの通知では、「社会福祉施設等において実務経験が1年以上ある介護福祉士」と記載されています。同じ都道府県内でも市町村によって細かい要件が異なる場合があるため、確認する際は注意が必要です。
生活相談員に求められるスキル

生活相談員は、利用者や家族のサポートに加えて、医療施設や行政などとの橋渡し役にもなります。関連機関とスムーズに連携を取り、必要な支援を提供するためには、下記のスキルが求められます。
● コミュニケーション能力
● 臨機応変な対応力
コミュニケーション能力は生活相談員に欠かせないスキルの1つです。「人から相談されることが多い」「人と関わることが好き」といった方は、生活相談員に向いているかもしれません。
また、臨機応変な対応力も必須です。相談を受けたあと、「どのような機関と連携をとるべきか」「どのくらいのスピード感で対応すべきか」など、具体的なアクションを考えて即座に行動にうつさなければなりません。生活相談員は同時に複数の人から相談を受けるため、案件を管理するスキルも求められます。
生活相談員の年収はおよそ400万

令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果では、常勤の生活相談員3,438名を対象とした平均給与に関する情報が公開されています。
この調査結果によると、常勤の生活相談員の平均年齢は45.6歳、平均勤続年数は10.6年で、実労働時間は164.1時間、そして平均給与額は約34.2万となっています。年収に換算すると、およそ400万です。
非常勤の生活相談員については、調査対象者が32名と少ないですが、平均給与額は30.6万円、年収の目安は367万円となっています。生活相談員の年収は年々上昇傾向にあり、今後も増額が期待できます。
生活相談員に必要な資格の勉強方法

生活相談員に必要な資格を取得するためには、「独学」「通信講座」という2つの勉強方法があります。それぞれの特徴や注意点を見ていきましょう。
独学
費用をかけずに資格取得を目指したいなら、独学がおすすめです。福祉系の大学を卒業した人や実務経験がある人は独学を選択するケースも多いですが、資格によっては勉強以外のリサーチに時間を取られてしまう点に注意が必要です。
とくに、人気の資格の場合、テキストの種類も豊富にあるため、どれを選ぶべきか迷ってしまうかもしれません。テキスト購入後も、基本的には自分ひとりで学習に取り組まなければならず、モチベーションも維持しづらい傾向です。「テキストの内容が理解できない」「過去問を解いても知識として定着しない」など、不安感が強くなると、挫折につながりやすくなります。
通信講座
効率的に資格取得を目指したいなら通信講座がおすすめです。テキストや動画、模擬問題など、さまざまな教材が用意されているので、個人でリサーチする必要はありません。勉強のスケジュールが組まれており、自宅にいながら効率よく学習を進められる点も通信講座のメリットです。
「勉強を続けられるか心配」「分からないところは質問したい」という人は、通信講座で学ぶことで、正しい知識を確実に身に付けることができます。
ただし、取得したい資格の通信講座が必ずしも用意されているとは限りません。まずは、生活相談員の要件として認められている資格が取得できる通信講座を探すところからはじめてみましょう。
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まとめ
生活相談員は、介護や福祉の現場で利用者やその家族をサポートする役割を担います。医療施設や行政などとの連携も必要となるため、専門的な知識やスキルが不可欠です。生活相談員に必要な資格要件は自治体によっても異なりますが、「介護福祉士」「介護支援専門員」の資格を持っていることは大きな強みとなるはずです。
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