【簿記検定】日商簿記・全商簿記・全経簿記。3つの違い・難易度は?

簿記検定の中で特に有名なものと言えば、日商簿記・全経簿記・全商簿記が挙げられます。
しかし、その名前は知っていても、これらの検定にどのような違いがあるのか分からない人もいるでしょう。
そこで、このページでは、それぞれの検定の試験科目や出題範囲、難易度や合格率などを詳しく紹介し、その違いについて説明します。

目次

〔日商簿記検定〕ってどんな検定?

日商簿記検定は、簿記検定の中でも最も有名なものであり、単に簿記資格という場合は、この日商簿記検定を指すことが多いです。
年間受検者数が52万人を突破するなど、その知名度・受験者数ともにずば抜けています。
受験者数が多い理由として、企業によっては、経理の必須資格として定められていたり、昇進や昇格の評価基準となっていたりすることなどが挙げられるでしょう

また、転職やキャリアアップを目的として受験する人も少なくありません。
日商簿記検定は、他の簿記検定よりも知名度が高い分、取得したときのメリットも大きくなっています。
就職や転職だけでなく、入試などにも生かすことができます。

日商簿記3級のレベル・難易度

日商簿記検定3級で問われるのは、主に商業簿記の基礎知識です。
合格に必要な目安の勉強時間は50~70時間なので、初心者でも挑戦しやすい試験だと言えるでしょう。
実際、日商簿記検定を初めて受験する人の多くは、この3級からスタートしています。

また、商業簿記や会計学の知識をバランスよく学習することができるため、さまざまな業種や職種の人が受験をしているのが特徴です。
3級が取得できれば、経理関連書類の処理や青色申告書類の作成などができるようになるでしょう。
ちなみに、同じくらいの難易度の資格試験としては、FP技能士の3級や、国内旅行業務取扱管理者試験などが挙げられます。

日商簿記2級のレベル・難易度

日商簿記検定2級は、3級よりもさらに試験範囲が広がり、経理や会計分野でプロフェッショナルを目指すなら取っておきたい資格です。
目安の合格勉強時間は200時間と、3級の3~4倍ほど必要ですが、商業簿記や工業簿記全体の知識を習得することができます。

また、経営管理や財務担当者に必要な財務諸表の数字を読み解く力が得られ、企業の経営内容を把握することも可能になるでしょう。
さらに、実務経験にはもちろん、転職にも生かすことができるので取っておいて損はありません。

ただし、専門性が高いので、いきなり簿記の初学者が受けるには難易度が高いでしょう。
ですから、まずは3級を取得してから、次のステップアップとして2級を受験したほうが学習もスムーズに進められます。
ちなみに、同じくらいの難易度の資格試験としては、総合旅行業務取扱管理者試験管理業務主任者試験などが挙げられます。

日商簿記1級のレベル・難易度

日商簿記検定1級は、税理士や公認会計士を目指している人たちの登竜門となっている難関資格です。
特に税理士を目指している人は、受験資格として1級の取得が必須条件なので、必ず取っておかなくてはいけません。
目安の合格勉強時間も1000時間ほど必要ですが、この分野を極めたいのなら、取得を目指す価値は高いでしょう。

ただし、2級と比べても周りの受験生たちのレベルが高く、試験自体の難易度もかなり上がるので、より効率的な学習が求められます。
また、3級や2級で勉強した内容がきちんと頭に入っているかどうかによっても、学習にかかる時間が変わってくるので、これまでの知識をきちんと復習しておきましょう。
ちなみに、同じくらいの難易度の資格試験としては、マンション管理士試験応用情報技術者試験海事代理士試験などが挙げられます。

〔日商簿記検定〕各級の合格基準・合格率は?

日商簿記の各級の合格基準は、全級で共通しており、70%以上の正解率で合格となります。
ただし、1級では1科目ごとの得点は40%以上という足切りの制度があるため、注意が必要です。
また、各級の合格率も見てみると、3級が約50%、2級が約20%、1級が約10%となっており、1級の難易度が特に際立っています。

この数字から分かるのは、3級が2人に1人合格しているのに対して、1級は10人に1人しか合格していないということです。
ただし、この合格率はあくまでも目安であり、年によってもかなりの幅があります。
例えば、2019年度までで見ると、3級なら最も高い合格率を誇った年で56%、最も低い合格率だった年で26%と、30%もの差が生まれているのです。
ですから、合格率にとらわれ過ぎず、参考程度に考えておくといいでしょう。

〔日商簿記検定〕各級の試験科目・出題範囲は?

