社労士とはどんな仕事内容?給料や将来性、やりがいを解説

社労士とはどんな仕事内容?給料や将来性、やりがいを解説

近年、働き方改革が進む中で、企業の労務管理はこれまで以上に重視されるようになりました。そんな中、より重要な存在として注目されているのが「社労士(社会保険労務士)」です。
ここでは、そもそも社労士って何という基本から、仕事内容ややりがい将来性まで詳しく解説します。

目次

1. 社労士とは?

社会保険や人事・労務管理に対する専門家

社労士(社会保険労務士)とは、従業員の労働や社会保険に関する法律と人事・労務管理に対する専門家です。
社会保険労務士法に基づいた国家資格者のことを言い、企業の成長に不可欠な「人材」に関して、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」を目的としています。

企業で働く人たちの採用に関することから退職までの長期にわたり、「労働・社会保険に関する諸問題」や「年金の相談」に応じるなど、業務の内容は多岐にわたります。
まさに、人を守り、職場の安心や会社の未来までを守る仕事と言えます。

一度取得すれば生涯有効な資格

世の中には、専門資格職業「士業」と言われる8つの仕事、「弁護士・弁理士・司法書士・税理士・行政書士・土地家屋調査士・海事代理士・社会保険労務士」があります。
これら「8士業」は専門性が高くプロフェッショナルとして、社会で広く必要とされている仕事だといえます。

法律で規定され、名称が独占されていることに加え、専門的に行う業務の独占資格が与えられています。
また、社労士資格に有効期限や更新はありません。
そのため、一度資格を取得すると生涯活躍することができます。

2. 社労士の仕事内容とは?

社労士の仕事内容とは?

社労士(社会保険労務士)の仕事は1号業務、2号業務、3号業務という3つの業務に分けられます。
なお、1号業務、2号業務は「独占業務」となっているので、社労士のみが業務を行うことができます
ここでは、1号業務、2号業務、3号業務の内容について、詳しくみていきます。

※独占業務とは、社会保険労務士でない者が、「他人の求めに応じ、報酬を得て、業として」1号業務、2号業務を行えば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられるというものです。(社会保険労務士法27条、ただし例外はある。)

1号業務:申請書類等の作成

1号業務とは、労働社会保険諸法令に基づいて、「行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、異議申立書、再審査請求書その他の書類(電磁的記録を含む)を作成すること」これらの書類の作成や提出代行を行います。
1号業務は、社労士のみが業務を行える独占業務です。

具体的には、労働保険・社会保険の新規加入と脱退などの手続き、労働保険の年度更新の手続き、健康保険の傷病手当金や出産手当金などの給付申請手続き、各種助成金申請手続きなどを行っています。
近年では働き方改革の影響から社労士(社会保険労務士)の活躍の場は大きく広がっています。

2号業務:帳簿書類の作成

2号業務とは、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(電磁的記録を含む)を作成することや、労働者名簿や賃金台帳等を作成することです。

帳簿書類には、就業規則の書類・労働者名簿の書類・賃金台帳の書類などがあり、すべて労働基準法で作成が定められている書類です。
これらの書類作成についても社労士の独占業務となるため、社労士以外は扱うことはできません。

3号業務:コンサルティング(相談対応・指導)

3号業務とは、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること。
簡単に言うと、コンサルティング業務です。

たとえば、不況が続くと企業側はなるべく人件費を抑えたいので、派遣社員やアルバイト・パートのような非正規雇用の労働問題や賃金についての相談が多くなるようです。
その他、労働基準監督署や年金事務所など公的機関の相談員としての活躍の場もあります。

<補足> 「特定社労士」をご存知ですか?

簡単に言うと、社労士以上の業務を行うことができるのが「特定社労士」です。
普通の社労士よりも活躍の場が広い分、特定社労士になるための特別な手続きが必要という特徴があります。

ADR代理業務は、特定社労士が行うことができる業務です。
特定社労士は、トラブルの当事者の言い分を聴くなどしながら、労務管理の専門家である知見を活かして、個別労働関係紛争を「あっせん」という手続きにより、簡易、迅速、低廉に解決します。

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3. 社労士の仕事のやりがいは?

