社労士合格への勉強時間と勉強方法を詳しく解説!

社労士合格への勉強時間と勉強方法を詳しく解説!

社会保険労務士(社労士)は、士業と呼ばれる職業のひとつで、労働管理に関して幅広く高度な専門知識が問われます。社労士になるための国家試験は、合格率が例年1桁台であり、簡単に合格できる試験とはいえないでしょう。
社労士試験に合格するには、相当な勉強時間が必要ですが、具体的にどのくらい勉強すると効果が上がるのか、合格を目指す人はぜひ把握しておきたいものです。ここでは、社労士合格に向けての勉強時間とそれに伴う勉強方法について、詳しく解説します。

目次

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社労士試験に合格するために必要な勉強時間はどのくらい?

社労士試験に合格するために必要な勉強時間はどのくらい?

社労士試験に向けての学習計画を立てるのに、まず必要な勉強時間の目安を把握しましょう。

目安は1,000時間程度

社労士試験に合格するため必要な勉強時間は、800時間から1,000時間程度が目安といわれています。
この時間と、試験までに費やせる期間を照らし合わせると、1日あたり何時間勉強したらいいのかがつかめるようになります。

1,000時間という数字だけをみると、とてつもなく膨大な勉強量を想像されるかも知れませんが、決してこなせない時間ではないのです。
ただし、社労士試験の内容は専門的かつ出題範囲が広く、1,000時間勉強すると必ず合格できるわけではありません
このため、時間だけでなく勉強の内容にも気を配らなくてはいけません。

これまで全く労働関係の法律を学んだことがなく、実務経験もない方が、知識がゼロの段階から社労士試験の勉強を始めようとすると、かなり努力が必要です。
反対に、法律に詳しい方や、労働関係の業務に携わった経験がある方などは、勉強が始めやすいでしょう。

社労士試験は、毎年8月第4日曜日に実施されます。
年1回の試験ですので、チャンスを無駄にしないような勉強を進めていきたいものですね。

勉強期間は1年前後が目安

社労士合格までの勉強期間は、社会人であれば1年前後が目安です。2021年に実施された第53回社労士試験において、合格者のうち60.4%が会社員と発表されています。
また、公務員が7.8%、自営業が4.2%、団体職員が5.6%、役員が3.4%であり、合計すると81.4%の合格者が仕事をしながら勉強を続けたことが分かります。

仕事をしながら勉強を行うには、1日2時間から3時間確保するのが現実的といえるでしょう。
1日3時間勉強できるのであれば、およそ10ヶ月から11ヶ月の勉強期間で1,000時間を確保できます。
1日2時間の勉強では、およそ1年4ヶ月で1,000時間に到達できるのです。

また、仕事に就いていない方で、1日10時間程度勉強時間が確保できるならば、およそ3ヶ月半で1,000時間に到達可能です。

急な予定などを考慮し、余裕を持ったスケジュールに

社労士試験は、科目免除制度はありますが、対象は労働社会保険法令に関する事務での実務経験に限定され、免除対象は非常に細かく規定されています。
ほかの試験のように、一部合格したら翌年の当該科目が受験免除されるというような制度はありません。

このため、試験範囲は膨大ながらも、一度の試験で全科目に合格しないといけないのです。

勉強期間を長く設定してしまうと、一度覚えた内容を忘れてしまったり、合格に対するモチベーションが下がったりしてしまうため、1年前後で設定するのが適切でしょう。
また、急な仕事が入ったり、万が一体調不良があったりすることを想定し、勉強期間に余裕を持たせてスケジュールを立てましょう。

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社労士試験を受けるために必要な受験資格は?

学習開始時期で学習時間を考える

学習開始時期で学習時間を考える

社労士試験に向けて学習を始める時期は、人によってさまざまです。
初心者で入念な準備をしたい人、仕事や家事と両立しながらコツコツ勉強したい人、少ない時間で短期集中したい人など、勉強に使える時間やスタイルに合わせることも大切になります。

5つの学習開始時期に分けて、学習時間の目安をご紹介します。
ぜひ勉強を開始する際の参考にしてみてください。

なお、社労士試験合格に必要な勉強時間は800~1,000時間と言われています。
ここでは、1,000時間と仮定して、学習期間別に1日の学習期間を計算しています。

1月・2月・3月から翌年の試験合格を目指す【学習期間:約1年6か月】

翌年の試験に向けて約1年6か月の学習期間を想定する場合は、テキストでのインプット、問題集や過去問でのアウトプットに取り組みやすいです。

学習期間は540日と仮定すると、1日あたり約2時間の勉強が必要になります。
長期間にわたって勉強することになるので、学習の習慣をつけることを初期の段階で意識しましょう。

4月・5月・6月から翌年の試験合格を目指す【学習期間:約1年3か月】

約1年3か月で試験に臨む場合は、学習期間を450日として、1日あたり約2時間の勉強が必要です。
1・2・3月開始と同じく、コツコツと準備する時間はあるものの、毎日勉強するためのモチベーションが重要になります。

