色彩心理学とは|歴史や色が与える効果・影響、活用されるシーンなどを解説
心理学のひとつである色彩心理学は、どのような学問かご存知でしょうか。ここでは、色彩心理学の概要や歴史、色が与える効果・影響、活用されるシーン、資格の種類まで詳しく解説します。
目次
色彩心理学とは
色彩心理学とは何か、2つのポイントで見ていきましょう。
・色を通して人間の心を研究する学問
・色彩心理学の歴史
色を通して人間の心を研究する学問
色彩心理学とは、色を通して人間の心を研究する学問です。
自然やものなどあらゆるものに色が付いていますが、人間はあるものや色を見て「〇〇は何色」という認識を持つだけではありません。
色に対して感情が生まれたり、配色によって影響を受けたりするなど、人間の心と色には深い関わりがあります。
色に影響を受けた心理が行動につながるため、さまざまな分野で色彩心理学が取り入れられています。
色彩心理学の歴史
色彩心理学は、アメリカで2003年に生まれたとされる比較的新しい心理学です。
学問として確立されたのは最近ですが、色の研究が始まったのは古代までさかのぼります。
古代ギリシア時代にアリストテレスが「色彩論」を著し、白・黄・赤・緑・青・紫・黒という有彩色の配列を提唱しました。
1810年にはゲーテが「色彩論」で色彩心理に新しい考えをもたらし、今に至る基盤をつくったのです。
19世紀にシュブルールによる「色の同時対比の法則」、20世紀にマンセルやオストワルトらによるカラーシステムの構築など、色の研究がさらに進んでいきました。
さまざまな研究を元にして、アメリカでアボット、ビレン、チェスキンが色彩心理の原型をつくり、現代の色彩心理学の土台ができたのです。
色彩心理学における色が与える効果・影響
色彩心理学では、色が与える効果・影響を以下の4つに分けています。
・心理的
・生理的
・感情的
・文化的
心理的な効果・影響
心理的な効果・影響とは、色によって心理に影響を与えるということです。
色でものの名前を覚えたり、色でものに惹きつけられたりする場合、色が心に働きかけています。
生理的な効果・影響
色は、神経にも影響を与えていると考えられています。
例えば、赤色を見たときに、やる気や情熱などを連想させ、交感神経が優位になるとされているのです。
また、青や緑などは心を落ち着かせる効果があると言われています。
感情的な効果・影響
色によって、感情が動かされることもあります。
黄色やオレンジなどの明るい色は気分も晴れやかになり、青や緑などの落ち着いた色は気持ちを静めてくれるなど、色が持つ効果が感情に作用するのです。
文化的な効果・影響
色には、文化的な側面もあります。
その国や地域によって色の捉え方が異なり、色を見る人の受け取り方も変化するのがポイントです。
同じ黒でも、文化によってはポジティブにもネガティブにも捉えられるので、デザインなどでは配慮が必要になります。
色彩心理学が活用される場面
色彩心理学はさまざまな場面で活用されています。
主な場面は、以下の6つです。
・カラーセラピー
・インテリアコーディネート
・子どもの心理ケア
・スポーツ心理学
・性格診断テスト
・日常生活
カラーセラピー
カラーセラピーとは、色を用いて行うセラピーです。
色それぞれが持つ効果や意味を活用して、セラピーやカウンセリングを行い、クライエントの心を癒すことを目指します。
色の特性を理解して心身をコントロールできるだけではなく、自分の心を表す色を通して、自分自身を理解することも可能です。
インテリアコーディネート
色彩心理学は、インテリアコーディネートに応用できます。
色の持つ効果を踏まえて、インテリアの配色や組み合わせを考えることによって、部屋から心理的な効果を期待できるのです。
例えば、落ち着きがあり集中できる勉強部屋をつくりたい場合は、集中力をもたらす青や心が安らぐ緑などを取り入れると良いでしょう。
明るく活気のある環境を整えたいなら、黄色やオレンジなど明るい色を使うのがポイントです。
子どもの心理ケア
色彩心理学は、子どもの心理ケアにも活用されています。
無意識に選ぶ色を子どもが必要としている色と捉えるため、子どもの心の特徴を知ることができるのです。
