仕訳とは?仕訳の重要性とルールを解説

仕訳とは?仕訳の重要性とルールを解説

仕訳とは?ルール・やり方はどうするの?必要性は?など、仕訳に関する疑問にわかりやすく解説します。さらにここでは、仕訳をする際のポイントや試算・費用・負債・収益などの具体例まで、詳しく紹介します。

目次

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仕訳とは

仕訳とは

行われた取引を分類する作業

仕訳とは、業務で発生した取引を勘定科目という分類名を使って記録することです。
帳簿に取引を記録することを簿記といい、仕訳を記録する帳簿を仕訳帳と呼びます。
1つの取引を貸方(かしかた)と借方(かりかた)の2つに分けて記録する複式簿記が、仕訳の特徴です。

たとえば、商品を仕入れて現金100円を代金として払った場合、商品の在庫は増えますが現金は減ります。
実際にこの取引を仕訳すると、下記のようになります。
詳しい仕訳の方法は後述するため、ここではイメージだけをつかんでください。

借方 貸方
仕入 100 現金 100

貸方と借方という言葉には意味がなく、右側に記録するものが貸方、左側に記録するものが借方と決められています。
貸方(かしかた)の「し」の字が右に伸びているから右側、借方(かりかた)の「り」の字が左側に伸びているから左側と覚えるとわかりやすいでしょう。

仕訳の必要性

仕訳が必要とされる理由は主に2つあります。

  • 1 : 税務署に提出する確定申告書を作成するため
  • 2 : 株主などの利害関係者に提示する財務諸表(決算書)を作成するため

企業では一般的に経理担当者や会計係が仕訳をして、財務諸表や確定申告書を作成します。
仕訳は取引が発生するたびに正しく行うことが大切です。
仕訳が正しくないと正確な税金を納められません。
利益を過小に計上したり実際には使っていない費用を計上したりすると、悪意のある脱税とみなされて罪に問われるおそれがあります。

たとえば、申告すべき所得があるにもかかわらず確定申告をしていない場合、無申告加算税の対象となる可能性が出てきます。
無申告加算税とは、本来納めるべき税金の15~20%を追加で支払う仕組みです。

一方、財務諸表が正しくなければ、企業としての信頼を失いかねません。
事業活動で発生した取引を正しく仕訳するためには、仕訳のルールや勘定科目についての正しい知識が不可欠です。

主要簿と補助簿

仕訳帳と総勘定元帳の2つは、事業者に作成が義務付けられている主要簿です。
総勘定元帳は勘定科目別に作成する帳簿で、仕訳帳に記入した仕訳は総勘定元帳に転記する必要があります。

一方、事業者が必要に応じて作成する帳簿が補助簿です。
現金出納帳や当座預金出納帳、仕入帳、売上帳、買掛金元帳などは補助簿の代表例です。
確定申告では仕訳帳や総勘定元帳を提出する義務はありませんが、個人事業主には7年間の保存が義務付けられています。
税務調査に備えるためにも、取引は正確に記録してきちんと保存しましょう。

企業の総勘定元帳や仕訳帳、決算書などの書類は会社法で10年間の保存が求められています。
仕訳の裏付けとなる請求書やレシート、納品書などの書類にも保存義務があります。

特に、費用については勘定科目ごとに細かなルールが定められているケースが多いため、正当性を証明するためにも証拠となる書類を保管しておきましょう。
ICカード乗車券のようにレシートが発行されない費用については利用明細書を残しておくと役立ちます。

貸借対照表と損益計算書

貸借対照表と損益計算書

・貸借対照表

次章でも述べますが、ここで仕訳の柱のひとつとなる貸借対照表とは何かを説明します。

貸借対照表とは、会社やお店などの経営がどのくらい健全な状態にあるかどうかが一目で確認できる表です。
貸借対照表を見れば、資産および負債がどれだけあるかだけでなく、過去に得てきた利益なども読み取ることができます。