また、勉強が進むほどに初期の段階で学んだ内容を忘れる可能性もあるので、適度に復習をしながら知識を定着させることが大切です。

7月・8月・9月から翌年の試験合格を目指す【学習期間:約1年】

社労士試験の学習期間は、試験の前年から1年かけるのが一般的です。
1年6か月、1年3か月に比べると余裕がなく、毎日勉強したとして1日約3時間勉強する必要があります。

学習スケジュールが重要になるため、勉強を始める前にいつまでにインプットを終わらせるか、問題演習をいつから始めるかなどを細かく決めましょう。
すき間時間も活用すると、復習や演習がスムーズになります。

10月・11月・12月から翌年の試験合格を目指す【学習期間:約9か月】

約9か月で翌年の試験合格を目指す場合は、1日あたり約4時間の学習時間が必要になるでしょう。
さらにタイトなスケジュールになるので、学習計画を綿密に立てつつ、効率良く学習することが大切です。

テキストを網羅すると時間がかかるので、テキストと並行して問題集に取り組み、知識の定着を図ると良いでしょう。

1月・2月・3月から今年の試験合格を目指す【学習期間:約6か月】

約6か月で短期集中合格を目指すなら、1日あたり約5.5時間の勉強が必要です。
仕事や家事と両立しながら1日約5時間を確保するのは難しいため、効率が求められます。

出題範囲に絞って勉強したり、すき間時間を活用したり、インプットとアウトプットを並行したりするなど、短期間で知識を身につけられる工夫が必要です。

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社労士試験の合格率・合格ラインの推移は?

社労士試験の合格率・合格ラインの推移は?

社労士の合格率は一桁台だといわれていますが、具体的な数字はどのくらいなのでしょうか。

合格率は6~7%前後が平均

これまでの社労士試験における合格率は、次のとおりです。

実施年度 合格率
令和4年度 5.3%
令和3年度 7.9%
令和2年度 6.4%
令和元年度 6.6%
平成30年度 6.3%
平成29年度 6.8%

出典:社会保険労務士試験の結果について|厚生労働省

このように、社労士試験の合格率はおおよそ6%台で推移しています。
令和2年度における、主な士業試験の合格率は次のとおりです。

士業 合格率
税理士 20.3%
弁護士 39.1%
※合格者数を受験者数で割った数値
司法書士 5.1%
※合格者数を受験者数で割った数値
行政書士 10.7%
不動産鑑定士 17.7%
※合格者数を受験者数で割った数値"

司法試験の合格率は高いのですが、司法試験を受けるためには予備試験に合格しなくてはいけません。
令和2年度における、司法試験予備試験の合格率は4.2%であり、実質的な司法試験の合格率はかなり低いといえるでしょう。

この表をみると、社労士試験の合格率が、ほかの士業試験と比べて低いことが分かります。
なお、一定条件のもとに受験科目が免除される科目免除者では、令和2年度の合格率は8.6%であり、科目免除を受けても大幅な合格率向上にはつながっていないようです。

関連記事社労士試験の難易度や合格率は?他資格との比較・対策法を解説

合格ラインは毎年変動する

社労士試験では、合格基準が毎年変動します。
ここ数年の傾向をみると、次のような基準点が設定されているのです。

実施年度 選択式試験合格基準 択一式合格基準
令和4年度 総得点27点以上
かつ各科目3点以上
総得点44点以上
かつ各科目4点以上
令和3年度 総得点24点以上
かつ各科目3点以上
総得点45点以上
かつ各科目4点以上
令和2年度 総合得点25点以上
かつ各科目3点以上
総合得点44点以上
かつ各科目4点以上
令和元年度 総合得点26点以上
かつ各科目3点以上
総合得点43点以上
かつ各科目4点以上
平成30年度 総合得点23点以上
かつ各科目3点以上
総合得点45点以上
かつ各科目4点以上

これとは別に、年によって「救済科目」が設定されることがあります。

合格基準点が年によって変更されるのは、試験の水準を一定に保つためです。
試験問題の難易度は年ごとで差がありますので、各年度の総得点および各科目の平均点、得点分布などの結果から総合的に判断して補正が行われます。

選択式試験は40点満点、択一式試験は70点満点であることから、いずれの試験も7割の正解を目指せば合格が狙えることになります。
勉強を進める際の重要ポイントとなりますので、必ず覚えておきましょう。

関連記事社労士の試験問題はどんな内容?科目内容と合わせて徹底解説!