赤は外向的で強い色、緑は真面目で弱い色など、色には強弱があります。
色から今の心の状況を見たり、色の変化で心境の変化を考えたりして、子どもへの効果的な接し方や声かけを見直すことが可能です。
スポーツ心理学
スポーツと色の関係は深く、スポーツ心理学と色彩心理学にもつながりがあります。
ユニフォームの色、シューズやグローブといった道具の色、陸上トラックやリングといったフィールドの色など、スポーツに関わる色はさまざまです。
ピッチャーが落ち着いて投げられるように青色のキャッチャーミットを使う、集中力が高まる青い陸上トラックをつくるなど、色の持つ効果を考えて道具や設備を見直す動きがあります。
性格診断テスト
性格診断をする際にも、色彩心理学が用いられます。
好きな色や直感的に選んだ色は、その人の心理や性格を表していることが多いです。
例えば、赤が好きなら情熱的で活発な性格、オレンジなら明るく親しみやすい性格、紫色はクリエイティブな性格など、色によって異なる性格を表します。
必ずしも性格とぴったりとは限りませんが、自分の性格を考えるきっかけになるでしょう。
日常生活でも役立つ
色彩心理学は、セラピーや心理ケア、インテリアコーディネート以外にも、プライベートでも役立ちます。
その日の気分に合った色を取り入れたり、色にこだわった居心地の良い部屋をつくったりするなど、日常生活から色を活用して心身をコントロールすることが可能です。
自分の生活に色彩心理学を用いるだけではなく、家族や友人などからの相談や提案に対して、色の観点から話せることもあるでしょう。
色彩心理学に関する資格の種類
色彩心理学に関する資格は、いくつか種類があります。
主な資格の特徴や取得するメリットなどをチェックしていきましょう。
・カラーセラピスト
・色彩心理セルフアナリスト
・色彩心理学療法士
・カラーコーディネーター
・色彩検定
カラーセラピスト
カラーセラピストとは、カラーセラピーを行うために必要な知識や技能を身につけられる資格です。
色が持つ効果や影響のほか、カラーセラピーの技法など幅広い知識を学ぶことができます。
心理分野の仕事はもちろん、セルフケアのために学ぶのもおすすめです。
色彩心理セルフアナリスト
色彩心理セルフアナリストは、国際カラーデザイン協会が認定している資格です。
色に関する知識はもちろん、カラー分析やカウンセリング、自己分析などのスキルを身につけられます。
類似の資格として、色彩心理ジュニアアナリスト、色彩心理シニアアナリストなども、色彩心理学に関わる資格です。
色彩心理学療法士
色彩心理学療法士は、日本色彩心理学研究所が開講・認定している資格です。
3級、2級、1級があり、3級は「色が心にどのように必要か」を語ることができる人材、2級は色彩心理学療法によって心の回復を実践できる人材、1級は色彩と人間の関係性を深く理解し社会に関わることができる人材であることを認定しています。
段階的に習得することによって、色を用いた心理支援活動を行うことが可能です。
カラーコーディネーター
カラーコーディネーターとは、実践的な色彩の知識を学べる検定です。
色の特徴や性質などを学んだ上で、ファッション業界やインテリア業界などビジネスシーンで知識や技能を発揮することができます。
アドバンスクラスとスタンダードクラスという2つの階級があり、段階的に取得することも、飛び級で受験することも可能です。
色彩検定
色彩検定は20年以上続く歴史ある、色に関わる資格です。
UC級、3級、2級、1級に分かれており、色の基礎知識や実務的な知識・技能、プロフェッショナルな知識、ユニバーサルデザインなどを段階的に学ぶことができます。
色彩について幅広い知識を身につけられるので、色彩心理学を学ぶ基礎になるでしょう。
まとめ
色彩心理学は、色彩から人間の心を探求する学問です。
カラーセラピーや心理ケア、スポーツ、性格診断などさまざまな分野と関わりが深く、日常に生かすこともできます。
色彩心理学に関わる資格は数多くあり、学びたい内容に合わせて取得すれば、色彩心理学への理解を深められるでしょう。
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