表は左右に分かれており、左側には資産を、右側には負債と純資産を上下に分けて記載し作成します。
負債にも細かな種類があり、項目ごとに分けて記載することが可能です。

会社の資産は、常にその時々の負債と純資産を足したものです。
つまり、貸借対照表は、現在会社にある資産を主に支えているのが負債なのか純資産なのか、あるいはどんな種類の負債が多いのかがわかる表なのです。

貸借対照表は正しく記入されていれば、表の左右は常に均衡が保たれていることになります。
このような特徴から、貸借対照表はバランスシートという別名でも呼ばれています。

・損益計算書

貸借対照表が会社やお店などの健全性を見たり、財政の問題点を計ったりすることができるものであるのに対し、損益計算書は単純に会社がどれだけ利益を上げられたかをチェックするためのものです。

利益を確認したい期間があれば、その期間にどれだけ儲けることができたのかはもちろん、その利益を得るために、どのくらい仕入れや原材料費などが必要だったかなどを確認することも可能です。

損益計算書では、売上総利益・経常利益・営業利益・税引前当期純利益・当期利益の5区分に分かれます。
このような項目の数値を利用して、会社の粗利益や営業利益率などの数値を算出することで、さらに深く経営状態を分析できるのが特徴です。

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勘定科目について

勘定科目とは

勘定科目とは、取引の内容を表す分類名です。
たとえば、商品を売った場合は「売上」、電気代や水道代を支払った場合は「水道光熱費」という勘定科目が使われるケースが一般的です。
代表的な勘定科目を下記で紹介します。

  • 消耗品費、水道光熱費などの費用
  • 現金、預金、借入金、貸付金などのお金
  • 土地、建物、備品などの固定資産

勘定科目は、ある程度事業者の都合にあわせて設定することも可能ですが、同じ内容の取引は毎回同じ勘定科目で仕訳しなくてはなりません。

一度設定した勘定科目を会計年度ごとに変えないことも大切なポイントです。
仕訳の方法が統一されていないと不正を疑われかねないため、注意しましょう。
間違った仕訳をしてしまった場合は訂正仕訳で対処します。

勘定科目のグループ

勘定科目は、「収益」「費用」「資産」「負債」「純資産」という5種類のグループに分類できます。
事業活動で得られる収入が「収益」、事業活動をするうえで必要な支出が「費用」です。
「収益」から「費用」を差し引いた部分が、利益に該当します。

一方、「資産」とは事業者が保有する財産のうち、将来的に利益を生む可能性があるもののことです。
「資産」の代表例には、建物や土地、現金、株式、預金などがあります。

「負債」とは借入金や買掛金など事業者が保有するマイナスの財産です。
「資産」から「負債」を差し引いた部分を「純資産」(資本)といい、事業者が持つ純粋な財産を表します。

勘定科目のグループは事業者が作成する財務諸表と密接に関係しています。
財務諸表のうち、「損益計算書」(そんえきけいさんしょ)は事業活動の経営成績を表す書類です。
「損益計算書」には「収益」と「費用」を記載します。

一方、「資産」と「負債」、「純資産」を記載することで事業者の財政状況を表す書類が「貸借対照表」(たいしゃくたいしょうひょう)です。
まとめると、「収益」「費用」「資産」「負債」「純資産」は下記のような関係になっています。
貸方と借方の合計金額が等しくなる点に注目しましょう。

貸借対照表

借方 貸方
資産 負債
純資産(資産-負債)

損益計算書

借方 貸方
費用 収益
利益(収益―費用)

仕訳では使用する勘定科目が「収益」「費用」「資産」「負債」「純資産」のどれに該当するのかを見分ける力が求められます。

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仕訳のルール

仕訳のルール

仕訳のポイントは2つ

勘定科目について理解していても、実際の仕訳で勘定科目を貸方と借方のどちらに記入するのか迷う人もいるでしょう。
仕訳のルールは「収益」「費用」「資産」「負債」「純資産」のグループごとに決まっています。
ポイントは2つです。

  • 貸借対照表と損益計算書の借方(左側)にあたる勘定科目が増えたときは左側に記載、減ったときは右側に記載
  • 貸借対照表と損益計算書の貸方(右側)にあたる勘定科目が増えたときは右側に記載、減ったときは左側に記載