合格までの受験回数は平均3~4回

社労士試験に合格するまでの受験回数は、平均して3回から4回だといわれています。
これは、1、2回の受験での合格者数と、7回から8回受けてようやく合格できる合格者数がほぼ同じであるためです。

業務上すぐ必要となることが少ないため、長い時間をかけて勉強する方も多いことから、社労士試験を複数回受験するケースが多いのです。

一方、社労士試験に合格することでメリットも多いために、合格するまで努力を続ける方が多いのも事実です。
就職や転職の際有利になる、平均年収が高い、独立開業が目指せるなどのメリットがあります。

合格率が低いのにはいくつか理由がある

社労士試験における合格率の低さには、理由がいくつかあげられます。

まず、科目の多さや試験範囲の広さから、知識を持ち続けることが難しいためです。
1年で知識が身につかないと、どうしても複数回受験する結果につながるでしょう。

そして、法改正が頻繁に行われると、一度覚えた制度をもう一度覚え直す必要があり、最新の情報に対応しきれなくなることがあります。
特に、独学で勉強しようとすると、法改正の情報を自分で探さないといけないのです。

さらに、選択式試験(特に科目別)で1点足りずに合格できない受験生が多いことも、合格率が低い理由にあげられます。
選択式試験は、非常に細かい部分から出題されることもあるため、受験対策が不十分な場合には合格の可能性が下がってしまいます。

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社労士試験に向けての勉強を効率良く進めるにはどうしたらいい?

社労士試験に向けての勉強を効率良く進めるにはどうしたらいい?

社労士試験の勉強はハードですが、合格に向けて効率良く勉強していくためには、どのような点に気を付ければ良いのでしょうか。

全科目を平均的に勉強する

先ほどご紹介したように、社労士試験の出題範囲は幅広いうえ、全科目で点数を取得しないと合格できません。
特定の科目を重点的に勉強しても、知識が偏ってしまうのです。

また、知識を記憶しやすい勉強法として、何度も復習することが重要です。
確実に少しずつ知識を積み上げていくために、偏りのないよう勉強していきましょう。

問題の内容を理解する

過去問題を解いていくと、問題の内容を理解する前に暗記することを重点的に進めてしまうことがあります。
なぜそのような解答になったのかを理解しないと、似た内容の問題が出されても応用ができなくなってしまいます。

一般常識科目は範囲が広いため、すべてを理解するのは困難ですが、できる限り知識の暗記より理解するよう心がけましょう

関連記事社労士の試験問題はどんな内容?科目内容と合わせて徹底解説!

スピーディーに解答できるよう取り組む

ある程度問題に慣れてきたら、解答にかかる時間も気にかけながら解いてみましょう。
社労士試験は問題数が多く、択一式は210分の中で70問出題されます。
1つの問題で、5つの文章から正しいものを選びますので、1文あたりの解答時間は最大36秒となります。

選択式試験は、80分の中で40問に解答しますが、1問あたり解答欄から5つの空欄を選択するため、空欄1つあたり最大24秒で解答しなくてはなりません。
問題集に取り組む際には、本番と同じ時間を計り、どのくらい解答できるかを試してみましょう

関連記事社労士とはどんな仕事内容?給料や将来性、やりがいを解説

社労士試験は独学でも合格できるのか

社労士試験は独学でも合格できるのか

独学であっても、社労士試験に合格するだけの学力を身につけることは可能です。
ただし、先ほども解説したように、社労士試験は難関なので、合格相当のレベルになるまでには1,000時間程度の勉強が必要とされています。

独学で社労士試験合格を目指す場合は、いかに効率的に最新情報を入手するのか、また最後までモチベーションを維持するのかが成功の鍵となるでしょう。

独学でも合格は可能だが情報収集が大変

社労士試験はコツコツと勉強を積み上げて知識を蓄積し、過去問を何度も解いて解答スタイルに慣れていけば、独学でも合格することはできるでしょう。

しかし、問題となるのは、「法改正」情報の収集が思うようにできるかどうかです。
法改正は規模の大小を問わず、想像以上に頻繁に行われています。
社労士試験では、アップデートされた法律に則して解答しなければ正解を導き出せません。

独学で社労士試験合格を目指す場合、最新情報を収集しそびれるリスクがあることを覚えておきましょう。

通信講座であれば最短で合格を目指せる

社労士試験に合格するには、法改正などを中心に、過不足のない最新情報を入手しながら勉強を進めていくことが重要です。

たとえたった1年前の市販テキストでも、テキストが発行された後に法改正がなされていると、解答そのものが変わってしまいます。
最新情報を確実に入手しながら社労士試験の勉強を行うには、常に最新の法改正情報や最近の出題傾向を押さえたテキストを使うことができる通信講座がおすすめです。

効率的に勉強できるため、学力アップを常に実感でき、合格までモチベーションを維持しやすいのも通信講座ならではのメリットといえるでしょう。

まとめ

これまで解説してきたように、社労士試験は出題範囲が広いうえ勉強期間が長いために、特に独学ではモチベーションを保つのが難しい傾向がみられます。
仕事をしながらの勉強では、予定も立てづらいでしょう。
さらに、法改正の情報を確実に集めるのも困難な場合があります。

これらの懸念を解消するためには、通信講座で勉強するのがお勧めです。

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