続いては、日商簿記の各級の試験科目や出題範囲について見ていきましょう。

日商簿記3級の試験科目・出題範囲

日商簿記検定3級の試験科目は、商業簿記の1科目で、具体的な出題範囲は、簿記の基本原理や各種取引の処理方法、決算書類の作成などになります。
ただし、2019年度から簿記3級の出題範囲が大きく改定され、今までは個人商店を想定した知識が問われていましたが、小規模の株式会社を想定した知識が問われることになりました。
また、これに伴って、株式の発行や剰余金の配当、純損益の繰越利益剰余金勘定への振替などについても新たな試験範囲となります。

逆に、個人商店を前提とした資本金・引出金の処理や純損益の資本金勘定への振替といった内容は、出題範囲から削除されました。
他にも、有価証券関連の内容や直背地方による固定資産の減価償却などについては2級の試験範囲に、発行商品券に関しては1級の試験範囲に移行になったので、こちらも間違えて勉強しないように注意しましょう。

日商簿記2級の試験科目・出題範囲

日商簿記検定2級の試験科目は、商業簿記と工業簿記の2科目で、具体的な試験範囲は、3級の試験範囲に工業簿記や原価計算を加えたものです。
ただし、2級に関しても3級と同じく2019年度に試験範囲が変更になっているので、注意しましょう。

具体的には、3級から移行してきた手形の割引や手形の裏書、有価証券の取得・売却などの内容が加わり、当店発行の商品券や仕入値引き、売上値引きなどの内容が除外されます。
2級の試験範囲は3級と比べて大幅に広がるので、勉強時間はさらに多く取る必要があります。

日商簿記1級の試験科目・出題範囲

日商簿記検定1級の試験科目は、2級でも試験範囲となっている商業簿記や工業簿記に、会計学と原価計算を加えた全4科目となります。
2級よりも科目数が増えただけでなく、商業簿記と工業簿記の分野は範囲も広がり、専門性もより高いです。
さらに具体的に言うと、商業簿記に関しては、仕訳や財務諸表、帳簿の記入といった実践的な内容が多く、浅く広い知識が問われます。
一方で、会計学において問われるのは、企業会計原則や財務分析などの狭く深い知識です。

また、工業簿記においては、標準原価計算に関する問題、原価計算においては意思決定に関する問題が多い傾向にあります。
ちなみに、この工業簿記と原価計算に関する出題では、最初の問いの答えをそのまま次の問題に使用するスタイルを取っているので、芋づる式に間違えないように注意する必要があるでしょう。
つまり、1級では、簿記に対する一貫した理解が求められていることを意味しています。

1級にも2019年度の試験範囲変更の影響があり、総記法による売買目的有価証券の記帳や債権譲渡に伴う買戻・遡及義務の計上・取崩といった内容が新たに追加されました。
こちらもしっかりチェックしておきましょう。

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〔全商簿記検定〕ってどんな検定?

全商簿記検定は、正式名称を「全国商業高等学校協会主催 簿記実務検定試験」といい、基礎的な経理や会計分野を学びたい学生向けの検定です。
そのため、受験者の多くは、商業高校の生徒となっています。
あくまでも、学校で学んだ内容の復習としての側面が強い検定なので、日商簿記検定に比べると難易度は低めだと言えるでしょう。

全商簿記各級の試験範囲

全商簿記3級の試験範囲は、主に会計処理に関するもので、個人商店を想定した商業簿記の取引や記帳、決算などが問われます。
全商簿記2級の試験範囲は、3級よりさらに専門性の高い商業簿記に加えて、株式会社の基本的な会計処理に関しても出題されるでしょう。
最後に、1級の試験範囲は、「会計」と「原価計算」に科目が分かれていて、両方に合格しないと1級を取得することはできません。

全商簿記各級の合格基準・合格率

各級の合格基準は全て同じで、正解率が70%以上であれば合格となります。
合格率は、3級が約55%、2級が約47%、1級が原価計算においては約44%、会計においては約38%
です。

こうして見ると、各級の合格率はそれほど変わらないように見えますが、1級は原価計算と会計それぞれで合格しなくてはならないため、その分難易度は高いと言えます。
※公式サイトでは、過去問題(問題・解答)が公開されていますので、こちらもあわせて確認するとよいでしょう。

〔全経簿記検定〕ってどんな検定?