勘定科目の種類別に記載すると下記のようになります。

  • 資産:増えたら「借方」、減ったら「貸方」
  • 費用:増えたら「借方」、減ったら「貸方」
  • 負債:増えたら「貸方」、減ったら「借方」
  • 収益:増えたら「貸方」、減ったら「借方」
  • 純資産:増えたら「貸方」、減ったら「借方」

以下で仕訳の具体例を紹介します。
わかりやすくするために、金額を小さくしている点に注意してください。

仕訳の具体例を紹介

資産の仕訳例

(1)店舗にする建物を500円で買った

借方 貸方
建物 500 現金 500

現金と建物はどちらも資産です。
この取引では、建物が増えて現金が減っているため、増えた建物は左側、減った現金は右側に記入します。

(2)当店の商品券を売り上げて代金100円を現金で受け取った

借方 貸方
現金 100 商品券 500

当店の商品券と現金はどちらも資産です。
この取引では、現金が増えて商品券が減っているため、増えた現金は左側、減った商品券は右側に記入します。

費用の仕訳例

(1)事務所の電気代200円を現金で支払った

借方 貸方
水道光熱費 200 現金 200

現金は資産、水道光熱費は費用です。
この取引では、減った現金は左側、増えた費用は右側に記入します。
費用は通常、借方に計上されます。

負債の仕訳例

(1)事業活動のために500円を借り入れて当座預金に入金した

借方 貸方
当座預金 500 借入金 500

当座預金は資産、借入金は負債です。
この取引では、増えた当座預金は左側、増えた借入金は右側に記入します。

(2)借入金500円と利息10円を現金で返済した

借方 貸方
支払利息 10
借入金 500
現金 510

現金は資産、借入金は負債です。
借入金にかかった利息(支払利息)は費用に計上します。
減った現金は右側、減った借入金は左側に記入し、支払利息は増えた費用として左側に記入します。

収益の仕訳例

(1)商品を売り上げて現金500円を受け取った

借方 貸方
現金 500 売上 500

売上は収益の代表例、現金は資産です。
この取引では、増えた現金は左側、増えた収益は右側に記入します。

純資産の仕訳例

(1)事業の資本金(純資産)として自分の現金500円を元入れした

借方 貸方
現金 500 資本金 500

現金は資産です。
この取引では、増えた現金は左側、増えた資本金は右側に記入します。

(2)事業資本から現金200円を引き出して自宅の光熱費を支払った

借方 貸方
引出金 200 現金 200

個人事業主が資本金からプライベートでお金を引き出した場合は、資本金の代わりに引出金という勘定科目を使う場合があります。

引出金は純資産、現金は資産です。
この取引では、減った純資産は左側、減った現金は右側に記入します。

勘定科目が「収益」「費用」「資産」「負債」「純資産」のどれに該当するのかという点と、減ったのか増えたのかという点に注意すれば、仕訳は難しくありません。

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仕訳のポイント5選

仕訳のポイント5選

ここからは、仕訳で知っておきたいポイントを5つ紹介します。

(1)2つの勘定科目を使う

仕訳では必ず2つの勘定科目を使い、貸方と借方の合計は必ず等しくなります。
日々の仕訳はもちろん貸借対照表や損益計算書でも貸方と借方の合計が同じになることを知っておきましょう。

逆に言うと、貸方合計と借方合計の不一致はミスがあるサインです。
1ヶ月ごとに作成する「試算表」や年度末に作成する「精算表」などを活用して仕訳ミスや転記ミスを防ぎましょう。

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(2)発生主義で仕訳する

発生主義とは、実際に現金が動いたタイミングではなく「費用」と「収益」が発生した時点で仕訳をすることです。

たとえば、9万円の事業用パソコンをクレジットカードの一括払いで買った場合、購入日の支出はありません。
しかし、発生主義では購入日に仕訳をします。
耐用年数が1年未満か取得価額が10万円未満までの固定資産は消耗品扱いになるため、仕訳は下記のようになります。