顧客の良き相談相手になれる

社労士の顧客は多くの場合、企業の経営者です。
社労士にしか許されていない「独占業務」もあり、企業の成長に欠かせない良きパートナーとして経営者から信頼されます

また企業の雇用についてアドバイスできる立場にあり、労働相談やコンサルティング業務を通して誰もが働きやすい環境づくりを行い、より良い企業へと発展してく一端を担っていきます。

あらゆる労働者の手助けができる

企業だけでなく現場もあらゆる労務課題を抱えています。
労働者にとって非常に大切な社会保険や年金制度に、よくわからないまま加入している人も多くいらっしゃいます。

業務中のケガは補償されるのか、どんな健康保険に加入しているのか、会社が倒産したら失業保険はどのくらいもらえるのかなど、知識がないために活用できいないことも。
社労士はこういう悩みに直面している労働者を助けることができます

そして「いてくれてよかった」と喜んでもらえることは、とても大きなやりがいにつながるのです。

努力次第で高収入も

社労士は独立開業型であることが多く、自分の努力・実力次第で大きく成長することができます。
特に法人クライアントを抱えることができれば、収益は拡大、事務所の規模を大きくしていくことも夢ではなくなります

信頼される仕事をし成果をあげて顧客を増やす、それが全て報酬のいうカタチで自分へ還元されます。
このやりがいは独立開業ならではかもしれません

専門性の高い仕事で一目置かれる存在に

社労士は国家資格です。
「労働・社会保険関連法に基づく申請書の作成・手続き代行」など社労士にしか担えない独占業務も定められています。
これは自身のキャリアにとって大きな強みとなります。

また労働保険・社会保険の手続きや雇用に関する助成金の申請など、社労士が担うのは企業にとって重要度の高いものばかり
専門的なスキルを存分に生かし活躍するのも、社労士の大きなやりがいになります。

4. 社労士の年収・給与は?

社労士の年収・給与はいくらなのでしょうか。
ここでは男女別で見た、勤労社労士(企業に勤務している社労士)の平均給与を紹介します。

年齢(歳) 勤続年数(年) 所定内給与額(千円) 年間貸与(千円)
男性 43.8 12.0 336.8 805.9
女性 46.3 15.9 271.4 905.9

出典:e-Stat(政府統計の総合窓口)

この給与から算出すると、男性の平均年収は約484万円、女性で約416万円となります。
一般サラリーマンの平均年収が、男性545万円・女性293万円となっていますので、女性の年収は一般企業より高いことになります。

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5. 社労士の将来性は?

社労士はますます必要とされている

近年、IT・システム化による業務の効率化が事務仕事にも進み、社労士の仕事が減ってきているといわれています。不況などによって経費削減を行っている企業では、これまで社労士が行っていた事務手続きを自ら行うことで、社労士に依頼することなく仕事を進めているところもあるようです。

しかし、働き改革の推進や企業競争が活発に行われる現在、社労士はますます必要性を増してきているのです。
手続き業務が機械に代わっていくというのは事実ですが、労使問題や労務問題といった企業の悩みを解決する社労士の仕事は、機械では解決できるものではありません。

企業の人に関わる問題を親身になって対応できる社労士は、これからますます求められています。
特にキャリアを積んだ社労士ほど、企業からのニーズは高まっています。

人事労務管理の仕事は減っているのか

人事労務管理の「人事」は従業員、「労務」は労働に対しての業務をさします。
社労士業務のうち、1号業務と2号業務は独占業務であり、社労士のみが許された業務です。
この業務が、管理ソフトの普及と電子申請の推進により、手間が大幅に減っているのです。

社労士を通すことなく、企業の従業員がソフトに必要事項を入力するだけで、簡単に申請できるようになってきました。
政府も電子申請を推進していることで、1号・2号業務の需要は今後減少していくと予想されています。