全経簿記検定は、正式名称を「簿記能力検定試験」といい、公益社団法人全国経理教育協会が主催している検定で、経理や会計専門学校の学生向けの資格です。

難易度でいうと、全商簿記検定以上、日商簿記検定以下というイメージで、経理職の人や日商簿記検定の予行演習をしたい人、知識を向上させたいビジネスパーソンなどが多く受験する傾向があります。
また、上級に受かれば税理士試験の受験資格が得られるので、税理士の志望者が受験するケースも少なくありません。

全経簿記各級の試験範囲

全経簿記検定3級の試験範囲
全経簿記検定3級は、小規模株式会社における基本的な帳簿作成や複式簿記の仕組み、決算書類の作成などで、商業簿記の基礎的な内容が問われます。

全経簿記検定2級の試験範囲
全経簿記検定2級は商業簿記と工業簿記という2科目があり、商業簿記は、複式簿記の仕組みの理解や資本調達・運用活動のための帳簿作成、また、決算整理および翌期の再振替や損益計算書、貸借対照表の作成などが試験範囲です。
これは、中規模の株式会社の経理担当者や経営者に必要な簿記知識が問われています。

一方で、工場簿記は、現場の経理担当者としての工程管理や、実際原価に基づく基本的な帳簿作成の知識などが試験範囲です。
これは、製造業の簿記入門のような内容になっています。

全経簿記検定1級の試験範囲
全経簿記検定1級は、商業簿記と会計学、工業簿記と原価計算の科目に分かれており、それぞれに合格しなくてはいけません。
まず、商業簿記と会計学の試験範囲は、連結財務諸表の初歩的な知識や、税金処理、決算整理および株式資本等変動書の作成などです。
これは、大規模な株式会社の経理担当として、複式簿記の仕組みを理解しているか、それを他の業種にも応用できるかといったことが問われます。

一方で、工業簿記と原価計算に関しては、製造原価報告書や製造業の損益計算書、貸借対照表の作成などが問われ、これは中小規模の製造業企業における経理や管理者レベルが対象となっています。

全経簿記検定上級の試験範囲
全経簿記検定上級も、1級と同じく商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算という4つの科目がありますが、それぞれで試験は分かれていません。
工業簿記や原価計算のレベルは1級よりも高いですが、合格すれば税理士試験の受験資格を得ることができます。

商業簿記や会計学の試験範囲は、最新の会計基準や財務諸表の作成などで、会計情報の利用スキルは経営管理者並のレベルが必要です。
工業簿記や原価計算の試験範囲は、損益計算書や貸借対照表の作成などで、意思決定や業績評価のための会計運用ができるかどうかが問われます。

全経簿記各級の合格基準・合格率

全経簿記検定においても、各級の合格基準は全て同じで、正解率70%以上で合格となります。

合格率に関しては、3級が約59%、2級の工場簿記が約71%、商業簿記が約47%、1級の工業簿記と原価計算が約58%、商業簿記と会計学が約41%、上級がガクッと下がって約16%です。


このように、全体を見ても上級の合格率が圧倒的に低く、難易度が高いということが分かります。
しかも、上級には足切りの制度があり、4科目のうち1科目でも40点を下回った場合不合格になってしまうので、注意が必要です。

日商簿記検定はヒントを公開してる!?

ここまで見てきたように、他の簿記検定と比べても日商簿記検定が最も難易度が高く、受験者数も多いです。
では、その問題を解くうえで、ヒントになるような情報はないのでしょうか。

出題の意図・ポイントを確認できます!

日本商工会議所のサイトには、級ごとの「出題の意図や講評」が公表されています。

これは、受験者が効率よく学習し、合格できるように配慮されたものです。
きちんと科目ごとに分けられていて、出題の意図では出題の狙いや解法のポイントなどが、講評では試験結果を踏まえた結果などが書かれています。
この内容は、これから日商簿記検定を受験する受験生はもちろん、簿記教育の指導にあたる人たちにも役立つ内容になっていると言えるでしょう。

また、日商簿記2級・3級・初級・原価計算初級のサンプル問題も掲載されていますので、こちらも合わせて確認するとよいでしょう。

まとめ

簿記検定にはさまざまな種類がありますが、取得するなら抜群の知名度と歴史がある「日商簿記検定」がおすすめです。
しかし、日商簿記検定は難易度が高く、ただ闇雲に勉強をしても合格は難しいでしょう。
もし本気で簿記の資格を取得したいなら、効率よく学習ができ、合格まで手厚くサポートしてくれる「キャリカレの簿記講座」を利用してみてはいかがでしょうか。

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