借方 貸方
消耗品費 90,000 未払金 90,000

未払金は負債の勘定科目です。
負債が増えているため、右側に記載します。

事業用の普通預金からクレジットカードの支払いが行われた日の仕訳は下記の通りです。

借方 貸方
未払金 90,000 普通預金 90,000

負債の未払金が減ったために左側に記載し、資産である普通預金が減ったために右側に記載します。

個人事業主がプライベートで使っているクレジットカードで支払いをした場合は、「事業主借」という勘定科目を使って購入日当日に下記のような仕訳をする方法も例外的に認められています。

借方 貸方
消耗品費 90,000 事業主借 90,000

(3)年度末に決済仕訳をする

発生主義では、会計年度内に発生した費用や収益を厳密に分けて計上しなくてはなりません。

たとえば、会計期間内にペンを100個購入して消耗品費として計上したとします。
年度末に未使用のペンが20個残っている場合は、80個分を今期分の消耗品費、20個分は資産の消耗品として計上する必要があります。

つぎに、会計年度内が1~12月の事業者が11月に1年契約で土地を貸したケースを考えてみましょう。

利息を翌期に支払ってもらう契約だった場合、11月と12月分の利息を受け取る権利がありますが、まだ受け取っていません。
そのため、11月と12月の利息を未収利息(資産)として計上します。
会計年度末に発生した部分を整理して仕訳する作業を決算仕訳といいます。

(4)仕訳が不要なケース

個人事業主が白色申告や10万円の青色申告特別控除を利用する場合は複式簿記で仕訳をする必要がありません。
一方、55万円あるいは65万円の青色申告特別控除を利用する場合には仕訳が不可欠です。

個人の所得税は収入から費用と控除を差し引いた金額に応じて決まります。
たとえば、100万円の売上があった場合、白色申告では100万円から基礎控除48万円を差し引いた52万円が課税対象になります。
所得控除はありません。

一方、55万円の青色申告特別控除を利用した場合、55万円+基礎控除48万円=103万円が控除されます。
課税所得は100万円-103万円=-3万円となり、税金がかかりません。

事前に青色申告承認申請書を提出して55万円あるいは65万円の青色申告特別控除の条件を満たす確定申告をすれば、節税に役立ちます。
青色申告承認申請書を提出していても、複式簿記をしていないなどの不備があると10万円の青色申告特別控除が適用されるため、注意が必要です。

2020年度分以降の青色申告では、e-Taxによる電子申告か電子帳簿保存のどちらかを行えば65万円の青色申告特別控除の対象になります。

(5)実際に仕訳をして慣れる

基本を知っていれば、仕訳は誰にでもできます。
「収益」「費用」「資産」「負債」「純資産」の関係とそれぞれの勘定科目が該当するグループを徹底的に覚えましょう。

仕訳のパターンはそれほど多くなく、続けていくうちに慣れてきます。
事業者によっても使用される勘定科目は変わってくるため、どんな勘定科目で仕訳すればよいのかを整理しておきましょう。
特に、企業の法人税は、益金から損金や各種控除を差し引いた金額に応じて決まってきます。
費用がすべて損金になるとは限らない点に注意が必要です。

会計ソフトを使えばよく使う勘定科目を登録しておけるため、大変便利です。
仕訳のミスが減るだけでなく確定申告用の書類もワンタッチで作成でき、作業を大幅に効率化できます。
事業用口座とひも付けておけばデータを取り込んで自動的に仕訳が完了する点も見逃せません。

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まとめ

事業活動をするなら仕訳の知識は必須です。
基本を知っていれば仕訳は決して難しいものではありませんが、万全を期すならある程度の勉強は必要です。
特に、企業には経理ができる人材が欠かせないため、簿記の資格があれば転職や就職に役立ちます

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この記事の監修者

資格のキャリカレ編集部

150以上の通信教育資格講座を展開し、資格取得・実用スキルの習得はもちろん、キャリアサポートまで行う資格のキャリカレ編集部が運営するコラムです。簿記は一度取得すれば、ビジネスにも家計にも役立つ資格です。簿記検定の詳細や試験対策をはじめ、仕分け・試算表の作成方法など、簿記の魅力や最新情報をお伝えしています。

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