社労士コンサルティングのニーズが高まっている

全国社会保険労務士会連合会が、2016年に実施した「社労士のニーズに関する企業向け調査」の結果が出ています。
これによると、人事・労務面において企業が抱える課題は人材育成・多様化している雇用への対応・賃金および年金制度などが上位に挙がっています。

これらの課題に対して、相談を受けた社労士が適切なアドバイスを行い、課題解決に導くコンサルティング業務へのニーズが高まっているのです。

コンサルティングは、上記で挙げた課題以外にも、企業が受けられる助成金の申請についての相談も多くなっています。
助成金の申請は複雑なものもあり、申請をためらう担当者も少なくありません。
社労士のコンサルティングを受けることで、申請方法の助言が受けられ、代理申請も依頼できるのです。

AIに代替される可能性について

社労士の1号・2号業務が、管理ソフトに移行する動きが見られるように、この2つの業務は今後AIに代替される可能性はかなり高いと言わざるを得ないでしょう。
書類作成は、ミスが許されない業務ですが、AIを活用することでヒューマンエラーを防ぐ役割もあります。

ただし、3号業務は人と人とのコミュニケーションで成り立つ業務ですので、AIに代替される可能性は低いと言えます。
対話の中で、企業の問題点を見つけ出し、そこから対策を考えて提案するという行為は、AIでは不可能なのです。

将来AIに代替されないためには?

社労士の業務をAIに代替されないようにするには、企業担当者や従業員と十分なコミュニケーションを交わす重要性を見逃してはいけません。
働き方改革により、働き方の大幅な見直しを迫られた企業も多いことでしょう。
AIは、業務効率化に対しては大きな役割を果たしますが、そこに至るまでのプロセスにおいては社労士の力が欠かせません。

コンサルティングに代表される3号業務は、社労士の独占業務ではありません。
しかし、コンサルティングの結果、手続き代行を依頼することになった場合、その業務を行うには社労士であることが必要になります。
そのため、企業側としてもコンサルティングの段階から社労士に話すのが得策なのです。

AIをうまく活用しながら、コンサルティングにも力を入れ、企業の問題点を解決に導くのが、今後の社労士に求められる姿勢です。

6. 社労士になるには?

社労士になるには?

社労士になるまでの流れ

社労士になるには、社労士(社会保険労務士)試験に合格した後に、連合会に備える社会保険労務士名簿に登録(実務経験2年以上又は事務指定講習の修了が必要)することが必要です。

受験資格のある者
社会保険労務士試験合格
登録条件
①2年以上の実務経験(試験前後不問)
②事務指定講習修了         
登録・入会
社会保険労務士

社労士名簿への登録が必要

社労士(社会保険労務士)の資格を有する者が社労士になるには、全国社会保険労務士会連合会(以下「連合会」という。)に備える社労士名簿に登録を受けなければなりません(社労士法第14条の2第1項)。
登録には、社会保険労務士(社労士)試験に合格していることに加え、2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験が必要です。
実務経験が2年に満たない場合は、連合会が実施する事務指定講習の修了がこれと同等以上の経験を有するものと認められています。

また、社労士は、登録を受けたときに、当然、都道府県の社会保険労務士会の会員となることになっています。
入会するのは、開業する事務所、もしくは勤務先事業所の所在地または居住地の住所の区域に設立されている都道府県の社会保険労務士会となります(社労士法第25条の29第1項)。

社会保険労務士法人の設立と届出について

社会保険労務士法人は、社労士の業務を行うことを目的として、社労士が設立する法人であり、定款の作成、認証、出資金の払込み、その他設立に必要な手続が終了したのち、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立します。

社会保険労務士法人は、その成立のときに、当然、社会保険労務士法人の主たる事務所の所在地の都道府県社労士会の会員となりますが、成立の日から2週間以内にその主たる事務所の所在地の都道府県社労士会を経由して「社会保険労務士法人設立届出書」を全国社会保険労務士会連合会に届け出なければなりません。

参考社労士の登録申請について|全国社会保険労務士会連合会
社会保険労務士法人の登載について|全国社会保険労務士会連合会

7. 業務独占資格って何?

業務独占資格とは、資格を持っている人のみが独占して業務を許されている資格です。
有資格者以外の人が業務を行うことは、法律で禁じられています。社労士のほかに、弁護士・司法書士・公認会計士・行政書士などが該当し、難易度や専門性が高い特徴があります。

社労士の業務のうち、先ほど紹介した1号業務(手続き代行)と2号業務(書類作成)が独占業務に該当します。
このため、社労士の資格を持っていない人が、社労士の名称を名乗って1号・2号業務を行うことはできません。
3号業務(相談業務)は独占業務ではないため、社労士の資格がなくとも業務の遂行が可能です。

8. 社労士試験について

社労士(社会保険労務士)試験はどのような試験なのでしょうか。
受験資格など、事前に必ず確認しておきたい項目がありますので、しっかり把握しておきましょう。

社会保険労務士試験の受験資格

社労士(社会保険労務士)試験を受験するためには、受験資格が必要です。
受験資格は、主に1.学歴、2.実務経験、3.試験合格の3つに分けられます。
16コある受験資格のいずれか1つに該当し、受験資格を有することを明らかにすることができる書面を提出できる方が受験できます。

関連記事社労士試験を受けるために必要な受験資格は?

社会保険労務士の試験概要

試験日 例年 8月第4日曜日
※年によって異なりますので、主催団体公式の情報を必ずご確認ください。
試験地 北海道、宮城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、香川県、福岡県、熊本県、沖縄県 の19都道府県
※年によって異なりますので、主催団体公式の情報を必ずご確認ください。
申込方法 例年4月中旬より社会保険労務士試験センターにて願書配布。
郵送による申込も可能。(必ず願書の内容を確認してください。)
申込期間 例年4月下旬~5月下旬が願書受付期間。
受験料 9,000円(消費税込)
制限時間 選択式/10:30~11:50 (1時間20分)
択一式/13:20~16:50 (3時間30分)
合格発表 例年11月中旬。合格者には合格証書を郵送するほか官報で合格者の受験番号を発表。
お問い合わせ先 全国社会保険労務士会連合会試験センター
http://www.sharosi-siken.or.jp/
TEL:03-6225-4880 受付時間:9:30~17:30 (平日)
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9. そもそも社労士資格は役に立つの?

社労士は、労働問題に関する豊富な知識を持っていることが公的に証明でき、一度取得すると生涯有効な資格です。
資格を生かせる就職先は、社労士事務所、会計事務所、一般企業など幅広いうえ、独立を目指すのにも役立ちます。

一般企業への就職では、業種を問わず役立てられるため、選択肢を広げられるのも大きなメリットです。
さらに、社労士に加えて実務に生かせるスキルを持っていると、活躍の場を広げられる結果につながります。
英語や営業力、マーケティング力などがあると有利です。

独立を目指す方は、社労士の資格に加え、行政書士や税理士、中小企業診断士など難易度が高い資格を取得すると、顧客獲得のきっかけにできるでしょう。

仕事だけでなく、自身のライフプランを立てる際にも、年金や健康保険の知識を活用できますので、社労士の資格はあらゆる場面で役立てられます

10. まとめ

社会保険労務士(社労士)とは、社会保険労務士法に基づいた国家資格者。
仕事は、労働・社会保険関連手続き代行にとどまらず、帳簿書類作成、労務コンサル、執筆や講師など多岐に渡っています。
社労士のみが行える独占業務もありますので、ビジネスチャンスは大きいと言えます。

また、企業に就職した場合も専門知識を習得している社労士資格は、保有しているだけでも一目置かれる存在になれます。
働き方改革の追い風を受け、社労士は確実に需要を見込める資格と言えるでしょう。

しかし、社会保険労務士(社労士)試験には、受験資格がありますので、まずは自分が対象であることを確認してから勉強に臨むようにしましょう。
合格率も低く、難関資格であることに間違いありませんので、しっかりと対策された講座を選ぶことも忘れないようにしてください。

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